第84話 対屍竜
屍竜と銅亜竜は咆哮を上げた。
飛びかかった銅亜竜は首に牙を立てた。その顎からは、滴り地面に落ちた屍竜の体液がジュウっと煙を発し穴を開けた。
それは地面のみならず、口許も煙を上げながら溶かされていた。
屍竜の体液は溶解液と同じだった。
それでも食らい付いていたのだが、屍竜は腐蝕のブレスを放ち、銅亜竜を押し退ける。
ブレスを浴びた箇所は硬い鱗を溶かしていた。再び近付こうとしたが、ブレスを正面からもろに喰らってしまい、その場に倒れた。
地面に頭を着かせながらも、土魔法を用いて攻撃するも、怯まない屍竜の爪撃に襲われる。
溶かされた鱗を狙われるとひとたまりもない。しかも本能で分かっているのか、その部分に狙いを定めている。
肩からは血飛沫が上がった。
「もう見てられない!」
「そうだな!行くぞ!」
俺達も前に出た。
アイの炎魔法が屍竜を襲い、俺の投げた2本の剣が頭部を直撃し、銅亜竜の上から退かすことが出来た。
続く炎の渦の攻撃で閉じ込めた間に、ジルコートを喚び出した。
その渦が解けた時、屍竜はブレスをモーションなく吐いてきたが、とっさのアイのガードにより、守られた。
次は此方の番と、ジルコートの球体のブレスが襲うが怯まず、ジルコート目掛けて闇魔法を撃ってきた。
それを光魔法で打ち消すも、続くブレスによって負傷してしまう。
怯まされてしまったジルコートに追い討ちをかけ、魔法を撃とうとしたその時、銅亜竜が屍竜の目前に岩の壁を作った。
魔法が壁に当たり、砕けていった。
それに助けられ、ジルコートは光魔法を撃ち、そのまま一直線のブレスを放った。
立ち上がれなくなった屍竜だが、その姿勢のまま、闇魔法を放つ。対応が遅れた俺達の前に銅亜竜が立ち塞がった。
魔法をダイレクトに食らい膝を突くも、屍竜の全身に尖った岩を地面から突き立てた。
「終わった」
「報われないね」
「ああ」
銅亜竜の希望により、ジルコートとアイによって元青銅竜の亡骸は骨も残さず燃やされた。
ジルコートに見守られながら、人化した銅亜竜の傷を俺とアイの二人がかりで癒していた。
「アイの回復のほうが効くな」
「伊達にサポートしてないって」
「さすがだな。そういえばジルは平気なのか?」
「私の鱗は溶けないわよ」
完璧ではないが普通にしてれば問題ない程度には回復させられた。
「今回の件、皆さんに迷惑かけちゃってごめんなさい」
「気にするなよ。俺達だって助けてもらったんだから」
「そうよ!気にしない気にしない」
「銅亜、何かあればマスターを頼りなさい」
「銀竜、うん。皆さんありがとう。」
友に別れを告げることが出来たが、まだ問題は残っている。
俺達は銅亜竜を連れて下山した。




