第79話 トカゲと飛竜
刺々しい身体に大顎、そしてあの巨体。
「モロクキングリザードだったな」
「別の砂漠で見たよね」
「懐かしいな。あの時は苦戦したな」
「そーだね。あの時のリベンジ戦ね」
部屋に入るとモロクキングが咆哮と共に砂嵐を起こした。
これにより視界を妨げられ、突進の一撃を受けることになった。そのまま、横に居たアイに口を開き炎のブレスを撃ち込んだ。
アイはそれを防ぐことに成功し、剣での反撃を与える。片眼を潰したが即座に攻撃に移され、尾で叩かれてしまった。
だが、俺に背を向けたことによって、刺の隙間に剣を突き立てることに成功する。
砂嵐の勢いが弱まってきたのでハッキリと姿を捉えられるうちに、剣を投げつけダメージを与え、弱った所にアイも接近戦を仕掛けた。
そろそろかと思っていたが、モロクキングは背中を丸め、そのまま突っ込んできたのだ。
アイは盾を構えたが抑えきれず飛ばされてしまった。俺へと方向転換し、勢いを増して転がってくる。
バスターソードを両手で握り、転がってくるモロクキングに向けて振るい被った。
「クッ!こなくそー!!」
胴体が2つに裂かれ、動きを止めた。
「アイ大丈夫か?」
「なんとかね」
「倒したぞ」
「打ち返してたの見てたよ」
「どーだ。凄いだろ」
「こんくらいはやってもらわないとね」
「…」
切なくなったのでモロクキングリザードの方を見やると、クリスタルの結晶が落ちていた。あのトゲはクリスタルで出来てんのかと思ったが、そんなことはないだろう。深く考えずに回収することにし、次へ進もう。
進んだ先も同じように砂の通路が続いているのだが、部屋と同じくらい圧倒的に広かった。
その理由がすぐに判明する。飛竜だ。
それが三体飛んでいる。
「あそこ飛んでるのワイバーンでしょ?」
「腕がないからそうだろうな」
「どうやるの?」
「叩き落とすから仕留めてくれ」
俺達は走って飛竜の元まで向かったのだが、突如サンドラーバが這い出てきた。
それを薙ぎ払っているうちに、飛竜が急降下で俺に向かってくる。
それをしゃがんで避けると、後ろにいたラーバの頭がもげていた。
飛竜は一撃離脱が得意としている。なんたってブレスも吐けない、魔法も使えないからだ。
サンドラーバを突破して一体の飛竜の元へ転移魔法でその頭上に行くと、力の限り振りかざす。
これで致命傷は与えたがまだ息があるので、アイがとどめを刺す。
そのまま二体目に転移して叩き落とした。アイもその元へ駆け寄り、振るった剣で首を跳ねる。
残り一体だが俺は魔力切れで転移出来ず落下する。
「いってぇ。砂だからイケるだろ思ったんだが、意外と痛いな」
「バカだねぇ」
「アイツは任したぞ」
「りょーかい」
その一体が降下してきた所を敢えて正面から迎え撃つ。
盾を構えたアイに突っ込んでくる飛竜だが、貫くことも押すことも出来ずに弾かれる。すかさず雷魔法をぶつけ、風魔法でとどめをさした。
「俺達の勝利だな」
「当たり前じゃない」
「ドロップ品はなんだった?」
「ラーバの牙と金色の卵」
「金の卵とは豪華だな!食べれるのか?」
「ギルドについたら聞いてみよ」
飛竜は金の卵を落とした。食べ物なのか観賞用なのかは不明。
この一帯の魔物は倒したがまだ奥へと続く。




