第77話 骨騎士と陸亀
スパルロードが腕を上げ、スパルトイ二体に合図を出した。
一体は片手剣2本の二刀流 、もう一体はクレイモアを抜き、此方に向かってくる。
この剣は3本とも見事な装飾が施されており、性能はさておき飾るには申し分ないデザインをしている。
「アイは左を、俺は二刀流をやる」
「はいよー」
「10秒な」
「余裕!」
二刀流なら俺も2本の拵えを出し、踏み込んで行く。横から振るってきたスパルトイの剣を裏刃で受け止め、もう片方で頭を落とした。
数歩退いたが、それでもヤツはまだ動く。両手を振り下ろしてきたのを、2本で受け流し、交差するように振り上げてスパルトイを2分割した。
アイは大剣を振るわれる前に、盾で弾き飛ばし、怯んでる所を風魔法で切り裂いていた。
「私のほうが早かったね」
「ぐっ…」
残すはロードだ。
ロードは青い水晶玉が付いた金のロッドを持っている。これも売れば結構な金になる。
「倒したほうがあの杖を貰えるってことにしようよ」
「よし、乗った!」
ロードは炎魔法を放ってきたが、それを盾で防ぎきる。
攻撃が終わった瞬間、アイは魔法を射とうとしていたがそれより早くロードの前に転移し、ヤツの座っていた椅子と共に盾で叩きつけた。
「サキ退いて!」
後方から雷の矢が飛んできた。それを辛うじて避ける。
「あっぶねーな!」
「急に前に出るから止まらなかったのよ!」
その矢は、ロードに直撃して煙となって姿を消していく。
杖はアイの物になった。他のドロップ品は片手剣2本にクレイモアだ。
次の階層へ進むと、びちゃびちゃであちらこちらに水溜まりが出来ている通路だった。
そこにはタートルタイプのグラウンドシールドがいた。その甲羅は岩より硬く、アイアンゴーレムみたいに溶かすことも出来ない。
「アイツ等かぁ」
「ロックゴーレム並みに嫌よね」
「蒸し亀にしちゃえよ」
「炎効かないよ。それなら雷魔法ね」
野生のグラウンドシールドは温厚で水辺付近をのしのし歩き回っているだけだが、ダンジョンでは襲いかかってくる。
手前に居たヤツに雷魔法をぶつけるとひっくり返った。そこへバスターソードを振りかざすと斬ることが出来た。
腹は比較的柔らかいようだ。
消えたグラウンドシールドの所には甲羅が落ちていた。ドロップ品である。
「…いる?」
「いらない!ってかなんで甲羅落とすなのよ!あんなんボックスに入れたらパンパンになっちゃうじゃん!」
倒し方が解ったのにドロップ品が甲羅じゃ、上の階と大差ないと思ってしまった。
俺達の進んだ後には甲羅だけが落ちていた。
そして階層主だ。嫌な予感しかしないが、部屋を覗くと当たりの魔物が居た。
「当たりじゃん!」
「アイツのドロップ品は皆欲しがるからな」




