第75話 冒険者ならば
「寒い…おーおー派手にやってるな」
俺は座り込んでアイ達が戦っている方向を見ていた。
爆炎、火柱が上がっていた。
「大丈夫そうだな」
にしても、この砂漠は寒すぎる。日が傾いてきて余計に寒さが身に染みる。
「終わったよ」
「三人共お疲れ様」
『お待たせして申し訳御座いません。ザフキエルを無事、捕らえることが出来ました』
「それは良かった。ん?なんでノワはいじけてんだ?」
『…』
「この子、自分があまり『主。喋らない』
何故か拗ねていたいたノワはそのまま解除して去っていった。
『貴方達のお陰で王に与えられた命令を全うすることが出来ました。感謝いたします』
「俺達の旅の理由も悪魔討伐だからな」
『旅のご無事を祈っています。それではまた、縁がありましたら』
アドラメレクは天高く飛んでいった。
俺達は砂漠に残された。
行きは紫毒竜に乗せてもらったが、先の戦闘により負傷したため、乗せられる者がいないのだ。
俺は召喚する余力はなく、アイも
「今はそっとしておいてあげて」
とのことで、このクソ寒い砂漠で一夜を過ごさなければならなくなった。
召喚獣は負傷や部位破損で戦闘継続が不可能となった場合でも、時間は掛かるが回復する。その場合は召喚解除される。
先ほどの戦闘でドロドロに溶けたビフロンスも元通りになる。
ようは契約主が死なない限り不死身だ。
安全そうな所を探して歩いてるとアイが何かを発見した。
「ねぇ、あれ見て」
「んあ」
「ほらあそこ」
「洞穴か?」
「行ってみようよ」
近付くと、その穴の正体ハッキリと解った。
「ダンジョンだな」
「みたいね。深いのかな?」
「だが、冒険者なら」
「見過ごせないよね」
今日はダンジョン入口で休み、明日から攻略することにした。




