第69話 銀竜対三人の弟子
俺達は宿屋の食堂へ来ていた。
「先生!暫くこの町に居てくださいよ」
「そうしたいんだけどな、ゆっくりしてらんないんだよ」
「「お願いします!」」「先生。お願いします」
「こう言ってるんだから少しくらいい良いんじゃない?」
「んー、分かった。なら3日だ」
「「「有難う御座います」」」
俺達は3日間、召喚士のノウハウを実戦で覚えさせる。
特にリンとタイニードラゴには覚えなくてはならないことが多い。
リンには殆どアイが付きっきりになっている。
「今は信頼させることだけを考えてね」
「はい」
この3日で上手く良好な関係に持っていければいいのだが。
そして3日目の昼過ぎ、いつもの平原で俺と子供達は向かい合っていた。
「今までの成果、見せてくれよ」
「「「はい!」」」
彼等は口上を唱え、召喚獣を喚び出した。リンの遅れも無くなっている。
そして俺も口上を唱え、ジルコートを喚び出す。
三人から歓声が挙がる。凄く照れ臭いんだが。
「ジル、すまないが相手になってくれないか」
「そうことね。任せておいて」
三人の猛攻が始まった。
ククルスによる風魔法で顔を狙っていき、タルワールが最小限の動きで斬りかかってきた。
タイニードラゴはその小ささを生かし、火力よりも連発を優先した魔法攻撃を放ってくる。
どうやら問題は解決されたようだ。
そのままの勢いで攻撃が続く。
ジルコートはそれらを避け、たまに反撃の魔法を撃っている。もちろん威力を抑えたものだ。
タルワールの速度が落ちてきた。主に限界が近いようだ。
「ヨハン!そこまでだ。良くやった」
「は、はい」
あと二人は何処まで持つかと考えていたらククルスが飛べなくなっていた。
「ビスト。良く頑張ったな」
「有難う御座います」
最後はリンとタイニードラゴだ。
竜種だけあって体力があるり。
しかし主のスタミナがそろそろもたないだろう。
だが、リンはタイニードラゴに魔力を渡し始めた。
「いつの間にあんなこと出来るようになったんだ」
「私が教えたんだよ。うちらはやる必要ないけどさ、あの子は必要だろうと思ってね」
魔力を貰ったタイニードラゴは先程より速く、力強くなっていた。
余裕を見せていたジルコートの表情が変わり、受け流すのにも余裕が無くなってきている。と、ついに後ろを取られたジルコートにここぞとばかりの魔法を放った。
避けられないと思ったのか、その魔法を魔法で相討ちさせた。
ここでタイニードラゴの魔力もリンのスタミナもなくなり、終了となった。
「付き合わせてすまんな。ジル」
「楽しかったからいいのよ」
「お前達も良くやったな!これで俺からの授業は終わりだ。後はそれぞれの長所を伸ばし、それを活かす戦い方をすれば俺なんてすぐに追い抜けるぞ」
「「「有難う御座いました!」」」
「先生を超えるなんて夢のまた夢ですね」
「そんなことねーよ。俺がその年の頃はぺーぺーだったぞ」
「そうだったんですか!?」
「ほんとよ。泣き虫だったしね」
「アイ、お前がそれを言うか」
夜は皆で夕食を取りながら談笑しあった。
「俺、銀翼を師匠にもってるって自慢しよう」「あっ!それ僕も自慢しよ!」
「アイさん。私、上手くやって行けるでしょうか?」
「もちろん!リンちゃんなら大丈夫だよ」
「アイさんに言われると安心します」
「俺に言われたら安心しないってことか?」
「そ、そんなことないです!」
「ハハハッ、冗談だよ」
「いじめるんじゃない」
次の日の朝、俺達は三人に別れを告げ町を後にした。




