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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第61話 森の番人

 


 俺達は雑な手書きの地図を頼りに進んでいる。

 ギルドで書いてもらったものだが、道、草、川、ココ、と物凄く曖昧な地図だ。


「このまま真っ直ぐ行けば着くと思うんだがな」

「その地図さぁ、地図って言えないよね」

「丁寧なお姉ちゃんだったんだけどな、こーいうのは苦手みたいだ」

「サキ、後ろからまた来たよ」


 道を逸れていることもあり、やたら魔蟲と交戦してしまう。

 ビータイプや甲殻タイプ、スパイダータイプ、たまにモスタイプと選り取りみどりだ。

 ビータイプの中でもデッドニードルと呼ばれる奴は小型ですばしっこく、猛毒の針を持っている為危険だ。

 だが、一番厄介なのは甲殻タイプに分類されるダイダロクロスという蟲だ。

 魔法攻撃無効と物理攻撃半減の常時発動型スキルを有しており、非常に倒し辛い。戦わず逃げるが正解だ。


「終わりだ!ハァ、片付いたか」

「ビーってすぐ仕掛けてくるよね」

「肉食だしな」

「見た目はスパイダーよりマシだけどね」

「あーそれは言えてるな。あ、あの川だろ」


 うっそうとする木々の間が開け、川が流れていた。

 川幅が広く、水深も深いようで底が見えない。

「随分深いな。橋なんてないだろうし」

「ノワ喚ぶ?」

「そうして貰おうかな。いや、待て」

「なに?どうしたの?」

「森羅竜だ」


 川の向こう岸には樹を背負ったフォレスドラゴンの姿があった。


 温厚な性格で怒らせない限りは何もしてこない竜だ。

 その竜が此方を見つめてじっとしている。やがて。


『人間よ。森奥に何しに来た』

『この先の遺跡を目指している』

「サキ?」

「念話だ」


 俺にしか送っていないらしい。


『そうか。なら妾の願いを聞いて欲しい』

『なんだ?』

『最近、そこに住み着いた者がいる。其奴のせいで森の生き物が喰われている。妾では止めることが出来んのだ』

『分かった。善処しよう』

『助かるぞ。此方へ渡るといい』


 咆哮が森に響き、川はせき止められそこに1本の橋が現れた。

 俺達はそこを渡り、森羅竜へと向かい合った。


『こっちだ』


 案内された先には獣道ならぬ竜道が出来ており、そのまま真っ直ぐ遺跡へと繋がっていた。

 そして見上げる。


「高いな。入口ってあそこにあるやつか?」

「森にこんなのがあるなんて」


 周りの木々より倍くらい高い岩肌の1本の柱がそびえ立っていた。その天辺には

 半ドーム状の入口らしきものがある。


『妾はここまでしか来れん。中に入るまで魔法は受け付けんぞ』

「じゃあ転移が使えないのか」

『そうなるな』


 ならばとジルコートを喚びだした。


『なんと、銀ではないか』

『久しくね、お婆ちゃん』

『通りでこの者から懐かしい匂いがしたのか』

『この人に助けてもらったの』

『そうかそうか。ならば妾と同じだな』


 二体で何やら話し込んでいるみたいだ。

 少しの間沈黙が流れ、やがて。


「お待たせ、さぁ掴まって」

「もういいのか?」

「ええ」


 俺とアイはジルコートの背に乗り、上へと運んで貰った。



『頼んだぞ』










[森羅竜]

 フォレスドラゴン。知能が高い中級種。

 全長4メーター程で4足歩行、翼はなく、背中には小さな森がある。

 その性格は温厚で、森を汚す者以外は襲わない。

 ちなみに、背中の木に成る実は甘くて瑞々しいと評判が高い。






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