第59話 罪への罰
それから2日後の昼前、何事もなく目的としていた街へと着いた俺達はギルドへと向かった。
アーシェは報酬を受け取り、俺は廃村の情報を伝えた。
アーシェからは報酬の半分を渡すと言っていたが断った。名前に反して良い子のようだ。
俺が単なる警戒し過ぎただけなのか。
新たな情報を手に入れ、ギルドを後にする。
「暇ならお食事でもどう?奢るわよ」
アーシェからお誘いがかかり、俺達三人はオススメだという店に案内された。
昼食を取りながら、アーシェが語り始めた。
背徳の称号は過去に犯した罪への罰として自らが推した名だそうだ。
当時からアーシェには召喚士としての才能があり、それに目を付けた悪魔がアーシェを取り込み、数々の人を苦しめたそうだ。
しかし、苦悩の日々が続いていたと。
その時に羊竜と出合い、苦悩するアーシェに優しく語りかけ心を洗い流してくれたのだと。すぐにアーシェに囁き続ける悪魔を葬りさってくれた。
デポルラポルはその時の名残で、双子の下級悪魔だったそうだ。
悪魔を葬りさった後、双子にどうするか聞いたら着いて行きたいと力になりたいと言われ、現在でも共に行動し、信頼できる仲間だと。
更に後二体契約している召喚獣が居ると聞かされたときには驚いた。
この話を聞いた俺は恥ずかしくなってしまった。
アーシェという人物を知らずに疑いの目を向けていた。
実際のアーシェは素直で優しい子だったのだ。
「だからね、私には仲間と呼べるのはこの子達だけなの。他の人と一緒に冒険したのは1度もないのよ」
「そうだったのか」
「…ねぇ、アーシェが良かったら私たちと一緒に冒険しない?ね、いいよねサキ?」
「もちろん!俺も大歓迎だ」
少し悩んだアーシェは。
「ごめんなさい…凄い嬉しいんだけど、今はまだ…」
「うん」
「でもね、次会ったときはまた誘ってほしいな!その時まで必ず自分のやることを終わらせとくわ!」
「もちろんよ!約束だからね」
また会う約束をし、アーシェと別れ宿へ向かった。
「良い子だよね」
「ああ」
「あんな辛いことがあったなんてね」
「ああ」
「…ねぇ」
「ああ」
「泣いてるの?」
「ああ…!って泣いてねーよ!」
「嘘だぁ。目赤くなってるよ」
「見るんじゃねーよ」




