第51話 元騎士団
どうやら先の戦いの最中、俺の銃が無くなってしまったみたいだ。アイも知らないみたいだ。
そして怒られた。
「いくらしたと思ってんの!?なんで無くすかな!」
と。
あれはこの国じゃ手に入らないだろうと諦めた。
アイはアイで、盾にヒビが入り限界だと言っている。
そしてその盾を買うべく俺達は武器屋に来ていた。
ここでは珍しくもない普通の盾しか置いていない。
「もっと強度のあるやつないの?」
「うちはこれしか扱ってないんだよ。すまないねぇ」
「他に盾売ってる店ない?」
「大通りから入ったところに1件あるよ。あの食べ物屋の先を曲がったとこだ」
「ありがとう」
2件の武器屋がある方は被害がほとんどなく、通常に営業してた。
表通りとは違い、随分薄汚れた所だった。
「いらっしゃい。若いオナゴが珍しいな」
「盾を探してるんだけどいいのない?」
「盾か。大きさはどのくらいだ?」
「私くらいの大きさを「あーないない。そんな大きいのなんてもっとデカイ街へ行きな」
そこへ話を聞いていた老人が歩み寄る。
「お前さん方、盾を探しているのか?」
「はい。私の身長と同じくらいの盾を探しているのですが」
「ならワシの家においで。古いもんだが見てみるといい。なぁに、すぐそこだ」
老人に誘われ、彼の家を訪れた。
「ちょっとまってな」
…
「ほれ、これだ」
そう言って老人が持ってきたひし形の大きな盾は古そうに見えるがよく手入れがされて錆一つない。裏面の中央には青い石がはめ込まれていた。
昔、国王軍の騎士に属していたときのものだそうだ。
「サキ!凄く良い盾よ」
「これはスゴいな」
「あのお爺さん。この石はなんですか?」
「そこに魔力を溜めておけるんだよ。余裕があるときに溜めておけば戦闘で魔力を使い果たしたときでもこの石から魔力を貰えばいいだけだ。どうだ?便利だろ?その盾はお前さんにやろう」
「え?でもこれはお爺さんの大切なものなんじゃ?」
「なに。街を守ってくれた英雄にケチケチなどせんよ」
歯痒くなり、照れてしまったアイ。
お礼を言うと今度は。
「お前さんにはこれをやろう。何十年も前のだが使えるだろう」
取り出したのは随分と古い形をした銃だった。俺が使っていたのよりも少し大型で2発の弾薬を直接砲身の後ろに込めるタイプの二連銃だった。
「それも当時護身用として貰ったものだ。遠慮せず持ってくといい」
「お爺さんの故郷ってこの国じゃありませんね?」
「多分お前さん方と一緒だ。この国で銃なんて見たことないからな」
「やはりそうでしたか。大先輩からの贈り物として頂戴致します!有難う御座いました」
「ハハハッ!こちらこそ街を守ってくれてありがとうな」
こうして思わぬ収穫があった俺達は復旧作業を行っているエルフ二人の元へ行き、日が暮れるまで瓦礫を片付けた。
本来の目的地であったクインテットに行くにはこの先の街を経由した方が早いと聞いた。
出発予定は明日。エルフ達二人はこの街へ残るそうだ。




