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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第289話 終わりの始まり

 


「創初竜、墜ちたのか」

「そうみたいね…」


 要とも言える創初竜が相討ちになり、残るケテルはジルコート達召喚獣に任す事になるが…冥界の力を借りれば倒せるのか?どうもまだ何かあるように思えて仕方がない。

 仲間に加えるようにと言われて手に入れた轟神竜(トールドラゴン) の珠、まだそれを使っていないのだ。


「…これからかもな」

「何か言った?」

「アイは覚えてるか?俺達、世界樹へ行ったとき轟神竜に会っただろ?」

「あー、忘れてた。珠を貰ったよね?」

「あぁ。それをまだ使ってないんだよな。まだ何か来る予感がしてならないんだ」

「…それ、外れること祈るよ」

「俺もだ」


 周辺の悪魔は数を減らして来ており、此方側は余裕が出来てきたが幾体もの悪魔がケテルを囲んでいてジルコート達の攻撃はソイツ等に阻まれていた。

 それでも切り込んで行いったエリュテイアとルティが最初にケテルへブレスを放った。


「どうだ!部下任せにしてっと痛い目見るぜ!!」

「鬱陶しい羽虫が」

『油断するな赤竜!』

「っ!!」


 挑発したエリュテイアに向けてケテルは光魔法の光線を撃つ。

 それを寸での所で回避し、ルティと共に再びブレスをぶつけた…が。


「コイツ!俺達のブレスをものともしねぇーのか!?」

『傷すら付けられんとは、些か厄介だな』


 二竜のブレス、特にバハムートの攻撃は強力なのだが、ケテルは防御魔法を使うことなく生身で受けているのにも関わらず出血すらしていない。

 デカくなっただけだと思っていたが、それと比例する攻撃力と防御力を誇るようだ。


『だが、その図体では鈍足だろう』

「付いて来れねースピードでぶちのめせば良いだけだ!」


 ケテルは見た目通り動きは鈍く、エリュテイアとルティの攻撃は効いてる様子が見られないものの、対応出来ずにただただブレスを浴びせられていた。

 頭を向けて魔法で追撃に出るも、避けられて逆に魔法をぶつけられる始末であり、更に取り巻きを片付けたジルコート達の数体が加戦して総攻撃を開始する。


『ケテル王!!』

『我相手に背を向けるとは舐められたものですね』


 ズクと殺り合っていたメタトロンは後ろで竜達に取り囲まれているケテルの身を案じてか振り返ってしまい、その隙を突いたズクは鎌状の腕で胴体を2つに切り裂くと、地面へ叩きつけられたメタトロンは。


『もうし…わけ、ありません…ここまでのよう…です…………王の、マルクトの、未来を…頼む。…イェソド!!』

『了解致しました』


 ケテルの後方からこの戦いを見下ろして一体の悪魔、イェソドはメタトロンに応えて何かを囁き始めた。


『イェソド!?奈落王、アレを止めなくては』

「クソ、邪魔するなエノク!チッ!ズク、頼んだ!」


 エノクと対峙するタルタロスは未だ決着が見えてこず、イェソドを止めるためにズクが更に飛翔して斬撃を繰り出してメタトロン同様引き裂かれたイェソドだったが、微笑を浮かべて言い放った。


『もう遅いのです…何もかも…』


 ケテルを中心に邪悪な魔力が広がって周囲を飲み込んでいく。

 何をしたかのか、それに気付いたのはズクとタルタロス、ケテル、それにルティだけだった。


「早く!皆を!!下げさせなければ!」


 タルタロスは叫び、危機を知らせようとしていた。

 それにケテルでさえも。


「おのれイェソドめ!!余までも巻き込むつもりか!!?」

『…王よ…民の為に……どうか』

「やめろ!!止めさせろ!!イェソドー!!!」


 錯乱するケテル、エノクは鎖に、タルタロスはエノクの魔法で縛られ、“ソレ”を感じたルティは近くに居たジルコート、エリュテイアを暴風で吹き飛ばす。


「な、なに!?」

「おい!お前!!」

『終焉を、なんとしてでも倒すのだ』


 広がる闇から逃れたのはジルコートとエリュテイア、ズクの三竜だけ、残りは闇に消えてしまった。

 俺達はその光景を遠目で見ていたが、何が何だか理解は出来なかった。


「一体何が始まったんだ!?」

「サキさん!ルティの反応が、消えました」

「サキ、ギアス、ノワも消えちゃった…」

「なんだと?あの闇は何なんだ!?」

「上、なんか居るよ」

「なんだよ、あれ…」


 アイが指差すのは先程までケテルが居座っていた所の真上。

 徐々に晴れる闇から姿を現したのは暗闇を具現化した鱗に何百メーターもある胴体、それは昔読んだ誰しもが知る物語に登場する大蛇…


「終焉竜………ヨルムンガンド」



[まだ大陸に名前が存在しない遠い昔、悪さばかりする三体の魔物がいました。

 業を煮やした監視者は彼等を牢獄しようと使いを出しました。

 空の監視者は怒髪天主と共に巨人ヘルヘイムと戦って牢獄を諦めて彼女を遠い地へと追放しました。

 その時に死者を導く役目を命じました。

 陸の監視者と怒髪天主はフェンリスと戦いましたが、怒髪天主は食べられてしまいます。

 陸の監視者の怒りに触れた巨狼フェンリスは敗れて心を入れ替えるから助けてほしいとお願いしました。

 願いを受け入れた陸の監視者はフェンリスと2度と悪さをせず、これからは世の為に力を振るう事を約束させて神界へ帰しました。

 海の監視者は稲妻王を連れて巨蛇ヨルムンガンドに戦いを挑みました。

 海の監視者によって空へ追われたヨルムンガンドは、稲妻王の槌で砕かれて頭を牢獄させようとしました。

 ヨルムンガンドは最後の力で毒を撒いて稲妻王の命を奪います。

 嘆いた海の監視者はヨルムンガンドの頭を巨人王へ預けて血肉にしてほしいと言い残して去っていきました。

 三体の魔物が居なくなった世界は平穏が訪れました。

 しかしそれも長くは続きません。

 子供達を失った悲しみからロキは世界を壊そうと動き出しました。

 大陸を焼き、海を荒らし、太陽の届かない空、監視者も手を尽くしますが、相手は神様です。

 下手に手を出す訳にも行きませんでした。

 そんな中、ロキを癒したのは巨人の女性でした。

 巨人の女性はロキを抱きしめると、お互いに涙を流して空高くへ消えました。

 その後は地上の民によって荒れた世界は少しずつ元へ戻って幾百年後には本当の平和が訪れました。]

























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