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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第287話 連合軍

 


「これが創初竜…圧巻だな」

「何を呆けていいるの!?まだ終わっていないわよ、紫」

『其奴の言う通り、見とれるのも分かるがな』

『創初…』

「青、黒まで」

「堅いこというなよ銀。これで俺達の勝ちは決まりだろ!紫の親父さんの仇も取れるってもんだ」

「赤の嬢ちゃんよ、嬉しい事を」

「それよりも私達は逃げなくて良いのかしら?」

「あ?何ってんだ銀…ヤベ!!下がるぞ!!」


 エリュテイアが焦る理由、それは遥か上空から接近してくる隕石群が目に入ったからだ。

 複数の隕石はアルカンシエル目掛けて降り注ごうとしており、ジルコート達は攻撃範囲外への離脱を余儀なくする。

 創初竜の攻撃は圧倒的破壊力を持っていたが、アルカンシエルも負けじと各頭からブレスを放って迫り来る隕石群を破壊していくも、取りこぼした塊によって半身を失う。


「ガァァァァァァー!!」

『言葉までも失いながら奴に仕える理由はなんなのだ?まぁ、答えられんだろう。我が還してやろう』


 空に光りが走ると、創初竜はアルカンシエルと同等の大きさまで縮んで地上へ舞い降りて再生しようとするアルカンシエルと立ち並ぶ。




『彼奴はマズ過ぎるぞ!何故人間があんなモノを!…あの人間か!!何時まで帝の相手をしている!?お前達は早く王の元へ行け!』


 一体の悪魔が俺達の方へ飛んでくるのが見える。

 因みに、精霊王が喚んだ帝は悪魔に押さえられ光帝と水帝の二体が持ちこたえていたが、それも時間の問題だろう。

 下がっていたジルコートとノワルヴァーデは悪魔に気付いて魔法を放つが、二竜

 の攻撃を交わしながら更に速度を上げて俺の目の前にまで来ると、手にした槍で突きを繰り出す。


「貴様!マスターに手を出すとはいい度胸ですね!堕ちた大天使メタトロン」


 俺はクリスの剣を構えて応戦しようとしていた所、間に割って入ったジャンヌが悪魔の槍を弾き返して怒りをあらわにしている。

 

『煉獄の騎士無勢が。お前の相手は用意してやるからそこを退けっ!』

「何を喚ぶかは知らないですが!まとめて相手になりましょう!!」

『力量の差も分からんのに一端の口を聞くな』


 チリチリとつばぜり合いをしていたジャンヌを蹴り飛ばして魔法陣を浮かび上がらせると、人間サイズの[エノク]と呼ばれる女魔法使いを召喚しジャンヌの相手をするよう指示を出していた。


「アイ、下がっていろ」

「でも!」

「いいから下がれ」

「…分かった」


 エノクの風の刃を切り払うジャンヌを尻目にメタトロンは俺目掛けて翼を広げ、突きの連打を咬ましてくる。

 その突きは今までのどんな相手より鋭く速く、俺は一心不乱に捌くも時折頬や脇腹を掠めてしまう。


『あの時生かした事を後悔するとは、己の失敗は己で返させて戴く!』

「好き勝手やっといて今更だな。此方とて譲れない物がある以上敗ける訳にはいかないんだよ」

『守るだけで手一杯のクセに何を言うか』

「クリス、お前の力借りるぞ」


 クリスの剣から発せられた冷気はメタトロンの得物を包み込んで小手先を氷らせると狙い通り距離を取ってくれた。

 すかさずハンドガンを引き抜いて1発、2発、3発と撃ち込んで怯んだ所に頭部へ4発目を食らわす。


「魔弾の味はどうだ?覚醒態だからとて無事ではいられないだろ」


 弾を食らって反り返ったメタトロンを見て倒れるのも時間の問題と思いきや、体勢を戻して何事もなかったかのように振る舞いを見せた。

 額と胸から血が流れているため弾は間違いなく貫いているのだが何故立っていられるのか、コイツには通用しないのかと考えていると、アルカンシエルを包むように青白い炎が上がって鎮火した後にはソイツの姿は消えていた。


「お前には驚かされたがアルカンシエルは倒されたようだな」

『…流石と言うべきか。全員王を守れ!後退するぞ!』

「逃げるのか?」

『王の護衛が最優先だ』


 引き下がるメタトロン達に追撃した所で返り討ちに合う可能性の方が高い為そのまま行かす事にしたが、此方もあらかた片付いていたので俺達はこのままケテルの元まで進行する。




『跡形もなく焼き尽くせば再生も去れまい。さて、残すは愚王を相手どろう』


 苦戦を強いられていたアルカンシエルを意図も簡単に倒した創初竜は、魔王ケテルへと視線を向けた。


 一方でケテルの真下まで飛ばされたズクとタルタロスは巨人タイプの悪魔の群れに阻まれて先へ進む事が出来ずにいた。


「まさかアルビオン率いる巨人隊まで出払っているとは」

「しかしアルビオンの姿がありませんね」

「皆おんなじ顔だから見分けがつかんよ。どいつもズクと同サイズってのは骨が折れる」

「奈落王、あれを」

「おー、流石は原初の竜だな。アルカンシエルを一撃とは」

「此方も遅れを取るわけにはいきませんね」

「よし、本気を出すか」

「始めからそうして下さい」


 地中から無数に生えたタルタロスの鎖によって身動きを止められた巨人達をズクとタルタロスは切り裂いて行き、残すはケテルの側に控えた巨人だけとなった。








[エノク]

 数千年前、大賢者として名を馳せた元人間。

 神に誓いを立てて死後は天使と共に神に仕えていたが、悪魔との戦争によって2度目の命を落とし、メタトロンの蘇生の儀によって復活を果たして以降、メタトロンの召喚獣として生きることとなった。

 全ての属性の魔法を使いこなし、攻守共に優れた力を持つ。



[アルビオン]

 天界で巨人族の部隊を率いていた巨神の子であったが戦争に負けてからは天使同様に魔界へ送られる。

 魔力は桁違いに高いが肉体強化しか使えない。




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