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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第280話 墜とされた聖剣

 


 光りになって消えて行くジルコート達、黒く焦げて落ちて行く雷竜と雲竜を見て全てを失った感覚に襲われた。

 息も荒く杖にもたれるアーシェ、シャルウルを解き放った為スタミナ消費軽減の杖を持っていても、いや持っているからこそ何とか立っていられるのだろう。


「大丈夫か?」

「ええ、なんとかなっているわ」

「全滅とは恐れ入る…覚悟を決めるしかないなサキよ!」

「…アイ、アクロポリスを渡す。幻影でブランを出して回復した後援護してくれ」

「ん、りょーかい!」


 俺は真名の元にティリンス・アクロポリスを一時的にアイに譲渡し、奴を見ながら口上を唱えてラグナロク・アポカリプスを召喚する。

 アイは幻影召喚魔法でブランを作り出して俺達のスタミナを回復させてもらいつつ、アクロポリスの召喚を行ってラグナロクと連携させる。


 ラグナロクの無数の剣が地上から、アクロポリスの幾本の大剣が上空からエデンを襲い、手にした剣を振るって二人同時に斬りかかる。

 二人が交差した瞬間、眩い光りが放たれて一瞬視界を遮られて再びエデンの姿を確認した時、アクロポリスとラグナロクは“すまない”と言い残して消失してしまった。


「あれほどの攻撃に耐えたというのか!?サキ、どうするんだ!?」

「あの二人ですらダメなの…」

「だがアイツ等の剣は突き刺さってる。ダメージはあるはずだ」

「私、もう一度シャルウルを喚ぶわ」

「頼むぞ」


 今一度アイの力を借りてサテライトシャルウルを喚び出したアーシェ。

 その線光はエデン目掛けて降り注ぐ。


「…もう、笑うしかないな…」


 シャルウルの攻撃が止んで俺達が目にしたのは未だに飛び続けるエデンの姿であった。

 俺とロイには残された召喚獣はいなく、アイとアーシェは既に限界を迎えていた。

 最後の手立てはアイテムボックスにある竜の珠…いや、この間受け取った冥府の勾玉があることを思い出した。


「アイ、アーシェ、勾玉を使うぞ。最後の希望だ」

「それに賭けるしかないわね」

「そうだね、これでダメなら後がないよ」

「行くぞ」


 勾玉を取り出して空へと放り投げると、赤黒い光りが放たれてバイデント、巨人のアイアコス、石榴竜の三体が顕現され、その内の2本の魔剣バイデントが俺の前に突き刺さる。


『『我を目覚めし者、振るうが良い。世界薙ぎの力を!』』


 禍々しい二振りを握ると、全身の血が沸騰したような感覚に陥って意識が持っていかれそうになるのを堪えていると、今までに感じた事のない力が湧き上がってくる。


『『我の力に耐えるとは、流石は冥王が選んだだけの事はある。さぁ、ルビよ。背中を貸して貰おうか』』

『偉そうに』


 ルビは石榴竜の名であろう、そう言いながら俺の前に降りてきた石榴竜はジルコートと大きさは同じ程である。


『まぁ、いいや。乗りな、さっさとケリをつけるぞ。アイアコスの出番はないかもな』

『…それだと嬉しいが』


 石榴竜もアイアコスもダンディな声をしていた。

 そんな事より。


「意識を保っているのがやっとなのに俺なんか役に立つのか?」

『『心配はいらん。我に任せるがいい』』

『何、其奴等に任せておけばいいんだ』

「…分かった。頼んだぞ石榴竜」


 石榴竜に股がるとエデンに向かって一直線に飛び立った。


「負けないでねサキ」

「任せたわよ」

「武運を祈るぜ!、おい!大丈夫か!?」


 アイとアーシェはそう言い終わった途端にその場に倒れてしまう。


「!?」

『…心配するな。私が守ってみせよう』

「アイアコス…すまん」

『身構えろ!来るぞ』

『『避けてみせろ。ルビよ』』

『言われなくても』


 エデンから放たれた強大なブレスを軽々とかわした石榴竜。

 そのブレスはアイ達を巻き込もうとしていたが、アイアコスは手にした大槌を振りかぶって大地を持ち上げて巨大な壁を隔てると、ブレスは壁に阻まれてアイ達へ届くことはなかった。


『言ったであろう。守ると』


 ならば俺は目の前の敵に集中しよう。












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