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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第277話 対アスモデウス

 


 街は破壊されつつも確実にダメージを稼いでいく三竜であったが、どうにも決定打に欠けていた。

 どうすればと悩みながらもブレスを放つジルコート、苛々しながら接近戦で応戦するアルバスにノワルヴァーデが囁く。


『青、あれ』

『どうしたのだ?ん?あれは』


 ノワルヴァーデが見つけたのはアクゼリュスの右脚に浮かんだ契約紋であった。


『でかしたぞ黒よ。銀、黒と共に奴の右脚を狙え、注意は我が引き付ける』

「了解したわ」


 アルバスがヘイトを稼いでいる間にアクゼリュスの右脚に攻撃を集中させて幾度めかのブレスによる同時攻撃で遂に胴体から切り離した。

 契約紋を失ったことによって弱体化されたアクゼリュスに三竜は畳み掛ける。


「これで『終わり』」

『最期だ、デカブツ』


 ジルコートの光魔法、ノワルヴァーデの黒魔法、アルバスのブレスで頭を潰すと崩れ落ちて行くアクゼリュス。

 ようやくとどめを刺すことに成功し安堵するジルコート達。

 此方に大したダメージは無かったものの、街は半壊しており何人か犠牲は出たであろうと推測されたが、遠巻きに見ていた住民からは歓喜が聞こえた。




『我が分身が敗けたのか』


 俺とアイの二人による斬撃を硬化された腕で防ぎつつ呟いたアスモデウスは余力を残しているように見える。

 俺は二振りの拵えで攻め立てて尚且つアイの二人だと言うのに随分と余裕があるんだな、なんて事を考えていたらアイの攻撃を弾いたアスモデウスはその動作のまま俺の攻撃を両手で受け止め、腹に一撃の足蹴りを咬まされてアーシェの元まで後退させられてしまった。


「サキさん大丈夫なの!?」

「ああ、なんとかな。アーシェはジル達と住民の救済に当たってくれ、ここは俺達だけで平気だ」

「わかったわ。気を付けてね」

「アーシェもな」


 アスモデウスの攻撃を一心に受けているアイの元へ急いで駆け寄り盾を手にして全力で殴りかかると、怯んだ様子を見せる。

 意外と打撃による攻撃は有効打なのかもしれない、それに気付いたアイも剣を振るうより盾を振りかざして打撃を与えた。


「サキ!」

「おうよ!」


 盾でもう一撃を食らわせて防御が崩れた隙を見て胸元へ一突き。

 拵えは深くまで突き刺さり苦悶の表情を浮かべるアスモデウスの背後を取ったアイは、剣を振るい上げて背中を切り裂いてトドメに舞わしていたクレイモアを頭上へと落とし、クレイモアは頭から胴体へと貫かれた。


「俺達の勝ちだ」

『…そのようだな』

「まだ意識があるの?」

『残した種がここまで育つとは…嬉しい誤算だ』

「種?あの時わざと俺達を見逃したと言うことか?」

『…復讐心を抱き……の野望を…神を殺める存在へ…』

「なんの話なのよ!?」

『さらば…だ』


 その言葉を残してアスモデウスの身体は骨へと変わり、やがて塵になり建物の間を吹き抜いた風によって宙へと舞った。


「サキ…」

「仇は討てたんだ。何だかは知らんが気にするな」

「そうだよね。早くアーシェんとこ行こ」

「ああ」


 俺達もアーシェの元へ向かうと、三竜は瓦礫を撤去しながら生存者を探し、アーシェに喚ばれたデポルラポルも無事だった住民と一緒に散策を行っていた。


 街は半壊したものの幸いにも死者は少なく、この程度で抑えてくれた事を周りから感謝された。

 ギルドに居た低ランクの冒険者達も不謹慎ではあるが勉強になっただろうとギルドマスターは言う。


「さて、ジル、皆、お疲れさん。後はゆっくり休んでてくれ」

「マスターもお疲れ。また何かあったら喚んでね」

「ああ、そうさせてもらうぞ」

『還るとするか、悪魔達よ』

『はい』

『主、また』

「うん、お疲れ様」

「お疲れ様。また宜しく頼むわね」


 ジルコート達を戻した俺達はもう1泊この街に留まり、翌朝次の街を目指した。





『もう私達だけでは限界です!ガブリエル様!!』

「待っていろ!今行く」

(カマエルとヨフィエルが目覚めて忙しいと言うのに!王も既に自重が効かぬ様子、あの状態で送っても制圧出来るとは思えん)

「私達なんてほっといて早く行きなさい」

「黙れ!味方殺しが口を出すな!」

「怖いわねぇ。ねぇ、カマエル?」

「…」

「いいか、大人しくしていろよ」


 魔鉄の牢と楔によって封じられた女性二人を置いてガブリエルは王の元へと急いだ。


(目覚めたことを悪魔達に悟られたら想定した事態が起こってしまう。それだけはあってはならんというのに…手間をかけさせてくれる!)





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