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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第275話 奈落への導き

 


「助けられずに…すまなかったな」


 男はハーキュリーとラミントンであった肉片に一礼する。


『新手か』

『たった一人で我ら兄弟と殺り合うつもりか?』

「貴様等の行いを正しに来たのだ。その悪しき魂、俺が貰い受ける」

『『世迷い言を!!』』


 向き合った男と機械兵、最初に動いたのは悪魔達の機械兵サナトスだった。

 2本の右腕を振るってビームブレードを放出させて男を焼き払おうとした…のだが、先程まで付いていたはずの右腕が2本とも地面に落ちていることに気が付く悪魔達。


『な、何が起きた!?』

『や、奴がいないぞ!』

「そうか、久々だから張り切っているなイクシオン」


 サナトスの腕を切り落とした男は既に背後へと回り、独り言とも思える言葉を愛刀へと向けていた。

 背後を取られたことに気付いた悪魔達は即座に機体を反転させて勢いのまま斬りかかると、男はその攻撃を受け止めてみせる。


『だが、しかし!!』


 左腕のもう1本が男を襲うも、1本目を弾き返して2本目を振るい上げた愛刀で防いだ。


『それでも!!』『だとしても!!』


 と、背部から新たに2本のアームが延びて掌からビームを放ち、男共々地面を焦がした。

 土煙が上がり視認が悪い中、コクピット内に警告音が鳴った瞬間には頭部が切り落とされ、モニターが暗闇へと変わった。


『こ、これ程とは』

『だが!!』

『楽しいなぁ!兄弟ぃー!!』

『激しく同意だな!兄弟!』


 悪魔達はハッチを開けて直接目視しようとした時、突如と目の前に現れた男に大して動揺して機体の制御を崩してしまう。


『何をしている、兄弟!!』

『す、すまん』

『えぇい!脱出しろ』

「もう遅い」


 体勢を崩したサナトスを追ってきた男は手前の悪魔の頭を貫き愛刀を引き抜く。


『兄弟ぃー!!!』

「何か残す言葉はあるか?」

『!!き、貴様はタルタロス!?何故地上にいるんだ!?』

「それは自分達の魂に聞くがいい」

『堕ちた旧神がぁー!!』


 飛びかってきた悪魔に一突き、胸元へと愛刀を押し合てて二体の悪魔は命尽きる。

 倒れ行くサナトスの中から飛び降り、愛刀を労るかのように声を掛ける。


「満足したか?イクシオン」

『ま、まだ終わりでは…ない』


 サナトスのコクピットから息も絶え絶えに這い出てきた一体の悪魔、相方は既に力尽きているだろうがそれでもまだ殺り合うとしていた。


『我等兄弟は覚醒態なのに…こんな、ところで終わる訳には行かん』

「もう十分だ。サリエル、アズラエルと共に落ちろ。我が奈落まで」


 サリエルと呼ばれた悪魔を地面から生えた数本の鎖が巻き付くと、地中へと引きずりこんで行く。


『タルタ…ス!覚えておけ…我等…いつの日か…必ず!』

「世界の終わりまで幽閉されては覚えていても仕方がない」



 それを見ていたルガとマーデルは安堵と哀しみで涙を流した。

 仇を打ってくれた男タルタロスに感謝し、ハーキュリー、ラミントン、ソルロの三名の冥福を祈った。


「本当に有難う御座いました」

「地上の民は巻き込まれただけに過ぎない。それを拭うのが俺等の仕事さ。憎まれはするが感謝されるような事ではない」

「それでもアンタは俺達の救世主だ」

「…そう言われると照れるな。…二人とも、これを持っていけ」

「「これは?」」

「あー、こっちではなんだけっなぁ、、、確かアイガイオンとギューエスだっかな。まぁその二体を喚び出せる石だ。いつの日か使う時が来よう」

「ヘカトンケイル…」

「そんな物を俺達に!?」

「地上を巻き込んでしまったお詫びだ。ではまた何処かで会おう」


 タルタロスはそう言い残してルガ達の前から姿を消えた。










[サリエル・アズラエル]

 元大天使と裁天使、双方とも死を司る天使であったが、生命の生き死により無機質な機械への好奇心が勝ってしまった。

 兄弟と呼びあっているが本当の兄弟ではない。



[イクシオン・タルタロスの鎖]

 奈落王が所有する大太刀とタルタロス本人でも切ることが出来ない鎖。

 イクシオンは忠誠を誓うことで幽閉を免れており、幾年も炎を浴びていた事により熱を持った刀身の切れ味は如何なる神話級の武器を凌駕する。



[百腕巨兵]

 ヘカトンケイルとも呼ばれる奈落に幽閉されていた三体の巨人達。

 一度は神に救われたが、幾度となく戦場へ駆り出されその都度、神の要望に応えてみせたが労いの言葉一つないのに嫌気が差してタルタロスの元へと戻ってきた。










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