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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第269話 動き出した者

 


 街を出て3日が経った頃、ようやく目的地に到着した俺達は、取り合えず一息入れる事にした。


「この樹海の中をどうやって探すのよ?」

「ルナを喚ぼうかしら?」

「気配を探知出来なきゃ途方も無さそうだしな。アーシェ、一服したら頼んだぞ」

「ええ。でもあの冒険者達は何をしていたのかしら」

「確かに。道から外れてるしダンジョンもないし、挙げ句に出てくるのは討伐対象にもなってない魔蟲ばかり」


 アーシェとアイが言うように、この樹海には本当に何もないのだ。

 近道って訳でもなく、本当に何をしていたのかは不明であるが、もしかしたら新たな発見を求めて入ったのか、それとも迷いこんだだけなのか。


「理由を聞けば良かったな」

「後の祭りね」

「まぁ、そのお陰でドラゴンを目撃出来たんだから」

「そうだな。最近では竜が居るところに悪魔ありって感じになってるからな。正体を暴いておかなくては」

「そうね。さてと、そろそろルナを喚ぶわね」

「ああ、頼む。俺もジャンヌを喚ぶ事にしよう」

「え!?」

「仕方ないだろ。樹海の中を探索するのにジルを喚べとでも?」

「そうだよねぇ。どうぞどうぞ、お喚び下さい」


 いつもアイにダル絡みを仕掛けるジャンヌは苦手らしい。

 しかし、この深い樹海には人型になった竜よりも機動力があるジャンヌやルナが相応しいのだがら仕方がない。


「ってな訳で宜しくなジャンヌ、ルナ」

「御意!必ずや見付けてみせます!すぐに、本当にすぐなのでサッと戻ってきます!」

「あ、ああ、俺達も辺りを探るからなんかあったら知らせるか戻ってきてくれ」

「戻ります!念話なんかより直接顔を見てお話しいたしましょう!」

「分かったから、頼んだぞ」

「御意!」

「相変わらずね。サキさん愛されて嬉しいんじゃない?」

「悪くはないが、ジャンヌは子供みたいな感じだからな」

「って言ってるわよアイさん」

「!?なんで私に振るのよ?」

「別にぃ?なんでもないわよ」


 ニヤニヤしながらアイをからかうアーシェ、どっちにしろ絡まれるアイだったみたいだ。


「お子ちゃまアーシェにはまだ早い話だよ」

「アイさん、私の方が精神年齢高いわよ」

「酷い!私はアーシェの事、可愛い妹だと思ってたのにー。そんな事言うんだ」

「冗談よ。怒らないで、!!」

「どうしたの?」

「ルナが解除されたわ…」

「なんだと!?やられたのか?」

「それしかないわ。大体の場所なら分かるわ、行きましょう」


 契約者と召喚獣はお互いに場所が掴め合えると共に、その身に何かが起これば察知することも出来る。

 強制解除されたとなると、そこに何かが居ることは確かだ。


『マスター!来てはダメです!!コ、コイツ、強すぎます!』

『ジャンヌ!!今行くから逃げろ!』

『…申し訳、ありません。ちょっと無理そうです…』

『ジャンヌ!?』「ジャンヌがやられた…」

「一体何が居ると言うのよ…」

「あの子を退けるなんて普通の竜じゃないよ」

「ああ、アーシェはいつでも召喚出来るようにしといてくれ」

「分かったわ」

「アイ、行くぞ」

「りょーかい!」


 強制解除されたジャンヌとルナが最後に居た場所はもう間のなくだ。

 俺とアイが先行して駆け出すと、切り倒された木々の中央に漆黒のワンピースを纏った女性の横顔があった。

 その女性は俺達の方へ身体を向けると、右腕が鎌のような刃物と一体化しており、大竜と同等かそれ以上の禍々しさを感じた。


『それ以上歩み寄ると斬ります』

「分かった。近付かないから1つ教えてくれ」

『なんでしょう?』

「ここで何をしているんだ?」

『別に何もしていません。地上へ来たばかりなので少し身体を慣らしていました』

「サキさん!アイさん!ダメよ!!その人はドラゴン、アスカラポスドラゴンだわ」

「アスカラポスって、あの?」

「冥庭竜…」

『ご存知でしたか。確かにそう呼ばれています。そちらの方から悪魔の匂いがしますね』

「!!悪魔と契約しているからそう感じるんだわ」

『なるほど、では我々の敵と言うことになりますね』

「冥庭竜、なんの目的で地上に来た?」

『冥王の命によって、不毛な争いを止めに来たのです』

「不毛とは?」

『天界と魔界の住人による争いです。そちらの方ならもうお分かりに頂けたのではないでしょうか?』

「アーシェ?どういうこと? 」

「…」

「冥界が動く事を知っていたのか?」

「…ええ」

「何故知っていた?教えてくも良かったんじゃないか?」

「それは…『潮時だな。役立たずめ』


 その[声]は背後から向けられた。







[冥庭竜]

 またはアスカラポスドラゴンとも呼ばれる姿のみ伝えられる冥界の漆黒竜。

 冥界では庭番を勤めており、鎌状の右腕で庭木の管理を行っている。

 正確な情報は分かっていないが、大竜に匹敵する程の強大な力を有していると聞く。












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