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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第267話 同じ穴のムジナ

 


 リューグの得物は2丁のハンドガンと体技で、俺とやり合いたいらしい。


「サキさん、アイツは僕にやらせて下さい」

「雑魚は引っ込んでいなさい。私は銀翼を指名しているんですけどねぇ」

「出来るのか?」

「はい、もうダウンは取らせません」

「チッ!なら早々に片付けてあげましょう」


 両手で剣を構えたアーセナスに対してリューグは、2丁のハンドガンを連射して距離のアドバンテージを活かそうとしていたが、舞わせていたシュヴェーラのシールドをアーセナスの前に送り込んで弾丸を防ぐと。


「借ります!」


 とシールドを掴み、リューグへ駆け寄って行く。

 全ての弾を防がれたリューグは弾切れを起こしたのだが、マガジンを抜いた両銃を宙へと投げると新たに取り出した2つのマガジンを投げ、落ちてくる銃を掴むと同時に投げたマガジンを装填して見せた。

 これには俺も驚いたが、アーセナスは気にすることもなく、更に距離を詰めよって行った。

 と、俺もゆっくり見ていられないようだ。いつの間にか盗賊達に囲まれてしまい、相手をしなければならないらしい。

 アーセナスが救出した彼女達はニエーバとアーシェに任せて剣を振るうことにした。


「ぶっちゃけて言えばブランが暴れてくれればそれで済むんだがな」

「皆さんを助けだしてからなら焼き払うことくらいすぐですよ」

「まだこれだけってことも無いだろうからちょっと待っててもらおうか」

「終わったら教えて下さい」

「あいよ」


 俺は建物の奥へと進むことにした。


 距離を詰めたアーセナスに、リューグは脚技で応戦している。

 剣のリーチなど関係なく蹴りを打ち込んでくるリューグだが、アーセナスもハンドガンを警戒しつつシールドで身を固めて剣を振るう隙を伺っていた。


「隙ありです」

「それは僕の台詞だ」


 振り上げた剣をかわしたリューグは、ハンドガンを突き付けて勝利を確信したようだったが、アーセナスはわざと隙を作って誘い込んだのだ。

 盾に隠した俺の片手剣を、モーションを取らずにリューグの脇腹へと突き刺した。

 その時放たれた弾丸は、アーセナスの耳に穴を空けた。


「ま、まさか…隠していた…とは」

「正当方じゃ勝てないからな。卑怯とは言うまい」

「これも、勝負…」


 最後に胸を貫いてトドメを刺して、アーセナスの勝利でその戦いは幕を閉じた。


 一方の俺は、奥の部屋へと足を踏み入れていた。

 その部屋には外からの明かりは届かず、机の上に火の灯ったロウソクがあるのみで薄暗い上に殺風景な所であるが、男が佇んでいるのが目に止まると、ソイツは話し掛けてきた。


「あーぁ、俺のアジトをめちゃくちゃにしやがって」

「お前達が街を襲ったからこうなったんだろ」

「は?テメェが先に手を出したんだろ。俺の一味を壊滅させやがって、覚悟は出来てんだろうな!」


 と言い放ち、机を蹴り飛ばすと手にした2本の槍を振るい、俺は2刀の拵えで受け止める。


「お前がランドローグだな?」

「俺を知っていてくれるとは、嬉しいね!」


 机が落ちた瞬間、ランドローグは俺の剣を払い退けて右槍の突きを繰り出す。

 それを刀身で受け流し、即座に迫りくる2本目も同様に受け流すと、1歩前に踏み込み2刀を振るうも、柄で受け止められてしまった。


「俺もテメェを知ってるぜ、ゼロニス」

「有名人は顔も割れてしまうか」

「ハッ、仲間が命からがら伝えてくれたんだよ!」

「盗賊風情が仲間などと!あの惨状を引き起こしながら!」


 俺とランドローグは灯りの消えた広くない部屋で攻防による鍔是り合いを繰り返す。


「だからどーした!」

「人を人と思えなければ街で起こした残虐な行為を出来る訳ねーよな!?」

「テメェだって同類だろ!?契約した魔物を酷使する召喚士がよ!」

「ほざけっ!召喚獣は労り合う仲間だ!」

「仲間に死の宣告をしておきながら!良いよなぁ、死なねー仲間ってのはよ!」

「貴様が口に出来る台詞か!?ボスは奥に隠れて外では貴様の仲間達が戦っている!貴様を守る為にだ!!」

「それを殺して回るテメェ等は同じ穴の狢だな!!」

「貴様と一緒にされる覚えはねぇーよ!」


 二槍を弾くと、真上に舞わしていたバスターソードに持ち換えて降り下ろすと、受け止めようとしたランドローグは槍をクロスさせて守りの体勢に入った。

 だが、幾度となく攻防を繰り広げた槍の柄は限界が来ており、降り下ろされたバスターソードの重さに耐えきれずに二槍共砕け、同時にランドローグも一つの身体に別れを告げ2つとなる。

 倒せはしたものの、俺の身体も切り傷が幾つも出来ており、攻防の一瞬を誤ると倒れていたのは俺の方だっただろう。


「冒険者を続けていれば名誉も手に入っただろうに」


 外へ出ると日差しに目が眩み、しばし白い世界が続いたが俺の名を呼ぶ声に答えると、徐々に視界が戻ってきた。


「終わったの?」

「アイか。ああ、ランドローグは倒した」

「出てこないから心配したよ。こっちも終わったよ」

「すまんな、お疲れさん。皆怪我はないか?」

「うん、女の子達もブランが回復魔法掛けてくれて元気にはなったけど…」

「ああ、皆まで言わなくて大丈夫だ。じゃあ戻ろうか」

「うん」

「待って、アーセナスが居ないわ」

「ほんとだ、アイツどこ行ったんだ?」

「知っていますよ」

「ブラン、ほんと?何処行ったの?」

「あの木の反対側を見てください」


 ブランが指差した木へと向かった俺達3人の目に飛び込んできたのは変わり果てた姿のアーセナスだった。










 

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