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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第266話 人質救出

いつもお読み頂き、誠に有難う御座います。

 


 空を飛んでくればあっという間の距離に、盗賊の寝城である廃村があった。

 低空を維持して出来るだけ近くまで行き、見つからない距離の所で下ろしてもらった。

 人質がいなければブラン達で焼き払ってもらえば早いのだが、街の女性達が捕まっている為そうもいかない。

 そこで、ブランとニエーバに人化して手伝って貰うことにした。


「有難うカルテス。また後で喚ぶわね」

『はい』

「カルテスは人化出来ないのか?」

「出来ない訳じゃないけど好きじゃないみたいって言っていたわね」

「好き嫌いの問題なんだ」

「ともかく、人員は多いに越したことないな。ブラン、女の人達が何処に収容されてるか分かるか?」

「弱々しい気配は感じますがそれがその人達なのかは分かりません。それに1ヶ所という訳でもないです」

「バラけられてるんですね。サキさん、ぼく、いや俺が囮になります。その間に救出をお願いします」

「いや、それは危険だ。まずは屋根の上にいる見張りの銃使い(ガンナー)と弓使い(アーチャー)を排除する。その後で各家にお邪魔しよう」

「私とブラン、アーセナスとニエーバで手前から侵入するね」

「私も着いてくわ」

「それは危険だ。今回は人質の救出、アーシェまで守りきれる保証はない」

「大丈夫よ、自分の身は自分で守るわ」

「…わかった。俺が見張りを始末したら双子を喚んで手伝って貰ってくれ」

「ええ、そのつもりよ」


 俺達は頷き、作戦を開始する。

 まずはガンナーの真裏に転移して、声を上げられるのを防ぐ為に片手剣で首を切り落とし、即座にアーチャーの元へ転移して同じように頭を切り離した。

 だが、向かいにいたもう一人のアーチャーに気付かれてしまい、弓を構えながら叫ぼうとしていた所に片手剣を投げつけて胸元へと突き刺す。


「危なかった…」


 安堵したのも束の間、足許の屋根から1本の丸太が生えてきて俺を襲ってきた。

 咄嗟にそれをかわして、隣の屋根へ飛び移る。


「チッ!外したか。お前の相手は俺がしよう」

「丸太を振り回すような怪力馬鹿の相手は御免被りたいがな」

「ハハハッ!最高の褒め言葉じゃねーか!」

『作戦中止だ。こそこそするのは終わりにする』


 アイ達に念話を送って一気に攻め立てるよう指示を出した。

 俺の方は、上がってきた筋肉野郎の相手をしなければならない。


「お前、銀翼だな?そのツラ、有名だもんな」

「俺はお前の顔など知らんな。よほど知名度が低いようだが」

「田舎者は知らねーようだな?俺はテイアズ、元Sランクだ。分かるか?Sランクってことはお前と同じだ!」


 あー、資料にテイアズって書いてあったなと思い出していると、ソイツは丸太を飛ばして自らも俺がいる屋根へと飛び移ってきた。

 丸太を回避しながらテイアズに斬りかかると、防ぐ動作もせずに俺の一太刀をその身に受けるも、横払いした片手剣は筋肉に阻まれて刀身の半分も食い込ますことが出来ない。


「な!」

「俺の肉体は鎧同然なんだよ」


 テイアズは拳闘士なのだろう、攻撃スタイルは力任せに拳を振るう大胆なモノだったがその一撃は重く、振り下ろされた拳を回避すると、足許へぶつかり屋根を崩壊させてしまうほどの威力を見せ付けてきた。

 仕方ない、埃が舞う中で奴の拳と俺の剣を交えながらシュヴェーラを喚び、テイアズの頭上から拵えを垂直に落として頭、首、腹部を貫く。


「アガッ!!ギ、ギダネ゛ーゾ!」

「どの口が言う」


 最後に舞わしているもう1本の拵えを首許へ突き刺しトドメを刺した。


 一方外では、下っ端を蹴散らしていたアイ達の前に2人の女性が現れました。


「貴女達暴れ過ぎね」

「いい加減にしとかないとボスが怒るわよ」


「アイさん離れて!」

「え?」


 片方の女は杖をアイに向けて雷魔法を放ったのだ。

 アーシェが気付いてくれたお陰で防御魔法で防ぎきる事が出来たアイだが、奴は味方が前に居ようともお構い無しに魔法を浴びせるという性格に少々問題がありそうな…いや、盗賊なんてそんなモノだろう。


「ありがとーアーシェ」

「いいえ。あの2人、手強いわよ」

「あら、お嬢さんは私達の事知ってるの?」

「召喚士パラライアの方は知っているわ」

「私はそんなに知名度が低いのかしら?では改めて。私はベザロ、Sランクだった魔法使いよ」

「へぇ、私は両方知らないけどね。どっちみち[元]冒険者じゃたかが知れてるでしょ」

「アイさん、それは失礼よ」


 アーシェは笑いながらアイに注意すると、ベザロとパラライアは顔を赤くして。


「このガキ!」

「舐めたこと後悔させてあげるわ!」


 ベザロは風魔法で刃を作ってそれを飛ばしてくると、ブランは防御魔法を展開して皆を守り、その間にパラライアは広くない通りに背中に16門もの連装砲を背負った獣型の機械兵を召喚すると同時に、連装砲からエネルギー弾が放たれてアイ達に迫りくる。


「あんなの防ぎきれない!」

「主、竜へと戻ります。蒼、貴女もお願いします」

「いいよ。人の姿だと無理だけど」

「本来のカタチなら防げます」


 ブランとニエーバは人化を解いて竜の姿へと戻ると、敵の機械兵から放たれたエネルギー弾を防いでみせた。

 獣型は俊敏性に欠けているらしく、接近した2竜に翻弄されて幾度となくブレスと魔法を浴びせられて呆気なく沈んだ。


「な、私のエラスリウスが…」

「しっかりしなさい!来るわっ…え?」

『遅い』

「ベザロ…?」

『…』

「悪魔…」


 ベザロの魔法を掻い潜ったきたデポルラポルに、ベザロは首を、パラライアは胴体を貫かれて倒れゆく。


 アーセナスの方は屋内での戦闘を請け負い、何人か救出に成功していたが、村長の住まいだったであろう他より一回り大きな民家に入ると中から銃声が響き渡り、アーセナスが壁を突き破って外へ放り出されてしまった。


「アーセナス!!」

「だ、大丈夫です」


 どうやら弾は鎧を抜けずに済んだようだ。

 壊された壁の中には2丁の銃を持ち、片足を振り上げている男の姿があった。


「アイツか?」

「はい、格闘家です」


 銃と脚技を駆使する男は自らをリューグと名乗り、外へと歩み寄る。


「以後、お見知りおきを。とは言え、あなた方に次はありませんけどね。さぁ来なさい、銀翼。」







 

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