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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第262話 横着

 


 セシルは俺達とは目的地が異なる為、別れを告げ一足先に行ってしまった。

 アイは心配していたが彼女の召喚獣は精霊王だけじゃないらしく、心配はいらないとの事だ。

 まぁ、セシル自信も守りに特化すればその辺の竜種や悪魔じゃ手も足も出ないだろう。

 そして俺達は街に数日間滞在し、休養を取って旅立つ前の買い出しに出向いていた。


「魔道具屋あるよ」

「あら、中見てみる?」

「何か掘り出し物あるかも」

「行ってきな。俺はあそこの肉屋周辺にいるから」

「うん。行こうアーシェ」

「ええ」


 魔道具とは、何かしらの効果が付与されている装飾品或いは武具の通称だ。

 魔法を使える者で武器に付与魔法を掛けれる者は一定数いるが、半永久的に付与を継続させる事は出来なず、それを可能とするのが魔道具である。

 現在では創作者が少ない上に効果も弱いのしか作れないらしく、遺跡やダンジョンなんかで見つかる強い効果の魔道具は市場にはたまにしか出回らず高値で取引されている。

 俺も興味がない訳ではないが、期待していないので肉優先に。


「お兄さんお目が高いね!それは今朝卸したカウだよ。隣のバードもお薦めだな」

「安いですね、じゃあカウ肉の卸し立て全部買とバード肉6つ下さい」

「そんなに買ってくれんのかい!?そんならおまけで卸したばかりのウルフこんだけ付けたる」

「おお、それは有り難いです」

「こっちこそ有り難いもんだ」


 大量収穫で大満足。アイテムボックスへぶちこんでおけば腐らないし、鮮度の良い肉は高いのであの値段ならつい大量に買ってしまった。


「おまたせ」

「おお、なんか良いの…あったらしいな。その杖似合ってるじゃん」

「ふふ、ありがとう。結構な値がついてたわ」


 魔道具屋から出てきた二人を見ると、アーシェが杖を購入していた。

 金持ちにしか買えない値段で買ってきた杖は、見た目はスラッとして白色で塗装された普通の杖だが、付与効果がとんでもなかった。


「スタミナ消費半減だって!?」

「驚くよね。値段にも驚いてこれを買うアーシェにも驚いたよ」

「あら、これはかなりの掘り出し物よ。私は魔法使えないし生粋の召喚士だから良い買い物が出来て嬉しいわ」

「良いなぁ。俺も欲しい」

「サキさんにはコレ買ってきたわ」

「指輪?」

「私達3人お揃いだよ。ライフ回復弱の効果」

「へぇー、サンキュー!弱でも自動回復は有り難い。お、サイズもピッタリじゃん」

「でしょでしょ。サキの方は収穫あったの?」

「ああ、良い肉が手に入ったから夕飯は期待して良いぞ」

「「やった!」」


 買い物を済ませた俺達は情報を基に次の目的地へ向かった。

 その途中で思い出した…パンを買い忘れたと。


「あ…」

「どしたの?」

「パン…」

「え?嘘…私買ってないよ。アーシェは?」

「…忘れてたわ」

「残りは?」

「聞いて驚くなよ。0だ!」

「うわぁ。次の街まで結構あるのに」

「戻る?」

「大丈夫だ。考えがある」


 考えとは、ジャンヌだ!俺はジャンヌを喚び出して街に戻ってパンを買ってくるようお使いを頼んだ。


「え?マスター…その為に私を?」

「い、いやまさか!会いたくなったから喚んだんだよ。お使いは喚んだついでさ」

「そうでしたか!なんと言う幸せ!すぐに戻って参ります!」

「帰ったら撫でてあげるから宜しくな」

「御意!待ってて下さいね!」


 颯爽と駆け出してあっという間に見えなくなってしまった。

 ジャンヌは本当に良い子だと心の中で思った。


「最低…」

「サキさん…平気で嘘を」

「ま、まぁ本人は喜んでたんでたんだから良いじゃないか。ほら、野営の準備始めるぞ」

「「…」」


 二人にちょっとした反感を買ってしまったようだ。

 機嫌取りに豪勢な夕食を出そうと力込んで準備していると、ジャンヌが大きな袋を持って戻ってきた。


「お待たせしましたマスター!」

「ありがとう。で、この袋はなに?」

「パンです!」

「パンってこれ全部?」

「そうです!全部パンです!あるだけ買ってきました」

「ん?あるだけってもしかして」

「ジャンヌさん、サキさんの財布の中身は?」

「使ってきました。」

「な…」

「バチが当たってねサキ」

「?どうかしました?」


 笑い転ける二人を裏腹に、俺は静かにジャンヌの頭を撫でて解除すると立っている気力を無くしてその場に座り込んだ。


「あーぁ。あんな事で喚ぶから」

「これはサキさんに対する罰ね」

「し、しかし結構な額入ってたぜ!?」

「有り金全部置いてあるだけ買ってきたんでしょ」

「だと思うわ」

「俺も思う…」

「反省しなさい。そして夕食宜しく」

「お肉を所望するわ。野菜はサラダがいいわね」

「私もサラダね」


 こいつら冷たい。












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