第258話 対源陽竜
『銀、白が主についた…』
「なんとなくだけど分かっていたわ。まさかアイと契約するなんてね」
『白、寂しがってた』
「ちゃんと黒がケアしてあげないとね」
『うるさいぞお主等、集中せんか!』
「フフフッ。いいじゃない」
『蒼まで…たく。相手は源陽ぞ』
「「『分かってる』わ」」
『子羊も分かっておるな?』
『はい』
「相変わらず無口ね」
ジルコートとノワルヴァーデ、幻影ブランで右舷から、アルバス、ニエーバ、カルテス、3体の帝で左舷へ回りルシフェルに対して一斉攻撃を仕掛けた。
あらゆる魔法がルシフェルを襲うも、張られた防御魔法で全てを防ぎきり、ブレスを射とうとしたアルバスにブレスで応戦する。
一瞬にしてかき消されたアルバスのブレス、そのままルシフェルのブレスが襲いくるも、カルテスと光の帝の防壁で守られて事なきを得た。
『助かったぞ。あれほどとは思わなんだな』
『私達の魔法も届かない』
『これからぞ、蒼よ。子羊は防御に回れ』
『はい』
『銀』
「分かってるわ」
アルバスの方を向いた隙に、ジルコート達は各々が得意とする魔法を再び放つと、ルシフェルはブレスを射ちつつ防御魔法を側面に展開させそれを防いでいた。
器用なことをするもんだと関心せざるおえないが、攻撃が通らなければ奴を倒す事が出来ない。
なんとか隙を見つけてダメージを与えたい所である。
すると、土の帝がルシフェルの真下から土のスキルで成形した幾本の槍を生やして突き付けるも、鱗に阻まれて多少の傷を受けた程度だったがそれでもダメージを与えたことには変わりない。
『よくやったぞ!帝よ』
『黒、銀!続いて!』
帝の攻撃で怯んだルシフェルに、多方向からブレスの一斉射が放たれて防壁を張ろうとするルシフェルは、タイミングの早かったノワルヴァーデと幻影ブランの直撃を受けると、叫びをあげて防壁が砕かれ全ブレスが浴びせられた。
それに続いて帝達も攻撃に加わり、この機を逃すまいと全員が渾身の一撃を与えていく。
「やったのか!?」
「わからない…どうセシル?」
「なんとも言えません」
爆煙と土煙が混じる中、気配は感じるようだがルシフェルの安否が不明であった 。
アルバスが近付こうとした瞬間、白と黒の光りが辺り一面を覆うと。
『ラスターカタストロフィ』
ルシフェルは最大級の光魔法を射ち、周囲に打ち上げられた無数の光の球体が竜達に襲いかかり、防ごうとするジルコートやカルテスの防壁を破り貫いてきた。
俺達を守ろうとした光の帝を合わせた4体の帝は力尽き、幻影ブランは消滅し5竜は致命傷を追って落下する。
『頑張ったな。後は任せろ』
「マ、マスター」
俺は竜達に念話を送ると、アイもアーシェも召喚解除を行って皆を退避させた。
向こうは決着がついたようだ。俺も早々にケリをつけたいと召喚向上を唱えようとする。
『させない!』
『某の相手は拙者達だ』
帝達が倒された事により、ノーム、フェンリル、ウィスプ、ステアロウの上位精霊が召喚されてルシフェルを取り囲み、押さえつけてる間に向上を唱えた。
『 悠久の時告げる光と闇を交わりて顕現せよ。世界を破滅に導く為に!現れろ、ラグナロク・アポカリプス! 』
『邪魔を!クッ!』
「もう終しまい、ね?」
『神殺しまでも邪魔するとは!!』
「…半身にお還り」
「ガァァァァーッ!!」
幾千もの剣が突き刺さり、最後に手にした剣で額を貫くとルシフェルは立ったまま息途絶えた。
2竜の屍は消えることなくその場に立たずみ、異様な空気を放っていたが、もう二度と動くことはなかった。




