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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第27話 寂しい達磨

 


 穏やかだ。魔物はいないし、頬を撫でる風が心地良い。そう、雨さえ降っていなければ。


「こんな何も無いところでの雨なんて最悪!」

「文句言わないで岩影か木でも探してくれよ」

「もうここでテント張っちゃう?」

「びしょびしょのままテントに入るなんて嫌だね」

「大体サキが寄り道しようなんて言うからこーなるんだよ」

「いやいやいや街道もココも変わらないからね!」


 数時間前、目印となる一本の枯れた巨大樹を見つけその場所から東に進めばその住処があると聞き、街道から逸れて今に至っている。


「あっ」

「なに!?」

「なんで怒ってんの?」

「別に怒ってないんだけど?それでなに?」

「あそこ、横穴開いてるぜ」

「ほんとだ!早く早く」


 岩山の悪魔の事が頭をよぎる。


「気を付けろよ。あの時もあんな感じの穴だった」

「うん」


 しかしそこには何もいなかった。

 いなかったのだが、何かが居た形跡は残っていた。それも最近まで。


「何か走ってくる」

「なんだあれ?」


 丸い何かが近付いてくる。


「ねぇまさかだけどさぁ…」

「この食い散らかした肉片はアイツだろうな」

「吐き気してきた」

「逃げるか?」

「冗談」


 それがハッキリと目視出来る距離まで来た。やはりカオダルマだった。オヤジの生首、額にも口がある魔物というより化け物だ。竜主より見かける数が少なく俺もこれを含めて2度目だった。


「「おまえたちはなんだ ここはおれのいえだぞ でていけでていく…でていくのか?」」


 驚いた。まさか人語を喋るなんて。


「言葉が分かるのか?」

「「わかるわかれ わからないのか?」」

「そうかスマンな。少し雨宿りをさせてもらった」

「「そうなのかそうなんだ そうか?」」

「一つ聞きたい」

「「なんだどうした どうなんだ?」」

「この辺で白竜を見たことはないか?」

「「りゅうあるはくはない りゅうか?」」

「白竜ではないが竜種なんだな。場所はここよりアッチで間違いないか?」


 俺は指を指す。


「「そうだそうなんだ そうだったか?」」

「感謝するよ」


 俺達は出ていこうとした。


「「まてまつ まって?」」

「なんだ?」

「「おれにのれ のる おくってく おくって?」」


 アイと顔を見合わせて驚きながらも可笑しくなって笑ってしまった。


「ハァーなら案内頼むよ 雨やんでからな」

「「まかせまかされ まかせるの?」」



 雨が止むまでこのオヤジ頭の話を聞かされることになった。

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