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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第252話 使いと御先

 


 階段の先に広がっていたのは空そのものと思える空間となっていた。

 広いとはいえ一応通路となっており、目を凝らせば横に壁があるのが確認出来る。さながら見えない壁とでも言うべきか。

 まるで雲の上を歩いているような不思議な感覚に陥るその場所に居たのは、巨大な人間の頭に白い翼が生えた奇妙な魔物が飛び回っている。


「気持ち悪っ!」

「なんだあれ?」

「グリロス。天使の使いです」

「あんなのを使いにしてるなんて天使も悪趣味ね」

「アイツ等の攻撃手段ってなんだ?」

「口から魔力弾を射つくらいですが、たまに白魔法を使う個体もいるはずです」

「そうか、それさえ気を付ければなら余裕だな」


 この階は俺とデポルラポルで先行して、グリロスを斬り伏せていく。

 結構な高度を飛行しているので、転移魔法を駆使しデポルラポルは脚力で飛び上がり、闇魔法も使って落としていった。

 転移魔法を行使している為、グリロスの魔力弾は外れていき、逆にアイの風魔法で切り裂かれていた。


「あらかた片付いたね」

「ああ、数だけは多いが大したことなかったが、魔力が尽きかけてきたな」

「それなら任せて下さい。」

「魔力回復も出来るのか。助かるよ」

「ブランは何でも出来るね」

「魔法を使えない私にとっては羨ましいわ」

「その分召喚士としての腕は一流じゃないか」

「皆のお陰だわ。それより光石拾って進みましょ」


 グリロスのドロップ品は光石といわれる黒い魔石の白い版である。

 用途は同じだが、明かりに使うにしても持ちがいいので高値で売れる代物だ。

 それらを拾って広々とした部屋の前で中を覗いてみると、とぐろを巻いたビャクダと呼ばれる蛇型の魔物が居座っていた。

 人どころか一般的な竜でさえも丸飲みに出来るほどの巨体である。


「御先か。神の領域に近いだけあるな」

「あんなデカイのどうするの?ブラン行く?」

「仕方ありません。ここは私が」


 ブランが部屋に入ると、ビャクダは頭を持ち上げてこちらを見てきた。


『客とは久しいな』

「やはり喋れるんですね」

『長き年月を生きてるとな。して、一応聞くが何用か?』

「私達は上に用があるんですが、通して貰えます?」

『それは出来ぬ相談だな。通りたければ妾を倒してから行け』

「では、そうさせて貰います」


 竜の姿に戻ったブランは、ブレスを放って先制攻撃を仕掛けた。

 ビャクダはブレスを防御魔法で防ぎ、白魔法で反撃する。

 ブランも防御魔法を張って白魔法を弾き、今度は此方も白魔法を放つと向こうも更に白魔法で追い討ちをかけてきた。

 喋れることに驚いたが、ブランと互角に戦いを繰り広げていることの方がビックリである。

 射っては守り、守っては射つを繰り返しいるうちに、ビャクダの魔力が尽きたらしく巨体を持ち上げて打撃による攻撃を行ってきた。

 見かけに依らず素早い動きを見せ、紙一重で回避するブランであったが、尾で叩きつけられてしまった。


「ブラン!!」

「大丈夫です。下がってて下さい」


 起き上がったブランに追撃が来るも、それをブレスで弾く。

 再び飛翔すると、反撃と言わんばかりに数多の白魔法を放って翻弄し、隙をついて顔面にブレスをぶつけた。

 この一撃でビャクダは怯み、既に放たれていた白魔法の直撃を受けて倒れて行く所に、トドメのブレスを浴びせた。


『やりおるな白竜よ』

「アナタも中々ね」

『世辞でも嬉しいぞ。先に進むが良い』


 ダンジョンに吸収されていくビャクダは笑みを浮かべているように見える。

 完全に飲み込まれた後には折り畳まれた白い蛇皮が残されていた。









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