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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第243話 護る者

 


 この国に居たドラゴンテイマーは、翔空竜と呼ばれる大きな竜の調教者であった為、目的地までお願いすることにした。

 遊翼竜の2倍以上の巨体があるので、俺達4人+テイマーを余裕で運べるのだが、食費を含む料金がバカ高い。


「しかしあそこは気が進まないな」

「ほんと」

「あん?何かあったのか!?」

「私の知らない話よね?」

「ああ」

「アーシェと再会する前、現王国に居たんだよ」


 今目指している所は、以前に騒動を起こして…いや、起こされて離れざるを得なかった国、現王国のレヴェールだった。

 旧王都レヴェリアの王族の子孫が命を出して再建された国だが、そこの現王が我が儘し放題でもう二度と訪れたくなかったが。


「そんなこと気にするなよ!あの王も由々しき事態だと言うことは分かってんだろうしな!」

「だと良いですがね」

「私もあの国、特に王都は嫌いよ。前に訪れた時、使者が来て王に仕えよなんて抜かしてたわ」

「「ええ?」」

「もちろん断ったわ。捨て台詞を吐いて行ったけどその後は何もなかったわね」

「はぁ。どーしようもねぇな」

「一旦忘れろ忘れろ!大竜相手に集中せなぁ!」










 王都近隣では、激嵐竜と王家の切り札である鋼剛竜が対峙していた。

 鋼剛竜率いる召喚獣は4体の竜だが、褐竜以外の3竜は蛟竜と呼ばれる中級種であるが為、戦力的に期待出来ない。


『子供を連れてきて何をしようというのだね』


 バカにしたような口調で、蛟竜達を見下す激嵐竜に対して鋼剛竜は言い返す。


『これでも立派な戦力だ。お主程の竜種は我だけでは倒せぬからな』

『私を倒す?何処まで愚かな。君達に力の差を教えてやろう』

『望む所。褐よ、その子等と左舷は任したぞ』

『はい、鋼剛様』


 鋼剛竜は右側に回り込み、ブレスを吐いて注意を引き付けているが、激嵐竜はものともせずに褐竜と蛟竜達に強烈な風魔法を放った。

 防御魔法を展開させた褐竜と真後ろに居た蛟竜は事なきを得たが、2竜の蛟竜が消失されてしまう。

 再び、褐竜に向けて風魔法を射とうとした激嵐竜に、鋼剛竜はその硬い鱗を活かして体当たりを仕掛けるも、射たれた魔法は広範囲に広がって3竜共に吹き飛ばされてしまった。


『言うただろ。力の差とはこういうことだ』


 風魔法を叩き込まれて蛟竜は倒されてしまい、残るは鋼剛竜と褐竜のみとなってしまった。


『鋼剛様、後は任せます』

『よせ!』


 褐竜は捨て身で突っ込んで行き、激嵐竜のブレスを回避すると、逆にブレスを浴びせながら更に近づき、首目掛けて牙を立てた。


『と、通らない…』

『実に愚かだ』


 噛んだと思われた…だが、褐竜の牙は鱗に阻まれてしまい、0距離で放たれた風魔法によって防御も間に合わず倒された。


『残るは君だけのようだな』

『敵討ちをさせてもらおう』

『その勢は認めよう!これでも無事ならな、暴嵐之厄災(トゥールカタストロフィ)!!』


 最上級風魔法を放たれてしまった鋼剛竜だったが、己の出来る最大限の防御魔法を張って受け止めようとしていた。

 しかし、防御魔法はすぐに砕かれて身体を引き裂く風を浴びせられながらも、1歩足りとも下がることはなかった。

 そう、彼の裏には王都があった。血塗れになりながらも自分を盾にしていたのだ。

 それでも王都の半壊は免れなかった。


『無事とはいかぬが、あれを喰らって耐えるとは。流石と言うべきか』

『…』

『そこまでして人間を守るとは何故だ?』

『…人間など…どうでも良い…し、しかし、我には主との誓…いがあ…るのだ』

『主とやらは彼処にいるのか?』

『もう、いな…それでも…我…やるこ…は』

『ふ、律儀な。もう休むと良い』


 口を開けてブレスを放つ姿勢に入った激嵐竜目掛けて上空からエネルギー弾が飛ばされてきて、ブレスの射線を変えた。


『クッ!!誰だ!?』

『お…お主達…は』

「鋼剛竜!後は任せろ!」

『いつ…ぞや…の。後…は…』


 俺達が着いた時には、鋼剛竜は既にボロボロにやられ、後は任すと伝えて消えてしまった。










[翔空竜]

 ショウリュウやヴォルドラゴンと地域によって呼び名が変わる。

 全長12メーターと大きいが、穏やかな竜であり、遊翼竜同様飛ぶことが大好き。



[褐竜]

 ブラウンドラゴンとも呼ばれ、6メーターと大きめであり上級種に位置する。

 守備に関しては防御魔法と、地上限定だが土魔法の壁を作り出すことで自身を含む複数を守ることが出来る。



[蛟竜]

 ミズチやラプシドラゴンと呼ばれる小さい竜。

 東方龍型で4メーター、中級種であるが、未成熟なので進化という可能性が秘められている。











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