第241話 遮られた光り
「大丈夫?痛くない?」
人型になったブランに回復魔法を掛けて貰っている俺の顔を、アイが覗き込んでくる。
因みに、バルディエルとニエーバは解除してある。
「ああ、痛くはないが…」
「視力ですね?すみませんが私でもこれが限界です」
「嘘…サキ、ごめんなさい。私のせいで目を…」
「気にするな。避けきれなかった俺が悪いんだから」
そう、俺の左目に視力はなかった。
ブランの力で、顔の傷はあまり目立たない程再生したものの、視力だけは戻らなかったようだ。
「でも…」
「ありがとな、ブラン。アイももう気にするなよ。今度は守ってもらうから」
「うん。絶対守るからね」
そんな俺達の下にロイ・キリシマが近付いてきた。
「銀翼よ、大丈夫か?」
「はい、なんとか」
「アンタ達のお陰で大竜を倒すことが出来た。礼を言う、ありがとうよ!」
「こちらそこ。ロイさんが居なければやられていました」
「俺の名前を知っているとはな。そんなに有名か!」
「暁の戦陣って有名人よ。冒険者で知らない人は居ないんじゃないかしら」
「そうかそうか!こりゃ嬉しいねぇ!」
「ところで、橙はどうしました?」
「白竜は随分とべっぴんさんだな!ああ、ジンガの奴は解除したよ。体力はあんだがリシャールを出したら流石の俺も限界ってもんよ!」
「そんな風には見えないね」
「これでも無理してるんでな!んで、アンタ達はこれからどーするんだ?」
ロイがそう尋ねてきて、アイはブランを見るも、他の大竜の居場所は掴めていないようだ。
しかし、大竜騒動が終わるまでは協力を惜しまないと申し出てくれた。
俺達にとっては有り難い話であり、ロイも俺達と一緒なら確実性が増すと言って、次なる大竜討伐も協力してくれるとの事だ。
一先ずは街へ向かい、休息と準備を整えなければならない。
『神は何を企んでおられるのやら』
『我等が知る余地もなかろう』
『悪魔達に玩具を与え、更には覚醒まで赦している』
『それも何か理由があっての事だろう』
『兄弟よ、もう良いのでは?』
『そうさな。ガブリエルに先を越されても面白くない』
『調整も終わって万全だ』
『コイツがどう働いてくれるか楽しみだ』
『では『全ては王の為に』』




