第238話 友軍対氾濫竜
バルディエルは、飛翔してきた機械兵をハリアーⅣ、ファイターをナイトシーカーと教えてくれた。
それらは俺達の上空を通り過ぎて氾濫竜と暗礁竜達に攻撃を仕掛け始める。
『この蠅共め!どうにかしろ、氾濫竜!』
ハリアーⅣの6機は、3機に別れて氾濫竜を左右から囲んでライフルのエネルギー弾とミサイルをぶつけ、ナイトシーカーは5機づつでV字の編隊を組んで、暗礁竜に対して先頭の3機がバルカンを撃ちつつ接近していく。
ある程度の距離に入ると、空対空ミサイルを発射して離脱戦法を取っていた。
『貴様の指図は受けん…が、些か鬱陶しい。食らうが良い、バハルデザストル!』
氾濫竜はまるで効いていないように見え、円を描くように反撃の大津波を打ち上げて味方である暗礁竜もろともハリアーⅣと複数のナイトシーカーを呑み込んだ。
「こっちにもくる!バルディエル、なんとかしてくれ!」
「了承しました。対処します」
俺達に向かってきた津波を、バルディエルが持つフルチャージされたライフルで吹き飛ばしてもらった。
そのまま氾濫竜に当てられればと思っていたが、エネルギー弾は津波によって拡散されてしまう。
氾濫竜の攻撃で生き残ったのは、ハリアーⅣ2機と爆撃を終えて離脱していたナイトシーカー15機、暗礁竜も4体は無事なようだ。
しかし、残ったハリアーⅣも水の槍に貫かれて撃破されてしまい、再び接近してきたナイトシーカーに暗礁竜達のブレスを浴びせて4機撃墜、残る機体は暗礁竜を2体落とすも、離脱した所へ氾濫竜のブレスが襲いかかり全滅した。
「後は私達が行きます。良いですね蒼」
「わかった。ブラン、守ってね」
「出来るだけのことはやります」
残り3体、ニエーバが暗礁竜2体を相手取り、ブランとバルディエルで氾濫竜へ攻撃を行う。
『お出ましか、白いの』
「全然鈍ってないですね」
『機械兵の武器など痒くもないわ』
ニエーバによって暗礁竜2体はすぐに沈められ、ブラン達に加戦する。
氾濫竜の攻撃は威力が高いうえに範囲も広く、回避するのがやっとのようで此方は反撃に出れずにいると、皆が一ヶ所に固まってしまった所へブレスを放たれた。
それぞれ防御はしたものの、守りきれずにボロボロの状態に。
「アイツ、強すぎる…」
俺がそう嘆くと、バルディエルが何かを捉えた。
「熱源反応接近。該当するデータあり、AASワスプ級と判明しました。」
「ようやく会えたな!大竜!!」
拡張する声、俺達を覆う巨大な影が近付いてくるのに驚き見上げると、超弩級の船が浮かんでいた。
[暗礁竜]
レシフドラゴンとも呼ばれるごつごつした岩礁のような身体をした4メータークラスの西竜。
中級種とされているが、人間と意志の疎通が出来ないだけで上級種並の力がある。
[ワスプ級強襲揚陸艦六番艦キア・リシャール]
全長257メーターを誇り、ファイターや機械兵を搭載、運用する能力がある艦で揚陸支援攻撃を前提としている。
ワスプ級に限ると甲板はカタパルト及び、ファイターの収容場所となっており、内部には機械兵が搭載されていて、計48機が艦載されている。
武装に関しても充実しており、対地対艦8連装ミサイルポットを2基、アンチマジック爆雷及び、対空ミサイルポット2基、20㎜バルカン砲6基、25㎜単装機関砲3基装備されている。
因みに、飛行型初の強襲揚陸艦はヒノモトで建造されたシンシュウであった。




