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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第233話 勝利と絶望

 


 2人が時間を稼いでる間に、俺はジルコートを喚び、アイはノワルヴァーデを喚んだ。


 ムアンとベナフは怒業竜の土魔法を回避しながらブレスを放ちつつ、水魔法を駆使して攻め込んでいる。

 そこへ、ジルコートとノワルヴァーデが合流し攻撃に参加した。


「大竜を相手しろなんて、マスターは竜使いが荒いわね」

『同意』

「銀に黒か!契約してたとはな」

「おじ様、いつぶりね」

『老けた?』

「あんたら嬢さんと比べたらもうじいさんだな!はははっ!」


 アイツ等、顔広いなと思いながら聞こえてくる会話を耳にしていた。


 余裕があるように見えるが、実際はかなりキツい。

 怒業竜の攻撃は強力であり一撃が命取りになるし、こちらの攻撃は殆ど効いていない。

 動きが遅いのが幸いであるがそれ以外のステータスは圧倒的であり、土魔法の手数が多いので遅さもデメリットになっていないのだ。


「もうイケるわ」

「大丈夫なの?」

「ええ、カルテスなら喚べるわ」


 スタミナが戻ったアーシェは、羊竜のカルテスを喚んで参戦させる。


 カルテスは防御魔法を得意としているので前へ出てヘイトを稼いで、他が攻撃に集中出来るような動きを見せた。

 しかし、その防壁もたったの一発で砕かれてしまい、威力を落とすことなく突っ込んでくる槍状の土魔法に貫かれて力尽きてしまった。

 カルテスを助けようと近付いたムアンに避けられないほどデカイ怒業竜のブレスが襲いかかり、もうダメだと飽きられかけたその時。


「おじ様は一つ身なんだから無理しないで」

「嬢さん!」


 ジルコートが防御魔法を展開しながらムアンの前に割って入り、ブレスを食い止めたが長くは持たず、防壁が破れてムアンもろとも吹き飛ばされてしまった。


『マスター、後は宜しく』


 俺の頭にジルコートの声が響いた。

 飛ばされた方を見ると、ジルコートが盾になってくれたようで、ムアンは無事だった。


「すまねぇ、銀の嬢さん、サキ君」

『…ノワ、ベナフ、ムアンさん、時間を稼いでくれ、ラグナロクを喚ぶ』


 念話を送ると「ラグナロク?」と聞く2人に『いいから』と促すノワルヴァーデ。

 3人が懸命に攻撃を与えている間に、口上を唱えてラグナロク・アポカリプスを召喚すると、空へ浮かぶ聖騎士姿の女性に全員が攻撃を止めた。

 すると、驚くことにラグナロクが口を開いて怒業竜に話しかけたのだ。


『ゼルザールともあろう者が何故悪魔に従っているの?』

『神殺しか、何故だと?これは神の、最高神の命なのだ。戦い破れたワシに機会をくれた』

『理由は知らないでしょう』

『理由などはいらぬ。与えてもらった命を遂行するのみ!死ねい!』


 ブレスが放たれラグナロクを襲うも、円を描いた複数を剣を自信の前で回転させて食い止めると、地上から生やした幾千もの剣を怒業竜に突き立てる。


「ガァっ!!『こ、これしき!』


 傷を付けることが出来なかった鱗を貫き、ラグナロクも剣を手に怒業竜へ舞い降りていく。


『また眠りなさい』

『そなたは邪魔でしかないの!』

『邪魔なのは此方の台詞』


 そして剣を横に振るって怒業竜の首を切り落とす。


『またしても…敗けるのか…否』


 落とされた頭はラグナロクの方へ口を開き、ブレスを放って生き絶えた。

 ラグナロクも不意を突かれて同士討ちというカタチを取られてしまった。



「終わったのか…」


 俺は安堵して囁いた。


「サキ君、良く頑張ってくれた!嬢さん方も偉かったぞ!」

「でもなんで消えないんだ?」

「確かに変だよね?」

『借り物だからな』


 先ほどまで姿を消していた悪魔がアイ達の会話に入ってきた。


「どーいう意味だ!?」


 ムアンが問いただすと悪魔は答えた。


『言葉通りの意味だ。コイツがどうなろうと俺には関係ない。それにもう1体預かってるんだが、コレもやるよ。せいぜい楽しみな』


 再び悪魔が姿を消して魔法陣だけが残された。

 そして新たな怪物が喚び出されてしまった。


「終わったと思ったのに…嘘だろ。サキ、約束の骨は任せたぜ」

「バカ言うな。俺は骨すら残らん」

「不吉なこと言ってんじゃないわよ!アーシェ、ムアンさん!何とか言ってあげて」

「まぁ、無理ね」

「ああ、連戦とは思わなんだな」

『閃光竜…』


 ノワルヴァーデの言葉に絶望しかなかった。










[閃光竜]


 タビュレンスドラゴン。

 七大竜の1体であり、空を黒く覆い地上に雷を降り注ぐ。

 東方龍型で40メーターを超す全長に似つかわしくなく大竜一の素早さを誇る。




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