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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第226話 紳士対コンビ、女帝対竜胆竜

 


 ドラキュラは杖に仕込まれたレイピア状の剣を引き抜いて構えた。

 俺は片手剣を両手に出して挑んで行くと、レイピアによる突きの猛攻が始まった。

 それを2本の剣でいなすのがやっとであり、こちらが弾いても軌道を変えて攻めてくる。

 ならばと思い、カウンター魔法で弾き飛ばそうとしたのだが、ドラキュラも同じことを考えていたようで、双方の剣は手元から離れて宙を舞った。

 しかし此方にはもう1本残されている。


「貰ったぞ」


 それを胸に突き立てた…が、ドラキュラは自らの影に潜り、俺の攻撃をかわした。

 ヤツは、と振り向き様に振るった剣はソイツを掠めて、目の前に延びる手が迫ってきた。


「やらせない!」


 ドラキュラの手が俺に触れる直前、アイが炎魔法を放った。

 炎にくるまれたドラキュラは影へと逃げ込み、数秒後にはアイの後ろに姿を現した。

 それと同時にアイの背中を拾い上げたレイピアが貫き、悲鳴を上げるも、歯を食い縛り、振り向くこともせずに風魔法を喰らわして退けたのだ。


「アイ、よく頑張ったな」


 俺はアイとドラキュラの間に転移して炎をエンチャントさせた拵えで斬りかかると、ヤツもレイピアを振るって弾き返そうとしていたが、高温の炎によってレイピアは溶断されてそのまま斜め上から降り下ろして斬り抜いた。

 膝をついたドラキュラに実弾による追い討ちをかけて息の根を止めたのだった。


「終わったな。傷を見せてみな」

「ちょー痛い。でも回復魔法使ったから大丈夫だよ」

「念のために俺も掛けるよ」


 アイの傷はうっすらと残る程度だったが俺からも回復魔法を掛けて完全に傷を消し去った。


「残るは」





 ベナフが放った水の刃を炎魔法で蒸発させるバシリッサ。

 舌打ちをして即座に激流の水魔法へと切り替えたが、今度は氷魔法により横たわる太い柱へと変えられてしまった。

 ベナフの手元まで凍てつく魔法が迫り、咄嗟に放つのを止めて土魔法を行使すると、床が持ち上がり次々と石の支柱を造りだしバシリッサを襲う。

 同じような土魔法で迎え撃つも、土系では力負けしたらしく、1本の支柱がバシリッサを捉えて押し上げて行き、ついには天井まで破壊して城外へと押し出した。


「我に触れるとはやるではないか。城の中では少々手詰だ、上がってこい」

「吸血鬼が偉そうにしやがって。良いだろう」


 浮遊するバシリッサへ向かうべく、ベナフは穴の空いた天井へと飛び移り、人化を解いて本来の竜へ姿を変えた。


「ほう、ヴァイオレットであったか。我に竜の血は嫌いでな、手加減はせんぞ」

「それはこっちの台詞だ。それに竜の鮮血は滋養強壮に良いらしいぞ」

「知らんわ」


 雨の降りしきる中、バシリッサは雷魔法を射ってベナフを直撃する。

 その一撃は重く、苦痛の病状を浮かべるが、ベナフも紫炎のブレスを放つとバシリッサは闇魔法をぶつけて呑み込もうとしていたが、魔法が押し負けてまた一撃を与える。


 多少は効いているが、怯むことなく新たな闇魔法を射ち、ベナフは水魔法で応戦しながら再びブレスを放つタイミングを計っていた。

 雷魔法が降り注ぐと回避に専念し、風魔法の竜巻が起こると水魔法で打ち消す。

 また、ベナフが水魔法を使うとバシリッサは氷魔法で迎え撃ち、氷魔法が迫ると、土魔法の石礫をぶつけていた。


 どちらも一歩も譲らずに戦闘を繰り広げているが、手数の多さと威力ではバシリッサに分があるようでベナフは圧され始めていた。しかし、素早さでは勝っていた。

 それを生かして距離を縮め、バシリッサ渾身の闇魔法を半身で受けながら一気に距離を詰めると、回避不可能な距離でブレスを全身に浴びせた。


 ついに決着が着いたようだ。

 ブレスを吐き終えると、雨に濡れて重くなった灰が地上へ落ちてくる。


「ベナフの勝ちだ」

「さっすがね」

「ハラハラしたわよ」

「見くびってもらっちゃ困るな。まだまだ余裕だぜ」

 


 再び人化したベナフと共に城から出ようとすると。


『また何処かで相見えようぞ。次は我が勝つ、ヴァイオレットよ』


 ベナフは頭を掻きながら困った表情をしていた。










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