第220話 対ウラノス
バルディエルはウラノスに対してオールレンジ攻撃による多方向から攻め立てた。
『こちらにもあるんだよ。行け、ペイル』
ウラノスの中に座っていた悪魔がペイルと呼ぶ両腰サイドに付いた4基の無線式遠隔操作攻撃武装であり、それを飛ばしてバルディエルの大型無線式2基と小型の2基にぶつけて破壊した。
しかし、こちらにはまだ6基が生きている。
だがウラノスは様々な角度から放たれたエネルギー弾を回避しつつ、手にする2挺のビームガンで次々と落としていった。
最後の1基が落とされた時、バルディエルは換装しようとバックパックをパージした瞬間、ウラノスは前へと駆け出してくる。
『そんな時間を与えると思うな』
換装が間に合わない、やられると思ってしまったが、バルディエルはバックパックをパージしたままライフルを転送させて引き金を引いた。
ライフルによるエネルギー砲は避けられ反撃にビームの連射を浴びせられるも、盾で十分防げる威力だった。
連射されるビームを防ぎつつ後退しながらライフルを撃って、それを避けながら近づくウラノス。
やがて刃の届く距離になると、ビームガンのグリップ下部からビームブレードを発生させてバルディエルの持つライフルを斬り、もう1挺で盾を真っ二つにされてしまう。
『壊すつもりはないが、多少は痛め付けさせてもらう』
振り上げられたビームブレードは肩部目掛けて降り下ろされ、両腕を切り裂かれた…かに見えたが、自ら肩関節から腕を切り離したようだ。
相手の勢いを利用して腹部へと膝蹴りをかましてウラノスが後方へと突き飛ばされた隙にバックパックの換装と新しい腕を転送させた。
「ルウルドパック接続完了。両腕部、機能正常。戦闘を継続します」
『油断した。行くぞウラノス』
体勢を立て直したウラノスだったが、ルウルドパックの4門全てから放たれたフルブラストが襲った。直撃し黒煙を上げて終わったかに思われた。
だが、黒煙の中からビームシールドを展開しながら出てきたのだ。
「あれを食らって平気なのか」
俺はその言葉を思わず口に出してしまった。
しかし、シールドを展開していても装甲は所々ボロボロになって、手にしたガンブレードも失ったようだ。
肩部のミサイルポットは直撃前にパージして誘爆を免れたのであろう。
『やってくれたな。もう手加減は出来んぞ!ウラノス、武器転送だ』
悪魔は新たな武器を持たせてバルディエルに狙いを定めさせた。
バルディエルは両腰に回った2門のエネルギー砲を撃つと、ウラノスも右手に出したビームバズーカを放ち、エネルギー砲とビーム砲がぶつかり、エネルギー砲をかき消して左側の砲門を破壊した。
右側から放たれた砲弾はヤツの横を掠めていった。
続けざまに撃たれたビーム砲によって胴体を貫かれ、機能停止に陥ろうとしていた最後の瞬間に放った肩部の2門が再びウラノスを襲ってバルディエルは力付き、粒子になって消えてしまった。
最後の攻撃も致命傷に至ることはなく、バズーカとその爆発で右手が破損しただけに見える。
『実に惜しいことをした。だがその人間を殺せばあの機械兵を手にする可能性があるというもの。さらばだ人間』
『貴様、我等を忘れてはないか?さらばだ悪魔よ』
俺達の方に向かってくるウラノスの腹部をアルバスの爪が突き立てられ、後ろへ下がると同時にノワルヴァーデとニエーバによるブレスが襲うも、それでも動き出す。
『こんなところで、我は…私は…コクマーが敗れる訳にはいかんのだ…マルクトに希望を』
背部に手を回してビームソードを引き抜き、それを片手に目前にいたノワルヴァーデに襲いかかったのだ。
『面倒よの。黒よ、退けい』
背後にいたアルバスは巨大なブレスを放ち、直撃したウラノスもろとも前方にいたノワルヴァーデ、はたまた俺達も凪ぎ払う勢いで迫ってきた…が、ノワルヴァーデとニエーバが防いでくれて事なきを得た。
『すまんな、お主達』
『バカ』
「全くよ」
辺りには機械兵の残骸が転がり、粒子になって消えようとしていた。
放り出された悪魔はただただ佇んでいる。
『私の…芸術品を。もう…一度、清浄なる天空への夢を』
「いい加減にしてくれ」
俺は悪魔の元へ転移魔法で近付き、拵えで首をはね飛ばすと、水溜まりになって悪魔は絶命して終わりを迎えた。




