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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
222/308

第214話 金と銀 炎と黒

 


 私のせいでジャンヌまでもが…黒…ジャンヌ…私に力がないばかりに…あぁ、皆に迷惑をかけて何をしているのだろう…

 ごめん…


『願いは決まりましたか?』


 ジルコートの頭の中に声が響いた。

 誰なの?何処から?と疑問に思うこともなく、ただその問いに答えた。


『力が欲しい。皆を、救う力が』

『わかりました。私は貴女と共にあることを誓います。ジルコート』


 …アウル?



「動きが鈍いぞ、銀竜!!」


 ジルコートに影が覆うように迫ってきたその時、指輪から発せられた光りが辺り一面を包み込んだ。


「なにがっ!?一体何が起こっているのだ!!」


 影王竜を含めて直視出来る者はいなかった。

 その光りの中でジルコートは自分の身体に違和感を覚えていた。

 魔力、体力、精神力どれもが今までの比ではないのを感じ、身体の軽さまでもが意識せずとも分かる。


『アウル、ありがとう』


 ジルコートはそう心の中で呟いた。


 やがて光りが鎮まっていき姿を現したのは6枚の翼に白金の鱗を持つ竜だが、優しい顔つきはジルコートそのものであった。


「ジルが進化したのか…」

「この目で竜の進化を見られるなんて奇跡だわ」

「アイさん、マスター、今二人を助けるから」

「宜しくね、ジル!」


 アイの言葉にジルコートは頷き、影王竜へと突進していく。

 進化に見とれていたニエーバとフラーモもハッとしてジルコートを魔法やブレスで援護し始めた。

 様々な形で襲ってくる影をかいくぐり、その懐へと飛び込んだ。


「返してもらうわね」

「き、貴様!調子に乗るな!」


 影王竜は身体をトゲ状にしてジルコートを退けようとしたのだが、一撃のブレスによって大きな風穴を開けられてしまう。


『今こそその約束を果たします』


 フラーモがその風穴へと突き進み、自ら胎内へと潜り込んで行った。

 影王竜は暴れるでもなくその場に沈黙していた。

 辺りは静けさを取り戻し、しばらく誰も動こうとしなかった。いや、動けなかったと言うべきである。


「青と黒の気配を感じる…ジル」

「ええ」


 ニエーバはジルコートに確認するかのように囁いた。






『ノワルヴァーデ、起きなさい』

『炎?』

『貴女に力を託します。どうかこの世界の行く末を見守って下さい』

『どういうこと?』

『我が魂を預けます。これは命令でも哀れみでもありません、己が意志で』

『でも』

「受け取ればいいんです。彼女の覚悟を無駄にする気ですか?」

『騎士…わかった』

『では、後を頼みました』


 炎と共に消え行くフラーモ、最後には一欠片の丸い業火だけが残った。

 ノワルヴァーデはその業火を手に取り、自分の心臓へと押し当てると、全身が黒い輝きと炎で覆われてやがて鎮火していくと新たな姿へと生まれ変わった。


「…そこの青い人も連れてきましょう。活路を開きますので思いっきり放って下さいね」


 ジャンヌの言葉に頷くノワルヴァーデ。

 彼女も今までに感じたことのない力を感じていた。










[白金竜]

 プラティナムドラゴンと呼ばれる上級種を超えた存在。

 目撃情報は殆どなく、名前と複数の翼と白金色に輝いていることだけ知られている。

 銀竜に比べて少し大きくなっている。


[宵闇竜]

 シュヴァルツドラゴンもまた上級種を超えた存在である。

 火炎竜の魂で黒竜が進化した姿であることからほぼオリジナルのようだ。

 非対称の翼と漆黒に塗られた鋼のような鱗をしている。こちらも少し大きくなっている。















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