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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第202話 昇格

 


 冒険者達から歓声が上がり、ほっと胸をなでおろす。

 生き残った冒険者は20人に満たないが、あの数を相手にこれだけの犠牲で済んだのだから幸いとも言えるだろう。


「守りきれなかった者も多かったわ」

「そんな悲しい顔をするな。アーシェは良くやったよ」

「そうだよ。私達だっていつやられてもおかしくなかったもの」


「あの!」


 俺達の元へ一人の青年が話しかけてきた。


「先程は有難うございました。お陰で俺は生き残ることが出来ました」

「ああ、竜と契約してるのは君か」

「はい!あの機械の竜に守って貰わなければ今頃…」

「この戦いに勝利したんだから暗くなるんじゃない。胸を張って街に帰ればいいさ」

「はい!」


 その後も何人かの冒険者に礼を言われたが、特にアーシェとルナに救われた者が熱烈な表情で迫っているのを見て笑ってしまった。


 命を天秤にかけなきゃならなかったのはいたたまれないだろうが、救えた者もいるのは事実だ。まだその辺りに疎いアーシェはこれを機に理解を強めてほしい。


「マスター、私達も帰還する」

「ああ、ありがとなマークⅡ」

「03もありがとね」


 二体の機械竜は珠へと戻り、手のひらに納まった。

 アーシェもカルテスとルナを解除し、俺達は街へと戻ることにした。


 残った者はギルドへ集まり、今回の件をギルドマスターに報告すると報酬が配られた。

 どうやら色を付けたらしく、金の入った麻袋は結構な重量になっていた。

 更に驚くべきは、街の防衛と悪魔払いを行った功績がギルド本部に認められてそれに参加した全ての者は1ランク特進という処置を下された。

 Sランクの上はないので、俺とアーシェは変わらずだが、遂にアイがSランクへと上がったのだった。


「これでサキ達と同じになったよ!!」

「良かったじゃないか。追い付かれちゃったか」

「おめでとう。アイさんの働きなら当然の報酬ね」

「へへッ、ありがとう」


 突然のサプライズプレゼントを貰ったアイは、上機嫌に食堂へ向かっていった。






『ギボールがやられたか。なんとも情けない』

『所詮は駒に過ぎなかった訳だ。そろそろ重い腰を上げてもいいのではないか?』

『いずれな』

『その時を楽しみにしている。ではな』


(理解していない者共が多すぎる!王の意向が伝わらないなんて何とも歯痒い。だが、俺もそろそろ暗い所に閉じ籠るのも飽きたな。そろそろ仕掛けた方が良さそうだな)


 その夜のこと、一つの街が悪魔とその召喚獣によって滅ぼされた。

 Sランク冒険者が居たにも関わらず、手も足も出せなかった。

 その悪魔は人々を食らい、空になった街を後にした。

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