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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第198話 新たな魔法と新たな国へ

 


 アイは呪文書の鍵を開け、頁を捲り始めた。その中身は1頁以外全て白紙になっている。

 その白紙に見える頁全てに文字や陣等が掛かれているが、書いたものにしか見えない。

 そして真ん中辺りの1頁に言葉が記されていた。


「汝、幻想ヲ抱クハ夢ノ中。ココニ束ネルハ夢ソノモノ。現二移スハ己ノミ。求メヨ。幻影ハ夢幻二在ラズ。」


 アイが音読を済ませた瞬間、その文字は消えて呪文書は手の中で細かな灰と化した。


「どうだった?」

「幻想召喚っての覚えたよ」

「随分良い魔法が入ってたのね」

「ほんとだよな。良い買い物したぜ」

「使うのが楽しみ!」


 幻想召喚は光魔法の1つで、自分の想い描いた召喚獣の幻を喚び出せるというものだ。

 幻と言えど、相手にダメージを与えることも出来るし相手の攻撃も受ける。

 元となった召喚獣の全ステータス半減の複写体である。

 何を喚べるかはその者次第だが、戦力が大幅に上がることは間違いない。


「次の戦いで見せて貰いたいもんだ」

「ご期待にお応えしますよ」

「私に魔力があれば使いたかったわ」

「そーいえばアーシェって魔法使えないのか?」

「向いてないみたいなの。魔力も少ないし、転移魔法は覚えてるけど1回しか使えないわ」

「その代わり召喚士として有能なのね」

「有能かは分からないけどそれで食べて行けてるわね」

「十分優秀だよな。俺もいつかは追い付きたいもんだ」

「サキはもう年だから無理無理」

「アイも後5年で三十路だぞ」

「考えたくない」

「アイさんは後5年なのね」

「アーシェもあっという間になるよ」


 たわいもない話に盛り上がり、夕飯を食べて久々の風呂に入りその日は床に着いた。



 翌朝、街を出発して隣の国にある大きな港町を目指した。

 目的の場所はその港町が一番近く、航路も比較的安全だ。聞いた話によるものだが。

 問題は船を調達出来るかだが、そこは着いてからでないと分からない。

 よってまずは国境へ向かわなければならない。

 この国と目指している隣国は友好関係にあり、国境沿いも平和そのものと聞いている。

 この国に入る時は苦労したので、次に越える際は楽出来ると思いたい。



 街を出て10日後、簡易な柵で出来た国境が見えてきた。

 友好国同士なだけあって、その辺りは適当らしい。


「ようやく見えたわね」

「早くお風呂入りたい。近くに街あるかな?」

「地図だと国境越えて1日もかからない所にあるぞ」

「やった!」

「私一人の時は水浴びでも一苦労だったわ。アイさんの魔法があって、サキさんが見張りしててくれるから楽だったわ」

「宿に着いたらそんな心配もいらんぞ」


 俺達は足取りも軽やかにこの国とお別れし、入国手続きを済ませた。


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