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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第190話 樹木とキノコ

 


 2階層目も同じく、見渡す限りの木に覆われていた。


「なんかあの木動いてるよ」

「珍しいな。トレントだ」

「最近めっきり見なくなったわね」


 トレントという歩く木の魔物とその横には必ずいる動くキノコことムッシュベルンのセットが蔓延っていた。


 見た目通りに火に弱い為、俺は長剣を喚び出し、炎を付与させて斬りつけていく。

 見た目は木だが剣が通る程の硬さしかなく、すんなりと倒せていける。

 ムッシュベルンの方も焼けば単なる弱小の魔物だが、炎魔法以外の衝撃を受けると毒の胞子を撒き散らす厄介者である。


 この階層は俺が先行して行き、アイは時おり炎魔法を放つ程度に抑えてもらった。

 アーシェはカリストのルナに指示を出し、俺達三人に防御魔法を張ってくれていた。


「結構呆気ないけど、数が多いんだけど」

「そうね、数だけなら他のダンジョン以上だわ」

「だよねぇ。それにこの毒キノコと毒蜜なんて二束三文だし」

「あら、それはギルドに売るより薬屋の方が高く買い取ってくれるわよ」

「え?そうなの?私達いつも面倒だからってギルドにしか売らなかったよ」

「薬草や毒物系は薬屋、蟲の糸なら呉服屋に卸した方が特よ」

「今まで損してたなんて。今度からそうするね」

「でも貴女達ってお金に困ってないわよね?」

「そうだけどさぁ。損するのも嫌じゃない」

「確かにそうね」


 後ろでごちゃごちゃ聞こえるが、気にせず魔物退治に専念することにした。


 奥まで来ると、1階層にはなかったボス部屋が口を開けて俺達を待っていた。

 中を覗いてみると、真っ黒い大きな木が1本立っていた。


「フオルン」

「初めて聞く名だな」

「人語を理解し会話出来るトレントよ」

「話しかけてみるか?」

「向こうに話す気があればね」

「木だけにな」

「サキ」「サキさん」

「皆まで言うな、ダンジョンモンスターと会話しても無駄だろう。行くぞ」


 俺は長剣ではなくバスターソードを構え、再び炎を付与させた。

 俺が飛び出すと、後ろからカリストの弱体化魔法とアイの炎魔法が飛んでいき、フオルンに襲いかかった。

 その魔法を受けた直後に、俺からもバスターソードの一撃をお見舞いしたのだが。


「かったっ!!なんだコイツの樹皮は!?」

「私の炎も効いてないみたい」

「ルナの弱体化は効いてるはずなのに」


 弱体化魔法を受けて尚もこの防御力とは恐れ入った。

 それでも負けじと剣を振るって少しずつダメージを与えていく。

 アイも俺の側でフオルンからの攻撃を防いでくれていたのだが、地面から生えてきた根に捕まり、身動きが取れなくなってしまった。


「アイ!」


 俺はアイを助けようとその根を斬ろうと剣を振りかざすと、後ろから迫ってきた別の根によって剣を掴まれてしまい引き千切ろうとしてもびくともしなかった。


「調子に乗るなよ、アイ!剣を放せ」

「え?うん」


 下に落ちたアイの片手剣を拾い、もう片手にクレイモアを喚び出してアイにまとわりつく根を斬り裂いた。

 その勢いで本体にクレイモアを突き立て、更に拵えをそして長剣でその樹皮を貫き、片手剣で横払いするとようやくその動きを止めてみるみる痩せこけていった。


「勝ったな。アイ、大丈夫か?」

「うん、ありがと」

「アーシェとルナもありがとな」

「ここはお二人の力ね」


 フオルンを倒すと、そこには一つのリンゴのような果物が落ちていて、その先に下へと続く階段が現れた。


「これは何かわかるか?」

「わからないわ。ただのリンゴじゃないのは確かよね」

「かじってみる?」

「それは止めておこう」






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