第189話 森のダンジョン
2日後、森の中を歩いていた俺達はダンジョンと思しき洞穴を発見した。
街道から見える位置に存在するので、知られているはずだが人気は無いようだ。
「これダンジョンよね?」
「間違いないな。こんな所にあるのに地図に記載されてないのはなんでだ?」
「さぁ?」
「どうするの?私は入りたいわね 」
「だな。どんな時でもダンジョンは入りたいもんだ」
俺達は森のダンジョンへと足を踏み入れると、中から一人の男が現れた。
「お、ここを見付けられるなんて運がいいな」
「どういうこと?」
「そこの入り口、普段は閉まってるんだよ。出る時は足許にある転移魔法陣で出れるんだけどな」
「へぇ、じゃあ俺達は運が良かったんだな」
「貴方は一人なの?」
「申し遅れた。俺はこの森の管理をしているナイルだ。冒険者じゃないからダンジョンに興味はないが、散歩がてらたまに様子を見に来てるんだ」
「そうだったのね。それで、私達は入っていいのかしら?」
「もちろん、好きにしてくれ。無事を祈ってるよ」
「「「ありがとう」」」
普段は入り口がない為、知られていなかったらしい。
運が良かったから見付けられたが、ここで運を使い果たしてもそれはちょっと困る。
なにはともあれ、階段を下って1階層目に来た。外と同じように中も木々に囲まれて、鬱蒼とした森になっていた。
この階層に居たのは、ゼリータイプのグリーンゼリー とゲルと呼ばれるゼリータイプの上位種の2種。
グリーンゼリーは魔法で簡単に狩れるが、ゲルは魔法も物理も効きにくい。そこでアーシェはフェアリータイプのカリストを召喚し、ゲルに弱体魔法を掛けてアイの魔法で弾け飛ばしていく。
「流石ねアイさん」
「アーシェとカリストのお陰で楽出来たよ」
「あれ?サキさんは?」
「あそこでドロップ品拾ってるよ」
今回俺はドロップ品回収に専念していた。
因みにグリーンゼリーのドロップ品は魔石、ゲルはブヨブヨした固形の何かだった。
「流石ねサキさん!」
「何がだ!?」
この階の魔物の排除を確認して次へと進んだ。




