第173話 ミカエル対サキ・アイ
ジルコートに紫水竜を任せ、俺とアイは悪魔に駆け寄った。
俺は片手剣2本を構え、アイは盾と片手剣だが、この盾は都で新調したばかりの新品。勿論魔力を溜められるモノで、性能も数段上がっている。
悪魔は俺達に向かって闇魔法を撃ってきた。それをアイが防ごうとしたが、肩を掴んで転移魔法を唱えた。
悪魔の後ろへと転移してその胴体へ剣を突き立てると、悪魔も転移魔法で避けてみせた。
「チッ!逃がすか!」
「ちょっ!サキ!」
悪魔を追うように俺も転移する。着地と同時に俺の剣はソイツの腕をかすめた。
『ッ!やる』
追い討ちをかけて剣を振るうと、悪魔は短剣を具現化させて受け止めた。
もう片方の剣で突こうとする前に、闇魔法を放たれて慌てて2本の剣で防ぎ事なきを得た。
更に魔法による攻撃を繰り返し、それを弾いてるといつの間にか距離を取られてしまった。
その場に転移しようとすると、発動することが出来なかった。
「なに!?」
『貴様の魔力は底を突いただろう』
「あの魔法か」
『当たれば吸われる、それは剣も然り』
「厄介な事を」
すると、悪魔の後ろから風の刃が飛んできて悪魔に直撃した。
『ガハッ!あの女!』
アイによる風魔法だった。一撃与えられたが、後から飛ばした魔法は避けられてしまった。
悪魔がアイに意識が向いている隙に、剣を振りかざして背中に斜めの傷を付けたが、気取られて致命傷には至らなかった。だが、アイが放った雷魔法が直撃して全身を焦がし、俺の横払いの攻撃をその脇腹に与えた。
『き、貴様ー!!』
俺に手をかざし、魔法を放ったのだが、それを避けて駆け寄ってきたアイと共に挟み撃ちにして斬り裂いた。
「ナイスだ、アイ」
「サキもナイス!」
『俺の食事が、餌のはずだったのに…』
「俺達にそのつもりはないな」
『糞がぁー!』
「おい!!」
満身創痍の悪魔は飛び立ってその場から消えてしまった。
ジルコートの方も終わったようだ。
「お疲れさん」
「ジル、お疲れ」
「ありがとう。二人もお疲れ様」
「ジル、お願いがあるんだが」
「なに?」
「俺達を都まで乗せてってくれ。舟を壊されちまって」
「良いわよ」
「ちょっと待って。あの建物見てこうよ」
「お、そうだな。ジルも来るか?」
「面白そうね。行くわ」
ジルコートは人化して、三人で建物の中へ入ることにした。
その頃悪魔は、アトランティスの街長の所へ来ていた。
ガラスを突き破り、街長の部屋に侵入した。
「何事!?あ、貴方はミカエル様!」
『貴様の、貴様のせいで俺は…』
「敗けたのですか?」
『まだだ!まだ俺は敗けてない!』
「な、なにを!?」
悪魔は街長を喰らった。だがその最中、背後から一人の女騎士に刺されて絶命した。
「穢らわしい。この女は自業自得だな」




