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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第169話 対九頭竜

 


『九頭が人間の街を襲いに行ったようだ』

『やれやれ。大海嘯といいあの者達は何をしているんだ』

『暇潰しか、天使の意志か』

『今は悪魔だ』

『そうだったな。九頭を止められるか?』

『仰せのままに』




 俺達が九頭竜の元へ着いた頃には既に冒険者達が交戦していた。魔法や弓矢、召喚獣による攻撃で食い止めている。

 都市防衛砲台であるケルンも動きだして砲弾を撃っていると、最初に狙われたのがその砲台だった。

 9つの口からブレスを放ち砲台を木っ端すると、1つ1つの首が召喚獣や人間を狙って攻撃し始めた。


「アイ、召喚の援護を」

「りょーかい」


 俺はアイに守られながら口上を唱えた。長引かせては都が沈められてしまうと思い、最初から全力のティリンス・アクロポリスを喚び出した。


 無数の大剣が九頭竜を襲うが、その大きさに大剣ですら小さく見える。

 そしてアクロポリスの斬撃で頭の半分を失ったが、倒れる気配はない。


『…ラグナロクを、喚べ』


 俺は頷き、アクロポリスが消えると同時にラグナロク・アポカリプスを喚び出したのだが、その間に首が再生されていた。

 海中から幾千もの剣が飛び出して九頭竜の彼方此方に突き刺さり、アポカリプスの握る剣は胴体を貫いた。


 冒険者達から歓声が上がったのだが、飛んでいるアポカリプスは此方を見ると、横に頭を振った。どうやらトドメを刺せなかったようだ。


「ダメだったか」

「ならノワを喚ぶね」

「いや、まだ行ける。あの二体を喚んだのにあまり疲れてない」

「心のせい?」

「多分な」


 次にバルディエルを喚び出そうと思っていたその時、九頭竜の後ろから大きな島が現れた。

 九頭竜もその島の存在に気付き、後方へ振り返ると海の中へと引き込まれて行った。

 少しの時間静寂が訪れ、やがて水飛沫が上がって数分後、島が目前に浮上してきた。


『噂以上だな。太陽と無我を持つ者だけあるな』


「亀?」

「亀だな」


 その島亀はキョロキョロしながら念話を送っていた。


『亀とは失礼な。我が名はザラタン、レヴィアタンの使いで此処に来た。銀竜と黒竜の主は誰だ』


 俺達の事だろう。その島亀からは敵意を感じないが何の用なのかも分からない。


「俺だ。何か用なのか?」


 辺りがざわめき始めた。


『お主か、なら横の者が黒竜のか。そうかそうか。空の使いも力を貸すと言うのでな、我もと仰ったので来たのだ。ついでに九頭も黙らせた』

「空の使いって風神竜か?」

『そうだ。ほれ、これを受け取れ』


 勾玉と呼ばれる青色の石を受け取った。


「これは?」

『1度だけ、お主達の危機に応えよう。ではな』


 そう言い残し海の中へと消えて行った。



 周囲は騒がしくなっていたのでそそくさとその場を後に宿屋に戻ることにした。









[ザラタン]

 巨大な島亀。

 その巨体さ故に陸に上がると動けない。動けないだけで問題はない。

 レヴィアタンの傍にいるが、使いというよりどちらかと言えば友に近い存在。











九頭竜はお仕置きされて帰っていきました。

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