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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第163話 命の燈

 


「それはどんな方法なの!?」

『我とサキの心の臓を入れ換える』

「それで意識が戻るの?」

『強くもなるぞ。身体が馴れてからの話だが』

「でも、そうしたらアナタはどうなるの?」

『問題ない。やるかはアイが決めろ』


 私はしばらく悩んだ。目覚めた時にサキがサキで無くなってしまうのではないかと不安に感じた。

 だけどこのまま意識が戻らないかもと考えてしまう。


「お願い出来る?」

『承知した。任せておけ』


 輝竜は咆哮を上げると、胸元が青い輝きを放ち、サキの胸元も光りを放った。

 しばらくその光りに私も包まれていた。


『終わったぞ。これで目覚める』

「ありがとう!!」

『アイにも我が力を与えた。治癒魔法が強化されてる』

「私にまで、輝竜って本当に良い人ね」

『人ではないがな』


 それから間もなくしてサキは目覚めた。



「生きてるのか俺は」

「サキ!良かった!!ほんとに良かった!」

「アイ、ごめんな。俺を助けてくれたのか」

「うん!うんっ!助けてくれたのはこっちの輝竜だよ」

『目覚めたな。アイはずっと付き添っておったぞ』

「輝竜か。初めて会ったのに色々有難う。アイも、ありがとな」

『なに、黒の頼みだ。後で礼を言うんだな』

「そうよ!ノワが連れてきてくれたんだよ」

「そうだったのか。今度礼を言わないとな」

『目が覚めたなら行くがいい。我が眷族が近くの街まで連れていく』

「世話になった。有難う」

「輝竜。ありがとね!」

『なに、達者でな』



 ~サキ目線~


 俺とアイは燈竜の背に乗り、山脈近くの街まで送ってもらった。


「サキ、大丈夫?」

「ああ、好調とまではいかないがそれなりに。それに魔力が溢れる感じがする」

「その事は後で話すね。取り合えず宿に行こう」


 その夜、宿で輝竜がしてくれたことを説明してもらった。


「そうか…そうしてくれなきゃ目覚めなかったかもしれないんだな」

「うん」

「ごめんな。俺が不甲斐ないばかりに」

「いいの!こうしてまた話せるんだから」

「世辞でも嬉しいね。輝竜にはほんと感謝しないとな」

「ノワにもね」

「そうだな。後、アイにもな。本当に有難うな」

「エヘヘッ!」

「魔力についてもそれが原因か」

「そうみたい。私にも回復魔法の強化をしてくれたの」

「そんなことが出来るんだな。やっぱ竜種はスゲーよ。今度怪我したとき頼むな」

「任せなさい。ほら、病み上がりなんだからもう寝よ」

「ああ。おやすみ」

「おやすみぃ」


 アイは疲れていたのだろう、横になるとすぐさま寝息を立てていた。



『人間も捨てた物ではないな』

『輝様』

『我はしばらく眠る。後は任せたぞ』

『はい!』


 輝竜の身体はみるみる石化していき、眠るように眼を閉じた。

 竜の身体に、人間の心の臓は小さすぎて巨体の維持が出来ないのだ。それを知りながらもサキを助け、自信の力を授けた。この世の行く末を燈竜に託して。









[燈竜]

 エードラムドラゴン。

 中級種。全身が微かに光りを帯びている。

 輝竜と変わらない大きさで、争いは好まない。自信も戦闘は不得意のようだ。





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