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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第161話 対力天使

 


 遺跡と言うよりは金属のゴミ置き場と言った方が正しい。

 朽ちた機械の残骸があちこちに散乱しており、草やコケに覆われている。通りで今の地図には載ってない訳だ。

 そこを探索していると、地面に鉄の扉を発見した。


「これ、地下への入口じゃない?」

「そうだろうな。最近開かれた形跡も残ってるし、エーイリーが言っていた冒険者か悪魔かだな」

「だよね。開けてみよう」


 その扉を開けると、地下へと階段が続いていた。

 俺達は階段を降りていくが、前の遺跡のように明るくなっている。


 結構な段数を下り、地下へと降りるとそこは天井がやたらと高くだだっ広い部屋に出た。

 部屋は広いが真ん中に道が1本あるだけで、左右は下が見える。そこを歩いていると、突如轟音が響き渡った。

 急いで反対側にある扉を開けると、機械兵が立ち竦みその上部の扉が激しい音を立てて開いていく。そして機械兵の下には悪魔の姿があった。


「何をしているんだ!?」

『また人間か。我の研究の邪魔ばかりする。だがもう、完成したのだ。ここには用がない』

「研究だと?その機械兵と関係あることか?」

『ほう、見処がある人間だ。その通り!だが、お披露目はまた今度だ。ではな』

「逃がすか!アゲートッ!って、クソッ!」


 機械兵の手の平に乗った悪魔を、転移魔法で追いかけようとしたが、発動することが出来なかったので駆け寄ったが。


「ハッチオープン完了。カタパルト接続。インジェクション、カウント5、4、」


 と、部屋中に声が響く。


『追いかけられても面倒だ。これと遊んでおけ』


 近寄る前に機械兵と悪魔は打ち上げられていった。

 そして残された魔法陣から出てきたのは、白い翼を持った旧天使だった。


「天使!?」

「我が名はヴァーチェス。主の命により、排除させて頂く」


 左手を前に突きだし、魔法を放つ仕草をする旧天使だったが。


「…」

「…」

「…」


 旧天使も遺跡ないでは魔法は使えないらしい。本当に古代の人間は優秀だ。


 旧天使は魔法を撃つのを諦めて、翼をひろげ飛び出してきた。

 右手に持った剣を振り下ろす。それをクレイモアで受け止め、刀身を傾けて滑らせると、旧天使の剣は地面に触れた。

 俺は剣首をソイツの後頭部へと叩きつけて蹴りを一撃入れたのだが、怯む様子がなくすぐさま体勢を整えた。

 次に横払い、それを防ぐと回転斬りを繰り出され、受け止めたはいいがよろけさせられて数歩下がった。


「中々の剣豪だ」

「元は力天使、我のアスカロンを止めるとは。だが」


 旧天使は再び剣を振るって来たが、間合いに入られる前に長剣に換えて胴体に突き出したが、それをいなされてスレ違いざまに横腹を斬られてしまった。

 俺と旧天使は同時に振り向き、剣と剣がぶつかり合い火花を散らして弾き弾かれを繰り返す。その途中で後方へと飛ばされた時、2本の片手剣に換えて対峙した。


 ソイツの一撃は重く、片手では防ぎきれないので結局の所攻めあぐねていた。だがそれは向こうも同じようで、此方の攻撃に対し速度が追い付いていないように見える。

 スピードを生かして攻め続け、一瞬の隙を付いて剣を振り上げると、ソイツの胴体に傷を付けることことが出来た。


「浅いかっ!?」


 と次の瞬間。


「貰ったぞ!!」


 旧天使の剣が俺の腹部を貫いた。俺は片方の剣を離し、ソイツの剣柄を掴んだ。


「何をする!」

「只でやられるつもりはない」


 もう1本の剣で首を狙ったのだが、ソイツも片手を離して俺の攻撃を止める。


「残念だったな」

「残念なのはお前だ。アイ!」


 旧天使の後ろに回り込んだアイは、片手剣を振るってソイツの首を斬り落とした。


「ば…な…」


 粒子になって消えていき、俺の腹に刺さった剣だけが残った。


「サキ!サキ!ねぇ!しっかりして!」


 俺はそのまま仰向けに倒れた。










[ヴァーチェス]

 悪魔によって召喚された旧天使。悪魔も元々天使なので、言わば仲間であるが悪魔と違って純白な翼を有する。

 伝説の剣アスカロンを所有している。



[マジックジャマー]

 一部の遺跡に組み込まれている防衛機能の1つで、内部では魔法が行使出来なくなってしまう。

 だが、ジャマーキャンセラーを所持していれば使えたようだ。








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