第127話 対剣闘竜?
辺りを探索していると、砂丘から何かが飛び出しているのに気が付いた。
アイもそれに気付き近寄ろうとすると。
「ダメ!離れて!」
とアーシェが叫んだ。
「サキさん、アイさん、構えて」
「あれがそうなのか」
「ええ、多分向こうは既に気付いてるわ」
「アーシェ、喚ぶぞ」
「ええ」
俺とアーシェは口上を唱えた。
俺はバルディエルをアーシェは羊竜を喚び出した。
「アーティファクトサモン、さすがサキさんね」
砂丘が動きだした。
「来るぞ」
そこから出てきたのは剣闘竜ではなかった。姿は似ているが全くの別物。
鉄の厄災ともとも呼ばれる竜だった。
「ズワールじゃない!?なんなの聞いてないわ」
「サキ、あれって鉄の厄災じゃ」
「ああ、まさかあんなのが居たとはな」
「ウォルフラムドラゴン…」
砂を流しながら俺達の方に顔を向けた。
『ほう、羊に機械兵か。そこそこ期待出来そうだな』
「お前は銀灰竜だな?」
「そう呼ばれているな。人間よ、少しは楽しませてくれよ」
そう言うと空へと上がった。
「バルディエル!やれ!」
「捕捉しました。警告。バックウェポンを起動します。パンツァコア、レディ」
弾丸が一斉に放たれ、銀灰竜に襲い掛かった。
「カルテス、続いて」
『はい』
続く羊竜の炎魔法に覆われるが、翼を広げると炎も爆煙も吹き飛ばした。
その鉄のように暗く輝く鱗は傷1つ付いていなかった。
『ハハハハハッ!良い攻撃だ』
「効いてないのか!?バルディエル!」
「了解。PLライフルスタンバイ」
手にしたライフルを放ち直撃させたものの。
「敵機損傷率6%。戦闘を継続します」
此方もその風圧で飛ばされそうになる程の威力なのにたったの6%しかダメージを与えられていない。
羊竜は炎魔法とブレスで応戦する。
地上からはバルディエルのパンツァコアとライフルが銀灰竜を襲うも、その鱗を破ることは出来ない。
腕と一対となった翼は剣のように鋭く、羊竜に襲い掛かるが、防御魔法で防ぐことが出来た。しかし、その光の壁も一撃の攻撃で粉砕されてしまった。
振り向きざま、バルディエル目掛けて風の刃が放たれ、手にしたライフルを切り裂いた。
それを素早く手から離し、後方へと飛んだ。
その攻撃の際に、羊竜がブレスを吐きつけるが銀灰竜は気にしていない様子で、バルディエルを見やっていた。
「マスター。バックパック換装の許可を。」
「任す」
「了承しました。羊竜カルテス。時間を稼いで下さい。」
『はい。出来る限りは』
羊竜は防御魔法を張り、銀灰竜へと突進していった。
羊竜へと振り向きブレスを放った。それを勢いを殺さずに避けて体当たりを食らわし、よろけた所にブレスを撃ち込んだ。
暴風のブレスにより、噴射方向へと飛ばされていくのだが途中、その翼により勢いをなくしてしまった。
だが、続けて放たれた氷魔法により胴体の下半分を凍らせることが出来たのだ。
これで時間が稼げると思ったが、その氷も自熱か魔法かであっという間に溶かされてしまう。
再び放った氷魔法を風魔法で打ち消されてしまい、そのまま直撃を受けることになってしまった。
『カルテス、まだいける?』
『はい、マスター』
流石は、防御力が高い羊竜だ。
一撃くらい問題ないみたいだが、距離を置かれた銀灰竜は連続で魔法を撃ってきた。それを避けるのに必死で反撃が出来ない。
ついには一撃貰ってしまい、そのまま二撃、三撃と受け、力尽きてしまった。
「ありがとう。ゆっくり休んでてね」
その最中バルディエルは。
「バックパックの換装へ移行します。パンツァパックパージ確認、ルウルドパックスタンバイ、換装終了しました。各部作動良好。完了しました。続いて敵機への攻撃へ移行します」
羊竜が力尽きた頃、換装を終え攻撃を開始した。
[銀灰竜]
ウォルフラムドラゴン。
剣闘竜に姿形が似ているが、色は濃く、大きさも一回り程違う。
上級種であり、魔法に対する耐性が完璧に近い。攻撃力の高さも相まって鉄の厄災と呼ばれている。




