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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第121話 対フレースヴェルグ

 


 その巨人の背には翼が生えており、脚は鳥のそれである。

 屍喰らいと呼ばれる者。


「フレースヴェルグ!!」

「あの時の…」

「師匠の仇だ」

「じゃああの悪魔が!?」

「そうだろうな!クソッ!取り逃がすとは!」

『来るぞ!』


 俺達の前にいる巨人、フレースヴェルグはかつて師匠と対峙したヤツだ。

 俺とアイは師匠の召喚獣によって逃がされたが師匠はそれ以降姿を現さなかった。

 今それが目の前にいる。


 鋼剛竜は土魔法で槍を形成し、地面から生やした。それを飛翔して回避すると、翼で突風を引き起こした。

 俺はアイの防御魔法で風を軽減させ、飛ばされることはなかった。


 鋼剛竜も続いて空へと上がった。

 ヤツは右手に風を左手に炎を操り、その両方を駆使し、鋼剛竜の接近を許さない。 ブレスも、土魔法も風を纏っている為、身体に届かない。

 攻めあぐねていると炎に襲われ、攻めると風で守られる。風は守るだけでなく、攻めにも使ってくる。

 炎の勢いを風で増して業火になって放たれる。


 それでもなお攻め続けていると、活路が開かれた。

 ブレスを放つと風の勢いが弱まることに気が付き、それを利用してついには胴体に魔法を撃ち込むことに成功した。

 フレースヴェルグが受けたのはその一撃のみで、鋼剛竜は幾度となく炎と風を受けている。


「私達も何かやらなくちゃ」

「見ているだけじゃ腹の虫が収まらねぇからな」

「だよね!サキ、剣貸して」

「やるのか?」

「久々に、サキも新たに教えて貰ったのあるんだよね?」

「ああ、クイーンだ」

「なら一緒に。耐えられるかな?」

「おぶってってやるよ」

「そんときは宜しくね」


 俺はアイにシュヴェーラの本体であるバスターソードをアイに渡した。

 俺は2本の片手剣を手にする。


「主の権限において、アイ・ミズサキに一部の主導権を譲渡する」


 俺達は頷き合った。


『 悠久の時告げる光に合間見える終焉の時告げる闇、王の名の元に真の名を解き放て! ティリンス・アクロポリス! 』

『 悠久の時告げる光と闇を交わりて顕現せよ。世界を破滅に導く為に!現れろ、ラグナロク・アポカリプス! 』


 俺達は同時に唱え、二体の召喚獣を喚び出した。


「鋼剛竜!」

『おお、なんなのだ?これは』


 天と地に描かれた二つの魔法陣。

 空から降り注ぐ巨大な大剣と地から生えてきた数千もの剣が、フレースヴェルグに襲いかかる。

 それを退けようと風の勢いを増したが、鋼剛竜のブレスによって阻止され、幾本もの剣が突き立てられた。


 男の巨兵と女騎士の二人によって斬り裂かれたフレースヴェルグは力尽き、粒子と化していった。



 二体の召喚獣も消えて行くと、アイがその場に倒れた。

 召喚獣を一時的に譲渡出来るもののその代償は主より多くを支払わなくてはならない。しかも、アクロポリスは只でさえ大食らいだから全てを持っていかれたのだろう。

 昔に1度渡したことがあったが、その時も同じだった。


「お疲れさん、仇は取れたぞ」


 約束通りおぶって行くことにする。


「鋼剛竜よ、感謝する。お前のお陰で仇を撃つことが出来た」

『なに、ただの気紛れだ。しかし、あの様な者も引き入れているとは、大した人間だ。我は返り討ちにされたことにして戻るか』

「見逃すのか?」

『我にとって王などどうでもいいこと。さらばだ』


 そういうと飛び立っていった。



 しかし召喚主である悪魔本体を倒さねばいずれまた蘇る。

 それに本当の仇はあの悪魔そのものだ。

 今はどうすることも出来ないし、既に日も暮れ始めている。

 俺はアイをおぶって安全な所を探し求めた。








[フレースヴェルグ]

 姿は鳥獣人の巨人。屍喰らいと呼ばれており、フレースヴェルグが通った後には何も残らないと言われている。

 風と炎の魔法を得意とする。

 かつては大地に風をもたらす神とされていた。


 

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