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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第120話 奪われた召喚獣

 


 空から響き渡る金属音が耳を貫いて伝わってくる。

 両者共に譲らない攻防が続いている。

 段々と翡翠竜の傷が目立ち始めているのに気が付いた。一方の鋼剛竜はさほど傷が付いていないが、攻撃が鈍くなってきている。


 絡み合っていた二体の竜は距離を置いて魔法とブレス攻撃へと移行した。

 翡翠竜は風の刃、水の激流を繰り出し、鋼剛竜は土魔法とは名ばかりの金属で出来た槍を飛ばしていた。


 その魔法も互いの鱗を貫くことが出来ずにいた。だが次第に翡翠竜の水魔法によって押され始め、終いには地面へと叩きつけられた。

 起き上がり飛翔しようとしている所に上からの重力に任せたのしかかりが鋼剛竜を襲った。

 爪を立ててたことによりその爪は砕けていたが、背部を貫くことが出来た。


『我を貫けるとはな。油断しておったわ』

『此方も手傷を負ったがな』

『楽しいぞ。ここ数十年無かった高揚感だ』


『ねぇ、いつまで待たすの?』


 二体とは違う声が響いた。


『誰だ?』

『…』

『もういいでしょ。飽きちゃったよ』


 俺は後ろを振り返った。

 そこには小さな悪魔が立っていた。


「悪魔!なぜここにいる!?」


 俺達は武器を構えた。


『何故って、ジェイダが行きたがってたから行かせてあげたんだよ。僕はただの付き添い』

「言ってる意味がわかんないんだけど」

『お姉ちゃんバカだなぁ』

『おい止めろ!』


 翡翠竜が話を止めようとしてきた。


『あの子は僕のなんだよ。主が居なきゃ維持出来ないじゃん』

「まさか…」

「アイ、下がれ。1つ聞くが、ジェイダと何処で出会った?」

『人間から奪ったんだよ。それがどうしたの?』

「何時の話だ!?」

『サキ!もう聞くんじゃない!』

『忘れちゃった。無謀にも僕に立ち向かってくるからさ。殺しちゃった』


 その言葉を聞き終わる前に俺は駆け出し、剣を突き刺した。

 しかし手応えがない。


『危ないなぁ。これは僕の影だよ』


 貫かれながらも悪魔は話続けた。


『影だから僕からも君達に何も出来ないけどね、ほら』


 その腕が俺の身体を貫くが、空気のように抜けていった。


「貴様!本体は何処だ!?」

『言うわけないじゃん。言ったでしょ、ただの付き添いだって』

「何故ジェイダを行かせた!?」

『うるさかったからだよ。助ける助ける騒いでね。それで行かせてあげたんだけど、もういいよね』


 翡翠竜の身体が光り始めた。

 俺は翡翠竜の元へと駆け寄りながら。


「ジェイダ!師匠はどーした!?」

『すまんサキ。すまんアイ』

「ねぇ!なにがあったのかくらい言ってよ!」

『本当にすまない…』

「「ジェイダ!」」


 翡翠竜は俺達の前から消えていった。


「悪魔!奪ったと言ったな!ジェイダと契約したのか!?」

『そうだよ。あの人間が持ってた中で一番使えたのは翡翠竜だったからね』

「クソが!」

『僕はもう行かなきゃだから、これを置いてってあげる』

「おい!待て!」

『バイバイ』


 悪魔は魔法陣を浮かばせると自身の姿を消し、代わりにとんでもない者を置いていった。


「これは…」

「嫌、嘘…」

『人間達よ下がっておれ。我が相手をしよう』

「鋼剛竜。何故お前が?」

『気紛れだ。いや、憂さ晴らしだな』


 鋼剛竜が俺達の前へ出た。

 召喚された巨人と向き合いながら、ため息を吐く。


『ハァ。難儀だな、人間よ』






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