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召喚師と竜の誉れ  作者: 柴光
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第97話 子供達と竜

閑話含めて100話目です。

これからも宜しくお願い致します。

 


 それから3時間は探しただろうか。

 俺達は足取りも掴めずにいた。

 王都周辺とはいえ、街道には商人や冒険者がたむろしている場合もあるが、草原では人っこ一人いない。昼間ならまだしも夜中では尚更だ。



 俺とアイは森の入り口まで来ていた。

 中に入ろうか迷っていると、薬草の入ったカゴを発見した。


「サキ、これ見て」

「子供達のか?」

「多分。しなびてないもん」

「本当だ、今日採ったに違いないな。ならこの中ってことだな」


 俺達は付近にいた二人を呼び寄せ、森を探索することにした。

 王都から此処までは5時間以上掛かる。子供の足では更にだ。本当にいるのだろうか。


 ガサガサと草木が揺れた。

 俺は剣を出し構えると、そこから飛び出してきたのは二人の子供だった。


 泣きじゃくりながら飛び付いてくる。

「怖かったんだな。もう大丈夫だぞ」

「お姉ちゃん達に任せなさい」

「アイ、二人を呼んできてくれ」

「うん」


 合流したコールマンに心配しながらも怒られていた。


「全くお前らは!この人達が居なかったら俺も探しに来れなかったんだぞ!ちゃんとお礼を言いなさい!」

「ごめんなさい。おじさん、お姉ちゃんありがとう」「ありがとう」

「怪我がなくて良かったよ。それとお兄さんだからな」

「細かいこと気にしないの。おじさん」

「アイ、うるさい」

「テイマーさんも有難う御座いました」

「いいんですよ。見つかって何よりですぜ」


 泣き止んだ子供達から事情を聞くと、いつもより奥で薬草を採取していた所に小さな竜が倒れていたという。

 その竜は脚に怪我をしており歩けないようだったので、いつも親の近くで薬草を煎じているのを見てた兄の方が、岩に置いた薬草を石で潰し、それを脚に塗ってあげた。

 しばらく付き添っていると、竜が歩き出し着いて来いと合図をしたそうだ。

 後を着いていった先がこの森であった。

 森に入ったは良いものの、見失い途方に暮れている所に俺達が探しにきたという。


 俺は訪ねた。


「その竜はどこへいったんだ?」

「わかんない。突然見えなくなっちゃった」「どこかに消えちゃった」

「どんな竜だったか覚えてる?」

「小さかった。おじ…お兄さん達と同じくらいかな?色はねずみ色だったよ」「後ねぇ、羽根が光ってた」

「光ってたのか。見覚えあるな」

「ミストドラゴンじゃない?」

「ああ、それだ」

「あの、そのドラゴンって危険じゃないんですか?子供達に目をつけていたら自分じゃとても守りきれません」

「どうでしょうか。対峙したことないんですよね、滅多に見ない竜なんで」


 すると辺りが白く霧がかって持っていたランタンの火が消えた。


『童共を探しに来たのか』


 声だけが頭に響く。子供達とコールマンが辺りを見渡している。


「俺に任せて」


 そして俺も念話で答えた。


『そうだ。お前は里霧竜か?』

『そう呼ばれているな』

『何故子供達を連れてきた?』

『勝手に着いてきたのだ。何か勘違いしたようだな』

『そうだったのか。見守ってくれてたんだな』

『童は私の傷を癒してくれた。そのくらい私もしよう。人里に送りたかったがな』

『いや、すまんな。責任を持って俺達が届けよう』

『そうしてくれると助かるな。だが、草原には琥珀がうろついている。気を付けることだ』

『琥珀竜なら来る前に倒した。コールマンがやられそうになっていたのでな』

『そうか。お主達のお陰で私も安心出来るというもの。お礼だ持っていくといい』

『これは?』

『そのうち使うがよい。童よ。感謝するぞ』


 霧が晴れ、ランタンに灯りが戻った。

 俺の前に落ちたそれを拾い上げる。


「これってドラゴンのお爺ちゃんズの珠と同じよね?」

「そうだろうな。そのうち使えって言ってたし」

「じゃあミストドラゴンが出てくるのかな?」

「かな?ピンチの時に使ってみるか」


 俺達は森を後にし、王都近くまで戻った。

 夜中に門は開かない為、外で夜明けまで待つとのことだったので護衛がてら一緒に過ごした。










[里霧竜]

 ミストドラゴン。

 中級種だが小さい身体に、光り輝く翼を持つ。

 戦闘能力は不明だが、琥珀竜に劣る所を見るとそれほど強くはないと思われる。








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