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自衛官ただいま異世界放浪中!  作者: PET
サイドストーリー 勇者編
9/16

勇者の思い

ここからは零士くん視点です。

神谷 零士


俺たちがこの異世界に召喚され2週間という時が流れていた。


召喚された時は色々と困難な事や戸惑った事などあったものの最近ではようやくここの生活にも慣れてきた。最初の1週間は召喚に巻き込まれた伊勢さんの事で城の雰囲気がどこかギクシャクしていたが伊勢さんが城から立ち去り旅に出るとその雰囲気も嘘のように消えてしまっていたのである。

同じ日本人で俺たちを助けてくれた彼の所在が気になるが国王が魔通機と言う通信機のようなものを渡したそうなので7族魔王を倒せばきっと彼も戻ってくるだろう。


そんな事で俺たちはその7族魔王を倒すため、この王国を守る精鋭が揃った聖騎士団そして超一流と呼ばれるS級冒険者の皆さんに戦いの技術や魔物の倒し方や各得意な分野に分かれ必要な技術を学んでいるところなのだ。


そして早朝。俺は日本でも日課になっていた素振りを木刀ではなく木剣で行っている真っ最中だった。

ひとつひとつの動作を腕の力ではなく全身の力を使って素振りをするのでこれが結構いい運動になる。


およそ1時間タップリと素振りを終えた俺は汗だくになった服を脱ぐ。

すると「きゃ!」と可愛らしい小さな悲鳴が聞こえてきた。

思わず視線を動かすとそこにいたのは今では見慣れた人物の姿が目に映る。

吸い込まれそうなほど綺麗な蒼い目と流れる様な金髪この可憐な美少女は俺たちをこの世界へと召喚した張本人の1人この王国の第2王女マリー・ロイ・レインバートその人だ。


マリー王女は手を顔で覆いでいるが指の隙間からバッチリこっちを見ているので意味がない。

リンゴよりもさらに真っ赤になったマリー王女の顔を見ているとなんだかこっちまで気恥ずかしげになってくる。

少し気まずい恥ずかしげ雰囲気が流れるが、それを強引な話題転換で変える。


「お、王女様おはようございます!今朝のご気分はいかがですか?」


問われた少女はチラチラ俺の顔を見て赤くなった顔で返してくれた。


「お、おはようございます神谷様!私はとても元気です!」


しかしまたも沈黙が場を支配する。


「あ、あの!神谷様はこんな朝早くに何をなさっていたのですか?」

「はい?あー日課になった素振りをやってたんですよ。」


王女は不思議そうにキョトンとした顔になる。


「何故こんな朝早くに?それに訓練だってこれから始めるんですよね?」

「そうですね。確かに最初は素振りをやった後の訓練は想像以上にきつかったですけど、これをやってると落ち着くっていうかなんと言うか・・・。まあそんな感じです。」


と自分でも何を言ってるかわからない自分に思わず微笑む。するとその笑顔を見たマリー王女は何故か俯いている。それも耳を真っ赤に染めて、俺は王女に何かあったのかと思い少し心配になった。


「マリー王女大丈夫ですか?」


と俺が声をかけるとガバッとこちらに目を向け睨む王女がこっちに顔を近づいてきた。あまりの迫力に少し後退りする。


「神谷様!!!」

「は、はい!」

「あなたが召喚されてもう2週間は立っています。なので私の事も王女ではなくマリーと呼び捨てにしてもよろしいかと思います!」

「へっ?」

「ですから!私の事はマリーと呼び捨てにしてくださいまし!」

「いやーそれはさすがに駄目ですよマリー王女。」

「マリーです。」


さらに顔を近づけるマリー王女に困惑した俺は思わず頷いてしまった。


「わ、分かりましたよ。ま、マリーこれでいいですか・・・?」


王女いなマリーは睨んでいた顔を嘘のような柔らかい笑みに変える。そんな顔に思わず見惚れる。


「はい、いいです。それでは零士様私はこれで失礼します♪」


そうして王女は何故かスキップ混じりに城の中へと帰っていったのであった。


朝食を取り終わった俺たちは自分専用の武具を身に付けとある場所へと移動していた。

移動する俺たちの顔は多分とても緊張しているように見えるだろう。実際に俺はとんでもなく今緊張している。

すると黒いローブ姿に杖を持った真斗が弱々しい声をあげる。


「ぼ、ぼくたちかてるのかな?」

「なに弱気になってんだよ俺たちは勇者だぞ?負けるわけねえよ!なあ零士。」


とその髪の色と同じ真っ赤な鎧を着込んだ俺の熱血系親友の龍斗が俺の肩に手を回してくる。


「さあな。勝てるかはわからないけど俺は今の全力を出すだけだ。」

「やっぱり零士くんはかっこいいなー。ぼくはそんな事考えられないや。」

「そんな事はないと思うけど?用は心の持ちようだ。真斗も前向きに考えれば大丈夫だよ。」

「零士くん・・・!」

「なあ真斗何か俺の時と態度違くねえ?なあ二人とも聞いてる?」


と俺たちがこんな話をしている時女子はというと愉快にお喋りをしていた。


「ねえユメさん貴方そんな軽装で大丈夫なの?」

「うん大丈夫だよ!私職業忍者だし動きを邪魔しない服装が一番なんだー。それになんかこの武具おしゃれじゃない?」

「私にはわからないわ。まあ私は僧侶なのだけれど。それより沙耶さんは私と同じく後衛職だと思ってたのにまさか前衛職とはね驚きよ。」

「そうかな?私いちよう後衛職でもあるんだけど。」

「ずるいよね〜。さやっち勇者以外でジョブ2つ持ちとか勇者の中でも前代未聞って言ってたよね。」

「そ、そんな事ないよ。」


栗色の髪にボブショートの髪型で誰に対しいても差別なく優しく接する少女。しっかり者という印象のマリーとは違いどこか守ってやりたい気持ちになる彼女は俺が6歳の頃から思い続けている幼馴染でもある。

小野 沙耶 それが彼女の名前だ。

俺はボーと沙耶の微笑み顏を見つめていた。

すると横から赤髪の男がニヤニヤとした顔で俺を見ているので俺は恥ずかしさを紛らわせる為真顔で目的地へと急いだのであった。




そこは広い運動場のようなところだった。

ここはいつも訓練で使っている演習場である。

普段は木剣などで訓練などしているが今日は違かった。

演習場の中央で待っている人たちのところまで来ると端麗な顔を持つ背の高い1人の長髪の男性がその光景を見ておもむろに頷いた。この王国を守る聖騎士団の団長にしてレインバート王国屈指の武人の1人ランスロット・グレイダーさんだ。20代後半だと聞いているが、見た目は完全に俺たちと同じ高校生ぐらいにしか見えない。


「みんなよく来たね。こちらは準備は整ったよ。」

「おはようございます。ランスロットさんその方々が有名な冒険者クラン紅蓮の星の皆様ですか?」


と俺が代表して答えるとランスロットさんではなく赤髪の少女がその獰猛な笑顔をこちらに向け頷いた。


「そうだぜ!私たちがS級クラン紅蓮の星だ。私は前衛の名前はリタだ。ちなみに年は18だ。今日は存分に戦おうぜ?」


S級クラン紅蓮の星。その名は冒険者の中では知らないものはいないほど有名なクランだ。魔物が大量発生し街を襲う大規模進行それに立ち向かい見事生還した話は俺でも聞いている。

やはりそんなクランの少女は戦闘狂のような雰囲気がプンプンとすることがわかる。

するとそんな少女リタの頭に手刀が突き刺さりドスッという音が辺りに響き渡った。


「痛っ!!!なにすんだよ姐さん!!」

「リタ。私は行ったよな?私は言ったはずだよな?絶っっ対に勇者様たちに失礼な態度は取らないって、なに最初から破ってんの?ねえバカなの?いやバカだった。あと姐さんて呼ぶなーーー!!!!」


と耳の尖った美しい女性が肩で息しながら怒った顔を浮かべている光景に俺たちはただただ唖然とする。

しかしそんな雰囲気に気が付いたのか俺たちを見た女性は顔を真っ赤にするとブンと音がなるほど早く頭を下げる。


「申し訳ありません勇者様!このバカが失礼な態度を!」

「いや大丈夫ですよ。これぐらいの方が逆に親近感が湧いて落ち着きましませんが。」

「ほらな!姐さん気にしすぎなんだって!というか姉さん顔あっか!」

「誰のせいだと思ってんだ?」


と女性から凄まじい殺気が漏れたと同時に少女リタは急いで頭を下げた。しかも先程の女性よりも早く、


「すいませんでした!調子乗ってました!」


まるでどこかのチンピラだ。女性ははーと溜息をつくとしょうがないなというような顔を作る。そしてこちらを向き自己紹介をした。


「申し遅れました。私はエルフ族のフェイ・ライズベルって言います。このクラン紅蓮の星の団長です。今日はどうかよろしくお願いします。」


そしてある程度の挨拶を済ませた後ランスロットさんが、僕たちを見渡し人の良いそれでいてリタと同じぐらいに獰猛に見える笑みを浮かべた。


「それじゃあやろうか。今日から本物の武器を使った対人戦闘訓練だ。」


俺は思わず唾を飲み込み拳を強く握り込んだ。

そう今日から命をかけた戦闘を知るため武器での戦闘訓練いな戦いが始まるのだ。



次はいよいよ沙耶ちゃん視点です!


何かご感想があればどんどんくださいお待ちしておりまーす。

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