城から出たら異世界です
城から出ます
俺は今割当たられた部屋のベットに座り一人静かに落ち込んでいた。
何に落ち込んでいるだって?そんなのわかりきっていることだ。
俺はその原因となったものを開く、
「ステータス・・・。」
すると緑色に発光したプレート状のものが俺の目の前に出現した。
【名前】 イセ・カイト
【LV】 1
【ジョブ】 巻き込まれた自衛官 武人 賢者
【HP】 :4000
【MP】 :50000
【力】 :5500
【防御】 :4000
【魔攻】 :4000
【魔耐】 :3500
【俊敏】 :4500
【運】 :4000
【スキル】
短刀術 Lv6 銃術 Lv7 武術 Lv7 全属魔法 Lv1 刀術 Lv6 気配遮断 Lv5
気配察知 Lv5
【固有スキル】
鑑定 Lv1 創造 超人 超感覚
なんなんだ!巻き込まれた自衛官って!おかしいやろ!
と思わあずつっこんでしまった。
あの部屋で俺が巻き込まれたものだと発言したとき、それはたいそう国王と王女はやちまった感を顔に出していた。
めっちゃ謝られたが今となってはもう遅い。高校生達からは憐みの声や同情する声が聞こえあの冷たい小雪さんからも同情の言葉をもらった。
俺は改めてステータスを見るがいつみてもおかしいステータスだ。
はっきり言うチート臭しかしない。まずレベル1ですでに国王と同じぐらいのステータスとかありえないMPに関して言えばおかしいを通り越して唖然とするそれに固有スキル欄が明らかにやばい。
チート物のファンタジー小説も読んできた俺は明らかに自分がそんなチートスキルを取得しているのだと確信する。
ふざけんな!!俺は王道ファンタジーが好きなんだ!
と心のどこかで毒付き俺ははーと溜息を吐きながらベットへ倒れこむこれでけのステータスなのに勇者じゃないとは神様は悪戯が過ぎるのではないか?
そうして俺はこれからのことどうしようかと思案する。
国王が言うには俺の対応は今日の話し合いで決めるらしい俺はこれからどうなるのだろうか。
ちょうど空が夜空へと変わり真っ白な月が出現した時刻、電気ではない町の明かりが景色を照らしその光景をどこか幻想的にしている気がする。あっちにいた時はこんな景色が綺麗だと思ったことはない。ここが異世界だからだろうか?
そんなことを思っているとふいに扉を叩く音が聞こえてきた。
俺は扉の方に視線を向けるとフラフラと扉の方へと向かい扉を開ける。
するとそこには夕食を運びに来てくれた勇者の1人沙耶ちゃんがいた。
「あの!え、えっとお腹減ってると思って持ってきたんですけど・・・。」
と俯いていた顔を少しあげちらっと俺を見る沙耶ちゃん、どうやら俺をのことを気にしているらしい。
高校生に気を使われるとか俺はダメなおとこだな。
そんな俺のことを気にしてくれている沙耶ちゃんに俺は感謝の言葉を告げる。
「ありがとう沙耶ちゃん。俺のために持ってきてくれて。」
「いえいえ!私なんてこんなことしかできないしこれわたしがここの食材で作った夕食です!ぜひ食べてください!」
と俺は思わずトレイの上にある夕食を見るそこにはサラダとローストビーフそしてコーンスープとパンが綺麗に盛り付けられていた。
こんな高校生がお店で出すような料理を作れるなんて!沙耶ちゃんは将来いいお嫁さんになるだろう。
「すごいね。それじゃいただこうかな。」
とトレイを受け取ろうとした時沙耶ちゃんはトレイを自分の胸元方へと引き寄せ俺にトレイを渡そうとしない。俺はそんな行動に首を傾げてしまう。
「あのわたしの料理の感想を聞きたいので部屋に入ってもいいですか?」
「えっと。沙耶ちゃん?こんな夜にそのこんなおっさんの部屋に一人で入ってくるとか色々と問題が・・・。」
「部屋に入ってもいいですよね!」
とニコニコと笑顔を向けてくる沙耶ちゃんに俺は怖くなり諦めてどうぞと部屋に入れる。俺は女性に弱いのだ。
「し、失礼します!!」
と元気よく入ってくる彼女に俺は苦笑し部屋にある椅子に座らせトレイを受け取り俺はベットに座る。
スプーンを持ち俺はどれを食べようか悩むが温かそうなコーンスープを掬って口へと運んだ。
そして次の瞬間俺は涙を流した。
こんな温かいものを食べたのはいつ頃だろうか?
俺は遠い昔の記憶が蘇り思わず鼻をすする。
それほどまでに彼女の料理は温かくやさしかった。
どこか心を洗い流されたような感覚で俺は次々と料理を口へと運び、沙耶ちゃんはそれを温かい目で見ている。
あっという間に食べ終えた俺はスプーンを置き手を合わせご馳走様と感謝の言葉を口にするのだった。
「ありがとう沙耶ちゃん。とても・・・とても美味しかったよ。」
「いえ。こちらこそありがとうございます。わたしの料理を食べてくれて。」
と辺りを静寂が包みどこか気恥ずかしげな雰囲気が流れた時、再び扉が叩かれる。
「失礼します。」
と黒髪の眼鏡をかけたメイドさんが中へ入ってきた。
「えっと・・・。」
と俺が言うとメイドさんは礼を一つする。
「私はこの城のメイド長を務めさせていただいておりますミーナです。」
「こ、これは親切にどうも。」
「イセ様。国王様がお呼びになっておりますのでご案内させていただきます。おや勇者沙耶様ここで何をしているのですか?まさか・・・!」
とミーナさんが俺たち二人を交互に見てどこか納得する表状を浮かべ聞くと首を思いっきり左右に振り真っ赤な顔でそういうのじゃないですから!と沙耶ちゃんが否定する。
そして俺は国王が呼んでいると聞き思わずそわそわしてしまう。
「冗談です。」
とミーナさんがしれっと無表情で言うと沙耶ちゃんが頬を膨らませミーナさん!と怒った声で言う。
しかしそれを無視してミーナさんは俺の方を向いてこちらですと案内を開始した。
そのあと沙耶ちゃんが無視されまた怒ったのは言わずとも分かることだ。
薄暗い通路を歩きながら俺は緊張のあまり生唾を飲み込む。
そんな俺とは裏腹に前を歩くメイド長ミーナさんの足取りはキビキビとしていた。
そして扉に金の獅子が装飾されている赤い扉の前まで来るとミーナさんがそこで止まった。
「こちらです。」
ミーナさんは扉を叩き失礼しますと入る。
「国王様。イセ・カイト様をお連れしました。」
「うむ。」
国王は持っていたワイングラスをテーブルへ置くと立ち上がった。
そして俺を見ると来たかと呟き、
「ここへ掛けてくれ。」
と椅子を進めてくれた。
俺はおとなしく椅子に座り国王を見る。
国王は再びワイングラスを手に取りガラスを傾けて残りのワインを飲み干し喉を潤す。
「まず初めに良い報告と悪い報告が有る。まずどちらから聞きたい?」
「えーと。そ、それじゃあ悪い報告からで。」
国王は一つ頷く
「うむ。それはお前の今後についてだ。」
俺は生唾を飲み込む。
「お前にはこの城から出て行ってもらうことになった。」
「な、なぜですか!こんな見知らぬ土地で一人にされたらとてもじゃないが生きていけないですよ!」
俺は思わず叫んでしまった。
そして国王は申し訳ない顔をする。
「本当にすまない。私の方もできるだけお前を城においておきたかったが他の貴族それも公爵家の者が反対してな・・・。結局多数決でお前を城から追い出すことになってしまった本当にすまなかった!」
と深々と頭を下げ謝る国王に思わず、
他人ごとだから謝ればいいと思ってんだろ!
と思ってしまうがその感情をぐっとこらえ短く溜息を吐く、
「それじゃあ、良い報告とはなんですか・・・。」
「それはだな流石に丸腰でお前を城から出すのいささか厳しい、だからこの世界の貨幣である金貨を5000枚と様々なアイテムが入るマジックバックとお前が必要な物をできる範囲で渡そうと思う。」
と国王の言葉に耳を疑うたった1人を追い出すのにそれだけの物をもらって果たしてその反対した貴族はそれに賛成するのだろうか?
だがもう決まった物はしょうがない俺は素直に諦める。
「分かりました。それじゃあいつ俺はこの城を出た方いいですか?」
「いつでも構わない出来れば勇者たちに気づかれないようにしたい。」
「分かりました。それではあしたの朝一にはこの城を出ようと思います。確かにこの世界で1人になるのは不安ですか、よくよく考えればこの世界をゆっくり楽しみながら生活するて言うのも俺は考えてましたし・・・。」
「おおそうか。」
「あ!そうだなんでも欲しい物くれるんですよね?」
「私たちが出せる範囲内の物ならな。」
「それじゃあ防具一式と剣と短剣を数本あと外套とこの世界地図をいただけませんかあ?」
「それぐらいでいいのか?なんならメイドの1人をお供につけるが?」
「いえいいです。大体は1人でこなせますから。」
「そうかわかった。それならば朝もう一度この部屋に来てくれここで荷物をお前に渡そうと思う。」
「はいわかりました。」
と国王は立ち上がり月の出た夜空を見る。
「本当にすまなかった。お前のような一般人を巻き込んでしまって。」
俺は立ち上がると首を振る。いろいろ言ったものの結局俺はこれから起こることにどこか興奮しこの状況を楽しんでいた。
これからはどんな冒険をしようと自分の自由な訳で、ファンタジーオタクの俺からしたまさにここはパラダイスなのだから。
「いえこれも何かの運命だと思って過ごすだけですよ。」
と俺は言うとその部屋から出て明日のため部屋で就寝したのである。
そうして早朝。
俺は用意されたインナー着用し胸当てと小手を付けブーツを履くとその上に外套を羽織り刀を一本と短剣を2本、そして様々な物が入った魔法の袋 マジックバックを腰につける。このマジックバックはおよそこの城がすっぽり覆うほどの容量があり中に入れた物はそのまま時間が止まるという自治に便利な機能が付いているらしい。うむ素晴らしいさすがファンタジーだ。
俺はそのまま王に別れを告げ門まで来ると召喚された城へと目を向ける。これでしばらくは戻ってこれなくなるとなるとどこか寂しい感じがするのは気のせいだろうか?俺は大きく息を吸うとこれからのことにワクワクし顔を笑みに変え門から出ようとした時のことだった。
「伊勢さーーーーん!!!!!」
と俺を呼ぶ声が聞こえ振り返ってみるとそこには寝間着姿の沙耶ちゃんが俺の方へと走ってやってきたのだ。
「い、伊勢さん。言っちゃうんですか!?」
と肩で息をしながら沙耶ちゃんは俺を見つめる。
「うん。城に残ってちゃん色々と邪魔だと思うしそれにいい機会だから。」
「そんな邪魔なんて!私から王様か王女様に頼めば、何とかしてくれるはずです。だから・・・!」
と必死に俺を引きとめようとする沙耶ちゃんに俺は首を振る。
「沙耶ちゃん。君は俺が助けたからそういう感情を持ってるだけだよ。俺じゃなくてもあの時零士くんが君の命を救っていたかもしれない。俺が救ったのはたまたまなんだ。」
「そんなことはないです!私は伊勢さんに救っていただいたからこの場にいるんです。あの時震えていた私に笑ってくれた伊勢さんがいたから・・・!私は初めて心から好きな人ができたんです!だからだから!」
と俯く沙耶ちゃんの頭に手を置きその綺麗な髪を撫でる。
「こんなおっさんのことなんかほっときなさい。」
「ほっとくなんてできないです!」
「わ、わかったよそれじゃあ・・・。」
と俺は彼女の肩を掴み視線を合わせる。
「強くなりなさい、俺があの時救ったみたく今度は君が困っている人を助けるんだ。俺がピンチの時今度は君が救ってくれよ。」
と俺が言うと沙耶ちゃんは何度も何度も頷きながら涙を流し城から出て行く俺に手を振って送り出してくれた。
こうして俺は遂に異世界へ旅に出たである。
いよいよまちへとくりだします