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朝へ向かう夜

作者: みずめ

短編作品ですが、前作の『夜』を少し意識するかたちで書きました。

『夜』の続きと捉えていただいても、短編作品と捉えていただいても、どちらでも何か伝われば嬉しく思います。

深い暗闇を知って

眩しい光を知る

人は

暗闇の中でしか

光を見つけられない


まるで

赤ん坊が初めて光を知り

初めて空気を知り

気高い産声をあげるように



あなたも

泣いていいんです

たとえそれが

声にならなくても

醜いほどにかすれていても

内から外へ投げ出そうとすることに意味があります

今まで散々

何かをする前に意味を考えてきたんでしょう?

先行きに全て見通しをつけようと

何度も何度も目を細めて

不安なこの先を睨んできたんでしょう?

うまく言葉にできない感情や感覚を飲み込んできたんでしょう?

本当は座り込みたいのに

本当は笑えないのに

本当は涙がこぼれ落ちそうなのに

何度も何度も気づかないふりをしてきたんでしょう?


もう、いいんです

これまでのあなたがどうだったかなんて

私は、これからのあなたを知りたいんです

私は、これからのあなたを見たいんです

私は、これからのあなたに興味があるんです



深い暗闇を知って

眩しい光を知るように

笑えない日々が

笑える日々の尊さを教えてくれる



さて、

ようやくスタートラインですね


気づいていますか?

今あなたがいる所が深い深い暗闇なら

そこからでないと見つけられない光があることを

あなたにしか見つけられない光があることを


誰かと比べなくていいんです

比べるのはもっとずっとずっと先でいいんです

あなたがあなた自身の歩幅で進めるとき

初めて誰かを意識すればいいのです

大股で歩いても

慎重に歩いても

右にぶれても

左にぶれても

時には下がってみてもいいんです

もちろん楽しい時には走ってもいいんです


気づいていますね?

あなたは今

暗闇という無限の可能性の中にいます

暗闇の中では前も後ろも上も下もあなたの思うがままなのです


下腹に食い込んでくる痛みも

不得意だった朝の感覚も

怖かった視線も

全部全部準備運動です


夜はやがて朝へ向かいます

疑いたくなるほど夜が長いかもしれません

逃げたいと思うほど夜が深いかもしれません

けれど、

朝は来ます

誰にでも来ます

望んでも望まなくても


だから、

1つだけ約束して下さい

たとえ、

今いる暗闇が怖くて不安でどうしようもなくても

目をつぶらないで下さい

泣いてもいい

叫んでもいい

怒ってもいい

でも、

やがて射し込む光は見逃さないで下さい

私が照らしますから

私が何度も照らしますから

私は、これからのあなたを見たいんです


人は

暗闇の中でしか

光を見つけられない


あなたは今、スタートラインにいるのです

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