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侍ジュリエット  作者: 水陰詩雫
第二章 盟主会議 アルマナ・ラフィール
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3 黒毛玉と水晶の谷

 分岐路を埋め尽くすように現れた黒い毛玉のような生き物?はじわじわ迫る染みのように真九郎たちへと迫ってきた。

戦闘準備を整えようとするニーサとシルメリアだったが、真九郎はバックからビンを2つほど取り出すと黒い毛玉たちのほうへ歩いていく。

「師匠!!!何やってんですか!」

片手で皆に待つように合図をすると、黒毛玉の前にどかっと腰をおろした。

「お主ら、いいものがあるんだ一緒に食べないか?」

ビンを開けて中から取り出したのは小さい、金平糖に似た砂糖菓子である。

この地域でも砂糖は貴重であるためかなりの高級品であったが、アルマナの貴族への土産にとレグソール伯が入れてくれたのを思い出したのだ。

ふとビンから漂う甘い匂いに動きを止める毛玉たち。

「実は前から目をつけたいたのだがな、どれ頂いてみようかな」

ポリッ

「おお~これは美味だ。お主らもどうだ?」

真九郎は手の平に砂糖菓子の粒を取り出すと物怖じもせずに黒毛玉に差し出す。

しばらくそわそわしていた毛玉たちの中から一匹がちょんっと飛び出て砂糖菓子を差し出す手の平に近づく。

すると黒毛玉の中からくりんとした眼が現れる。

愛くるしいその眼で真九郎と砂糖菓子をキョロキョロ見比べていたが、小さい口で砂糖菓子をポリっと口にした。

『キューーーーー!!!!』

『『『『キュキュキュキューーー!!!』』』』

毛玉は砂糖菓子を食べた後、飛び回り始め、それを見た毛玉たちも同様に飛び始める。

『あまい・・・・おいしい・・・・ありがとう』

最初に出てきた黒毛玉はちょんと真九郎の前に飛び出ると、体から狸に似た尻尾をひょこんと出し真九郎の肩に飛び乗った。

『ニンゲン、いいやつも、いる、うれしい』

「お主、話が出来たのだな、菓子は気に入ったか?」

『あまい!おいしい!みんなで、食べても、いい?』

「ああ、足りるかな、でも食べてしまっていいぞ」

『わーい、みんな、食べていいぞ』

『キューーキュキュキュ』

毛玉たちはビンから砂糖菓子を取り出しおいしそうに食べ始めた。

それを見ていたサクラがビンに近づき、砂糖菓子の粒を取り出して毛玉たちが食べやすいように手で分け始める。

ナデシコとニーサ、シルメリアもつられる様に砂糖菓子を配り始める。

どうやらぎりぎり全員にいきわたったようでみなでほっとしていた時だった。

『ニンゲン、どうして、ここ、きたの?』

「このトンネルを抜けて山脈の向こう側に行きたいのです」

『さんみゃく?とんねる?なあに?』

話を詳しく聞くつもりなのかニーサの膝の上にちょんっと乗った毛玉の瞳があまりに愛くるしかったのか、ニーサが思わず撫ではじめた。

「外に通じる道を探しているの」

『お外、お外への道知ってる、一つだけ、通じてる』

「毛玉ちゃん、どっちの道が通じてるの?」

『そっち、ちがーう道なくなる、こっちこっち』

毛玉はニーサの膝から通路の端に向かって移動すると、落ちた。

「あああああああああああああああ!!!!!」

みんなの悲鳴がこだました。

「お、落ちた!!???毛玉ちゃん!?」

様子を見に行くと、ぴょんと顔を出す毛玉。

『こっちこっち』

「あ、見てください、すっごく狭い階段がありますよ!」

ナデシコが人一人がやっと降りられそうな細い階段を見つける。

その先には通路の真下側を通るような形で道が伸びていた。

「これは気付かないわね、毛玉さんありがとう」

すると毛玉の群れの中から真っ白、いや白銀の体毛を持つ毛玉が一匹シルメリアの肩に飛び乗った。

『同じ!同じ!毛が同じ!!』

かわいい声をした銀色の毛玉がシルメリアに体毛と銀髪が同じだと主張し始めた。

「おそろいね、すごく綺麗な毛玉さん」

『すごく、オルナ、おいしい、お前、いいにおい』

「あら、ありがとう、オルナをおいしいってあなたたちはオルナを食べるの?」

『少し、たべる』

すると毛玉たちシルメリアの周囲に集まり始める。

『おいしい、すごく、あまい、オルナおいしい』

「シルメリアさん、オルナを食い尽くされませんか?注意して」

「大丈夫ほんのちょっとだけ舐めるような感じだから、ここの全員が食べても永続光呪文の半分も使いませんから」

「そ、そうですか・・・・」

「お主たちさえよかったら、外まで続く道を案内してくれないだろうか?」

『いいぞ、いいぞ、甘いお菓子、おいしかった、お礼お礼』

『おれい、おれい、おれい、おれい、あんないー』

ニーサは力が抜けたように座り込む。

「真九郎さん、驚きましたがあなたのようなに小さな生き物を大切に扱う心、とても素敵だと思いました」

「なんともかわいらしい奴らではないか」

「ええ」

サクラとナデシコはすっかり毛玉たちと仲良くなっている。

銀毛玉はシルメリアが気に入ったらしく頭や肩にのって甘え始めた。



まずサクラが階段を下りロープを結ぶと、それを伝って全員が狭い階段を下りること成功した。

こういうときのサクラの身の軽さと積極性は大きな武器になるなと真九郎は感じた。

むしろこの娘は斥候や偵察・・・・忍のような動きのほうが本領を発揮できるやもしれない・・・・



Y字路の左側通路の下層をしばらく沿うように走っていた道は、急に崖へ接近し始めた。上部の通路は崖沿いに走るが、下層の通路はそのまま崖の中にできた洞窟に繋がる。

洞窟は人が5人並べるほどの広さであるが、一気に息苦しくなったように感じる。

案内役の黒毛玉とシルメリアの肩に乗る銀毛玉以外の大半は、邪魔になると判断したのか洞窟下部に空いた小さい穴から中に入っていった。

それでも後からついてくる毛玉や、先行しつつこちらを振り返り心配する毛玉たちが真九郎たちの心を和ませる。

洞窟を1時間ほど進んだところで野営に都合が良さそうな広場が現れた。

予想外のことが多かったため皆、疲労がたまっているようだ。


毛玉たちに敵意や悪意がないと判断したが一応念のため結界を張り警戒することにした。

「ねえ、毛玉って呼ぶのもちょっとかわいそうかもって」

ナデシコが黒く手触りの良い毛玉を撫でながら提案する。

「ねえ、毛玉ちゃんって名前ないの?」

『名前、ない、みんな、名前、ほしい?』

『ほしい!ほしい!ほしい!』

「毛玉が名前じゃないってことはちゃんと分かってるみたいですね」

ニーサまですっかり毛玉の虜になっている。

「師匠、この子たちにサクラたちみたいな名前付けてあげたら?」

「全員分か?」

「多分総称でいいのだと思いますよ」

「うむぅ~ どうしたものか」

「この子の名前もお願いします」

シルメリアが手の平にのった白銀の毛玉を差し出す。

「すこし考えるとしよう・・・・」





しばらく寝付くこともできず名前を考えていたら眠れなくなってしまい、ひたすら考えているうちに寝付いてしまった真九郎。

黒いから、黒ゴマ、あんこ、おはぎ、黒妖怪、真っ黒、ほくろ、様々な案が浮かんでは消えを繰り返し彼は今寝不足の朝を迎えていた。

「師匠おはよう~、名前は??」

朝から元気なサクラが暖めたスープを差し出しながら催促してくる。

「名前なぁ、色々考えたんだが」

「うんうん」

「クロ」

「クロ・・・・・・まあ師匠が決めたならいいのかな?」

『クロ、クロ、クロ!』

クロたちはぴょんぴょん跳ねながら喜んでいるようだ。

「真九郎様、この子は・・・・・」

不安そうなシルメリアが手の平でまだこっくり寝ている白銀の毛玉を愛おしそうに撫でながら無言の催促をしてくる。

「うっ・・・雪 ・・・・」

「雪ちゃんですね、かわいい・・・・起きたら教えてあげようっと」

予想外に喜んでくれた皆にかなり罪悪感を感じながら朝食をとる。

クロたちによれば半日ほどでこの洞窟を抜けて外へ出られるという。

「ニーサさんの予想通り、一週間弱で抜けられそうだねさすがニーサお姉さま!」

「距離から逆算しただけですよ、でもまだ気は抜けません」

「はーい」

「では準備出来次第出発しましょう」

ニーサの号令で荷物をまとめ出発する。


洞窟内には見たこともないような鉱石が点在し、時々ニーサがすぐに採れそうなものだけを採取していた。

クロたちの案内は正確だったようで半日ほどで長い階段が見え始める。

そしてその先にかすかな光が見え、それが外の太陽の光だと分かった時の皆のはしゃぎようはすごかった。

「・・・・・サクラ、無理のない範囲で先行して偵察してきてくれないか?荷物は預かろう」

「師匠・・・・いいの?」

「出口付近では待ち伏せ等に注意するんだぞ」

「はい!行ってきます!!」

サクラはその身体能力を活かし猫のように駆け上がっていく。

ゆっくり登っていく真九郎たちの所に戻ったサクラは興奮を抑えきれない顔で報告する。

「し、師匠すごいよすごいよ!!あれなんなのすっごい綺麗!!!」

「落ち着け、何のために偵察出したんだよ」

「あ、そうだった・・・えっと外には見たこともない綺麗なのがいっぱいあって、そうだ敵とか気配はなかったと思う」

「そうか、助かったよサクラ」

綺麗というからにはどんなものなのだろうと、皆が微かに期待しつつ階段を登りきった。



「・・・・・・・信じられない・・・・・」

言葉を失うとはこのことなのだろうか、山脈の麓らしい高台の眼前に広がっていたのは水晶に覆われた谷のような場所であった。

まるで天上から落ちた水晶の水しぶきがそのまま固まったかのような不思議な空間であった。


しばらくの間、皆が水晶に見とれていたが、クロたちは皆の頭や肩から離れ階段のほうへ戻り始める。

「クロちゃん?」

『お別れ、さびしい、クロのうち ここ』

「ありがとう、クロ、サクラたちもがんばるね!」 

クロたちが階段入り口で一斉に尻尾を振ってお別れの意思を示しているようだ。

毛玉たちが戻っていったが、一匹だけ動かない毛玉がいた。

「雪ちゃん?」

『雪、残る、シメリケ、一緒』

「し、しめりけって 私はシルメリア」

『シメリケ、好き、一緒』

「もう・・・・どうしよう・・・」

と言いつつも、一番離れたくないのはシルメリア自身のようだ」

『雪、残る? 大丈夫?』

クロたちが雪を心配しはじめる。

『雪、心配ない、シメリケ、オルナ あまーい』

『気をつけて、またね』

クロたちがぴょんぴょん跳ねながら見送っていた。

「クロちゃん、また会いにくるからね!ありがとう!」

「またお菓子持っていくからね!」

『まってる~、気をつけて~』

こうして旅の同行者を増やしたシメリケたちは水晶の谷を見物しつつ、現在地の確認を行っていた。

ニーサが地図を取り出し、現在地の確認をしている間、水晶が埋め尽くすこの谷の荘厳さに改めて立ち尽くす。


大よその方角が分かったところで移動を開始するがそこでナデシコが奇妙なものを発見する。

「ね、サクラこれ見て、中にウサギがいる」

「ほんとだ、どうなってんの?」

水晶の柱に飲み込まれるように飛び跳ねた、そのままの姿で水晶に閉じ込められているように見える。

しばらく進むと今度は木々も同じように水晶に飲み込まれていた。


「思ったよりいい場所ではないのかもしれませんね・・・・・」

ニーサの表情が険しくなっていく。

「付近に敵意その他の気配はないと思います・・・・・」

シルメリアの探知には掛かってはいないようだ。

「皆さん、手袋を着用し素手で水晶に触れないように、ここを急いで離れます」

ニーサの指示の元、まさしく水晶に覆われた森を突っ切ることにする。

北へしばらく進んだところで水晶は途切れ、普通の地面や森の感触を味わうことになった。

「ふぅ疲れた~」

ナデシコが近くの岩場に腰掛ける。

「小休止してから野営できそうな場所を探しつつ北上しましょう」

「「はーい」」

『シメリケ、疲れた? 大丈夫?』

「大丈夫よ、ありがとう雪ちゃん、あと私はシルメリアだからね」

『シメリケ、シメリケ』

「すっかり仲良しさんだな、雪」

『シンクロウ、シンクロウ』

今度は真九郎の頭の上でぴょんぴょん跳ねる雪。

「シルメリアさん、探知はどうなってます?」

「小動物がいるぐらいですね」

「あの、丘の周辺を目標に移動しましょう、あと少しみんながんばって」

「「『はーい』」」



丘の中腹に野営に適した見通しの良いスペースがあったため、野営準備を始める。

シルメリアは雪と二人で探知魔法と結界に駆け出していった。

こうなるともう皆手馴れたもので、口に出さなくてもテントや食事の準備などを行なえるようになる。

サクラとナデシコはすぐに石でかまどを作り、焚き木を敷いたがやや足りないようだ。

ニーサは魔道具の地図で現在地の把握と進行方向の設定に余念がない。

暗くなる前に全体像を掴もうとしている。

真九郎もバックから必要なものを取り出しナデシコに手渡していく。

「少し休憩したら軽く鍛錬をしておくか」

「「はい、師匠お願いします」」

二人と共に素振り稽古から入り、基本の型を確認する。

真九郎は以前から考えていた短刀に見立てた木刀を二本、サクラに手渡す。

「サクラ、これでナデシコと模擬戦をしてみなさい、木刀なので寸止めでな」

「はい、師匠でも二本使うの?」

「ああ、お前の戦い方を見ていてよりサクラに適した戦い方を確認したほうが良いと思ってな」

「うん、分かった!!」

「いくよサクラ!」

カンッ!カンッ!

ナデシコとサクラは同期でもあり腕前は互角である。

体格差を考慮すればサクラの身体能力の高さがそれを補っている。

基本型のナデシコと、まだ短刀二刀流の扱いに慣れていないサクラ。

「サクラ、一本はおまけと思え、体の赴くまま型を忘れて好きに動いてみなさい」

「はい!」

するとサクラの動きが見違えてきた。

打ち込むと見せかけ、バックダッシュし、近くの岩場を足場に宙返りをしつつ肩口を狙って短刀を振り下ろす。

ナデシコも打ち払うものの、その素早さに驚いている。

だが、手馴れた得物を使うナデシコに徐々に追い詰められてしまう。

「それまで!」

「ふぅ・・・はぁはぁ」

「サクラ、早すぎだって~」

「やっぱナデシコ強いなぁ」

「サクラ、どうだ?その戦い方は」

「うん・・・・あの基本の練習があったからこそあの動きができるんだって分かるんだ」

「サクラ用の新しい武器を用意しないとだな」

「ほんと!?やったー!」

「サクラいいなぁ・・・・」

ポンっとナデシコの頭を撫でる。

「ナデシコにもちゃんと次を考えている、お前の持ち味は粘り強さだ。それにあった武器の構想はすでにある」

「し、師匠~・・・やっぱり師匠すごいよ!いっつもお姉さまのスリット盗み見てるだけの隠れスケベじゃなかったんだね!!!」

「お前・・・・・・素振り1000回!!!!」

「なああああ!ひどい!!!」

「うへへへ、師匠の隠れスケベは内緒って言ったのにぃうへへへ」

「サクラ!お前も素振り1000回!」

「ひいいい!!」

「焚き木なら俺が拾ってくるから、しっかり素振りしとけ、まったく」

「「はーい・・・1.2.3.4・・・・」」


「なんだかお父さん見たいですね」

ニーサが柔らかい笑顔でからかう。

「やめてください、というか俺そんなに太もも見てましたか・??」

「はい、隙あらば!!!でしたよ」

「っが!!!!!焚き木拾ってきます・・・・・」

「うふふふ、いってらっしゃい」




探知魔法と結界の設置からシルメリアが戻ったのは、ほぼ真九郎と入れ違いであった。

すぐに簡易かまどに火を入れると、バックから出してあったタンクに呪文で水を満たし始める。

この呪文のおかげで旅の途中も水を潤沢に使うことができたのだ。

鍋に水を入れ食事の準備を始めようとするとニーサが手伝いにやってきた。

日が落ち始め辺りが暗くなり始めており、ナデシコとサクラがへとへとになって戻ってきた。

「ふぅ疲れたよ~」

「まったくナデシコが師匠をからかうから~」

「だって~いっつもお姉さまの太もも見てるじゃん」

「ちょっとぉ!そんなことをからかったんですか??」

「だっていっつも見てるよぉもうねっとりじっくり・・・・」

「ね、ねっとり・・・・・」

『シメリケ、あまい~ オルナあまい~』

「ちょっと雪ちゃん!」

「あははは、お姉さまもお年頃ですにゃ~」

「みんな、あんまりからかうとこのお姉さまは暴発しますよ?」

「あ、ごめんなさいーい」

「さーて夕食だ~」

「ねっとり、じっくり・・・・」


ニーサが手馴れた手つきでスープを用意しベーコンをフライパンで火にかけ始めたときだった。

「そういえば師匠遅くない?」

ナデシコはベーコンが焼けるのを見ながら呟いた。

「たしかに・・・・焚き木拾いってそんな時間かかるかな??」

「私とは入れ違いだったのですね・・・・・」

「気になりますね、探知おねがいできますか?」

答えの変わりに探知をかけたシルメリアも軽い気持ちで周囲を探るつもりだった。

どうせ綺麗な花を見つけたとかだろうと思っていたのだ。

だが、

「反応が・・・ない」

「え?」

野営地を飛び出して行ったシルメリアは森の中ほどでまた探知をかけるものの、反応がない。

「真九郎さまぁ!!!!どこですかぁ!!??」

「シルメリアさん、もうすぐ夜が更けます、戻ってください」

「戻る?何を馬鹿な・・・・・私は捜索するので皆さんは休んでいてください」

そう言うが早いかシルメリアは夜の森へ駆け出して行った。

「っもう!・・・・」

ニーサはナデシコとサクラに事情を伝えるとショックを受けているようだ。

「まさか、隠れスケベってからかったからショックで出ていっちゃたんじゃ!!」

「隠れスケベショック家出?さすがにないんじゃないのナデシコ?」

「私もそれは限りなく可能性は低いと思いますが」

3人は、いつ2人が戻ってもいいように一晩中火を焚いて待ったが、明け方になり戻ったのは鞘に血がべっとりとついた真九郎の刀を抱いたシルメリアだけだった。




2018/7/25 誤字・誤植 一部表現訂正

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