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02:チートで御座います。

「それで、僕にはどんなチート能力があるんだ?」

「は?チート…で、御座いますか?」

「うん。異世界に行くといろいろと凄い特殊能力が手に入るんだよ」


これは困りました。


確かに若様の書物にはその様な能力が書かれておりましたが、若様も能力を御所望とは、この爺、気がつきませんでした。


「若様。若様は産まれ付いての強者でありますので、いかような能力も今さら必要ありません」

「そうなのか、なるほど」

「ともあれ、若様が御所望とあらば、そのチートとやらを手に入れますゆえ少々お待ちください」

「解った。楽しみにしているよ」

「はは」


どのようにすればそのチートとやらが手に入るのでしょうか。google先生に伺ってみるとしましょう。


爺がスマホを取り出し検索しようとした時、先頭の高機動車から大上様より通信が入りました。


『先行のヘリから連絡だ。前方4キロに人型の生物の集団約20。識別表によれば、おそらくゴブリン』

「左様ですか」

『ヘリが言うには、捕虜を連れている様だ、おそらく人間の女性。複数。どうする?』

「若様の指示を頂きます」

早速若様に近寄り、事情を説明致します。

「助けよう」


若様は非常に乗り気で御座いました。

先ほどから何やら「お約束」とか「定番」とか言っておられるのですが、何のことでしょうか。


若様の号令で加速していく高機動車と二台の軽装甲機動車、その後に装輪装甲車が続きます。

軽装甲機動車と装輪装甲車の銃架では軽機関銃が準備されております。

これらの車両とその20名の乗員が、実働部隊。

若様の『剣』で御座います。

必ずや若様の敵を殲滅し捕虜を奪還することで御座いましょう。



若様専用装輪装甲車は、非武装の装甲トラックを従えてその後に続きます。

若様専用装甲車には武装はありません。

銃架には、複合センサーと4Kカメラが設置されております。


若様が直接戦闘に参加する事は御座いません。


その必要も御座いません。


この爺や大上様を中心とする部隊が、若様の『手足』であり、『力』で御座います。


おそらく、この世界最高の火力と機動力を持った『力』は、この世界のあらゆる者を打倒し、あらゆる戦いに勝利をする事が出来るでしょう。


そして、彼らが手にする勝利は、全て若様のモノなので御座います。



おや?


これは若様の言うチート能力ではないのでしょうか?


7/11少々修正。主に若様の台詞を子供っぽくしました。

8/23少々修正

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