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01:異世界で御座います。

「若様。ご所望の異世界で御座います」

「うん。凄いね。よく来れたね」

「ありがとうございます」


異世界で御座います。

鬱蒼とした森林が背後に広がる青々とした草原。青い空には竜が飛んでおります。

傍には我々の出て来た石造りの鳥居様な門が御座います。


鳥居の前は整地されたちょっとした広場になっておりまして、機材と車両が並んでおります。


もう一度言いましょう。


異世界で御座います。


某夢の国のアトラクションでは御座いません。

ニュージーランドに作ったセットでも御座いません。


流石はgoogle先生です。

異世界に行くなどという難題も無事に解決して下さいました。


「ここで僕の冒険が始まるんだね」

辺りを見回しながら、若様が感慨深げにおっしゃいます。

「左様で御座います」

ご注文から3ヶ月もお待たせしておりますので、なおさら

で御座いましょう。


「まずは街に行って冒険者ギルドに登録だよね」


若様は爺を振り返り確認するようにおっしゃいます。


「はい。手筈は整って御座います。爺らにおまかせください」

細かな事は爺らにお任せください。若様の書物を研究し準備済みで御座います。


「そうか、流石は爺だ。わかった。まかせるよ」

「はは」


うやうやしく礼をすると、控えていた者達に合図を出しました。


20人程の迷彩服を着込んだ若者がそれぞれの持ち場に散ってゆきます。

流石は元レンジャーです。きびきびとした良い動きで御座いますな。


今回の異世界行きに際して、自衛隊員から募集を募り選別させていただきました。


あまり良い顔はされませんでしたが、誠心誠意お願いしたところ、快く協力していただけました。

募集資格の一番目が『異世界に興味のある方』でしたので、あまり人数は集まりませんでしたが、装備等は自衛隊の全面的協力を得られております。

もちろん、全て代金はお支払いさせていただいております。



若様にはメイド服を着た女性…こちらも自衛隊から紹介していただき、SPとメイドの研修をして頂きました…が2名、若様の左右について周囲を警戒しております。警戒の人員を配備しておりますので、周囲100メートルの安全は確保しておりますのであくまで念のためで御座います。


「本当に異世界とはなぁ」

迷彩服の壮年の男性が近寄ってこられました。指揮官の大上様で御座います。


身長170センチ程。中肉中背で、歴戦の傭兵の様な雰囲気がございます。

経歴は不詳。というより、存在しておりませんでした。おそらく名前も偽名ではないかと思います。

自衛隊から紹介いただいた方ですので自衛隊関係者ではあると思います。


「その様にお伝えした筈ですが」

「まあ、そうなんだがね」

「信じていただけませんでしたか?部隊の訓練の方は大丈夫でしょうか?」

「貰った地形図どおりならば問題無い。それは信用して頂きたい」

「信頼しておりますよ」

「とりあえず、拠点まで移動したいのだがよろしいか?」

「おまかせいたします」

「了解した」


大上様が無線機に向かって指示を出すと、若様の傍に金色の装甲車が着けられ、大きく家紋の描かれた後部ドアが開かれました。


若様専用車両で御座います。

メイドが先に乗り込み若様に手を差し出します。

若様は、少し顔を赤らめると、彼女の手を取って乗り込みました。

最後に爺が乗り込むとヘッドセットを着けたメイドが後部ドアを閉めます。


車内は、設計者が見たら怒り出しそうな程魔改造され、若様に相応しい調度が施されており、旅に不自由の無いようにされております。


もちろん、バストイレ付きで御座います。


その為、車体は全長全幅ともに大幅に広げられており元々の車両の設計者が見ても解らないくらいの魔改造がされております。


先ほどのメイドから小型のヘッドセットを渡されました。

着ける様に指示されます。どうやら無線機の様で大上様の声がします。


『坊ちゃんの準備よければ出発する』


若様はソファーに座られ、メイドから飲み物を受け取っておられます。

「若様。皆が出発に合図を待っております」

若様は頷きながらメイドの差し出したヘッドセットを手にとられます。

「よし、出かけよう。冒険が僕達をまっているぞ」


無線からの返事代わりにクラクションとエンジン音が響いているのですが、この装甲車の防音は完璧ですので聞こえません。窓もないので外も見えませんな。

窓を付ける様にメーカーに注文したのですが、断られてしまいました。代わりに車内に設置された45インチのモニターで外部の映像と音声を映しております。


バタタタタタタタ


装甲車の真上をヘリコプターが通り過ぎてゆきます。それを追う様に高機動車を先頭に軽装甲機動車、装輪装甲車、装甲トラックなどが列を成して走ってゆきます。


「ところで爺」

「何で御座いましょう」

「それで、僕にはどんなチート能力があるんだ?」


チート…でございますか?


7/11ちょっと変更。主に坊ちゃんの台詞を子供っぽくしました。

8/7 再度修正

8/23 修正

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