三年B組うんこマン
最初に、『ソレ』に気付いたのは、ある航空機のパイロットだった。
浮いていたのだ。
空に、空中に、上空1300メートルに、コブシ大のウンコが…!
パイロットの名は山田俊蔵。
ああ。名前を書いたけれど、この物語にこの先出てこないだろうから、憶えなくてもなんら構わない。
とにかく空中にうんこが発見された。
政府はただちに口封じにこのパイロットを拘束し、痴漢の容疑をでっちあげ、一生檻の中に閉じ込めるのだ。
そしてこの僕に声がかかる。そう、宇宙人探索少年探偵「加藤瑞希」に!!
最初に話を聞いた時にピーンとキタね。あっ、これ宇宙人の仕業だわって思ったもん。
僕が今まで見つけた宇宙人は99体。くくく、記念すべき100体目は間近だねェ!
僕はまず、研究チームと合同でウンコの観察をした。
チームはウンコに『UNCO』と名付けた。なんかカッコ良さげな英単語の頭文字をとった名前で、ちゃんと意味があるそうだけど、
いかんせんクソがクソな事に変わりはない。
観測機から日々送られてくる映像は、今にも臭ってきそうな質感で吐き気がしたけど、数日観察して気づいたことがある。
ウンコが徐々に大きくなっているのだ!?
一ヶ月たった今ではなんと、ウンコは縦300メートルに達してしまった。
これが地上に落ちでもしたら…ゾッとする。
おそらく宇宙人はこのウンコの下にいる。僕は直感に従い、ウンコ下の地方都市の小学校へ潜入したのだ。
美人女教師「今日からこのクラスに転校してきた加藤瑞希君です。ショタ萌え先生ドストライクの逸品ですからみんな仲良くするように」
僕「よろしく哀愁!」
クラスメイト達「うひょー!一度会ったら友達だぜぁー!!!」
女教師「わからないことがあったら、クラス委員のうんこマン君に聞いてね」
うんこマン「トイレ案内なら任せな!」
彼がなぜうんこマンと呼ばれるのか、それは休み時間に判明した。
うんこマン「休み時間だからウンコ行ってくるううううう!!!!」
クラスメイト達「ひょー!さっすがうんこマンだぜぁー!
お前こそ押しも押されもせぬうんこマンオブうんこマンだぁー!!」
チームからの秘密通信(探偵さん!今!またウンコが大きくなったよ!?)
ふむ、なるほどなるほど。どうやらあのウンコは何らかの反応によって肥大化しているのかも知れない。
例えば、ウンコと言われたら…とか…?
く、これ以上は想像の域を出ない。
宇宙人の真意がわからない…わからないよ!
僕は先生の言葉を思い出し、放課後、うんこマン君に相談してみた。
僕「例えばさ、今、この空の頭上にウンコがあって、そのウンコは何らかの反応で巨大化を続けている。
もしかしたら、『ウンコ』と言われるたびに大きくなってるのかも知れない。
でもさ、もしそれが宇宙人の仕業だとして、
どうしてそんなウンコを作る理由があるんだろう?」
うんこマン「やれやれ、君たち地球人はいつもいつも、理由ってやつにこだわるんだね。
もしかすると、その宇宙人は何の理由もなしに、この星をウンコまみれにしたいだけじゃないのかな?」
うんこマン君は不思議な子だった。
まるで異星人みたいに錯覚してしまう時がある。
それから一月がたった。
今や空のウンコは直径3kmにも達した。
チームの隠蔽工作もそろそろ限界だろう…。
すぐにも地上に落ちてきそうだ。
早く宇宙人を見つけてウンコをどうにかしないと、
僕の初めての友人、うんこマン君がいる、この町を守るために…!!!
完!