幕間 ミラの日常 in ヴォルベルグ
ミラースライムことミラの日常を描きました。
影が薄くなってしまっている彼女ですが、この機会にキャラを知ってもらえたらいいなと思います。
ミラなの
ミラはミラースライムなの
ミラースライムってなんなの?
ミラは難しいことはよくわからないの
でも、ミラにはご主人様とみんながいるから別になんでもいいの
ミラが生まれたのは狭くて暗い穴の中だったの
なんか体中がもぞもぞして、いろんな人がミラの中にいて気持ち悪かったの
だから思いっきり真上の光がある方へ飛び出したの
でも、広い場所に出ても、体の違和感は消えないの、段々意識が消えてくるような気がしたの
何かが体に当たって、振り向いたそこにはご主人様達がいたの
(助けて…)
声は出なかったの、でもミラの体は勝手にご主人様たちに向けて走り出すの
ご主人様達が驚いて逃げていっちゃうんだけど、必死に追いかけたの
途中から、なんか楽しくなってきたの
ご主人様が転んで、ミラ達は止まってそれを見つめるの、その時ミラの中から声が聞こえたの
(みんな一緒になろう)
そしてご主人様にとびかかろうとするんだけど、そしたらご主人様は必死な声で叫び出すの
「でぃ、ディメンションカッター!」
すごいの! 御主人様が叫ぶたびに、ミラの中の声は消えていって、体は軽くすっきりしていくの!
やがて、ご主人様は目を閉じて倒れてしまうの
その時にはもう、他の声は聞こえなくて、ミラはすっきりしてたの
でも、ご主人様は目を開かないの
どうしたんだろう? って思って体を摺り寄せたんだけど反応がないの
ミラが戸惑ってる間に、他の二人がご主人様を担ぎ出したから、ご主人様に絡みついてそのままついていったの
それからはご主人様とずっと一緒だったの
ご主人様は温かくてポカポカしてとっても気持ちいいからずっと引っ付いていたの
やがてミラは魔人?というのになったの?
ご主人様が進化させてくるって言って、ミラは淡い光に包まれたの
淡い光に包まれる中、なんとなく求められた気がしたからミラは願ったの
(ご主人様と、ずっといっしょにいられますように…)
・
・
「今日は休みだ! ミラ、タマ、お前達も色々自由にしていいからな。あ、でも人に迷惑をかけちゃだめだぞ?」
「ユート様、どの口を言いますか…」
「今日はまだ何もしてないじゃん…」
ミューはいつもご主人様と一緒なの。
ミラもいつも一緒だったけど、人の姿になれるようになってから、あんまりご主人様に引っ付いちゃダメだってミューが言うの
酷いと思うの!
自分はいっつも夜中にご主人様に引っ付いてるのミラは知ってるの、だからミューはずるいの!
それをミューに言ったら、顔真っ赤にして怒ってくるし、ご主人様に言っても、顔を引き攣らせて笑ってばかりで、答えてくれないの
タマなんて
「ミラはおこちゃまだからね! 分からなくてもしょうがないんじゃないかな、アハハハハ!」
なんて事を言ってくるの!
ミラはタマより年上なの!お姉さんなのに、失礼なの!
もう、タマはいつもこうなの、大人ぶって生意気なの!
もう、タマなんて嫌い、じゃないけど…むかつくの!プンプンなの!
その点、プリムは優しくて大好きなの
お菓子を分けてくれるし、意地悪も言わないの
だからプリムにも聞いてみたの
プリムはちょっと考え込んだ後に人の生殖本能?というのについて教えてくれたんだけど…
チンプンカンプンだったの…何一つわからなかったの…それにいつの間にか、ミラは途中で気を失ってしまって、その時の事をよく覚えてないの
「…ミラ! おぉ、やっと気が付いたかミラ…」
目を覚ますとご主人様が心配そうにミラを抱きかかえて、ミューがなんかプリムに怒ってたの
ミラが寝ている間に何が起こったの? でも…にゅへへ、ご主人様に抱きしめてもらえて嬉しかったの
ミラはタマと散歩することにしたの
町の中は珍しいものがいっぱいで、飽きることがないの
キョロキョロしながら街を歩いていたんだけど、途中でタマがいなくなったことに気づいたの
タマは何時もフラフラしてるから、急に消えちゃうことがあるの、ホントに困った子なの
ミラはしょうがないからタマを捜す事にしたんだけど、タマは屋根とかにも登って行くから、上も見ないといけなくて捜すのは大変なの…
「あうっ」
上を見上げながら歩いているうちに、ミラは足を取られて転んでしまったの
まだ、歩くことにちょっとだけ慣れてないから、ミラは偶に転んでしまうの…痛くはないけど、せっかくご主人様にもらった、せーらー服が汚れてしまって、しょんぼりなの
「だいじょうぶ?」
ミラが少し落ち込んでいると、心配そうな目で見つめてくる子供達が話しかけてきたの
「問題ない、の!ミラはがんじょーなの!」
子供達はミラと同じくらいの大きさなの、でもタマよりは小さいの
だからミラの方がお姉さんなの
「本当に? だって結構な勢いで…頭からぶつかってたじゃん」
「大丈夫なの!ミラはそんなやわじゃないの!」
「そ、そう…。ところで、ここらへんじゃ見かけない子だね?どこから来たの?」
「ん?ミラはご主人様と一緒に旅をしてるの?」
「いや、知らないよ? 何で疑問形なの!? えっと…この町は初めて来たの?」
「そうなの!」
「へぇー、それで…何してるの?」
子供たちが話している間、ミラは上を見上げるの
「タマがいなくなったの…」
「タマ? ペットか何かかな…? 僕たちも一緒に探してあげようか?」
ミラは少し考えるの、でもご主人様が人に迷惑かけちゃいけないって言ってたの
それにタマは放っておいても、ご飯の時間にはいつも必ず帰ってくるの
「いいの、どうせご飯になったら帰ってくるの!だからミラはもう散歩に戻るの!」
そう言って、もうタマは忘れてミラは散歩に戻ることにしたの
「あ、待ってよ! せっかくだから、僕たちが町を案内しようか?」
「うーん?」
「いや、迷惑ならいいんだけど、なんか君危なっかしいから、心配で…」
「失礼なの!ミラはお姉さんなのよ!」
「え!? えっと、何歳なの?」
うーんと
「…0歳?」
「はぁ? 何の冗談だよ…」
「冗談じゃないの、でもこれ内緒だったの、だから忘れてほしいの」
つい言っちゃったけど、ご主人様には変な顔で見られるから内緒だって言われてたの、うっかりしてたの
「はぁ、おかしな子だな…、で、どうする?案内はいらない?」
「うーん、しょうがないからお姉さんが面倒を見てあげるの!」
ミラはお姉さんだから、この子達の相手をしてあげる事にしたの
「はいはい…んじゃ、案内するよ。俺はコルタ、こっちはニシンとミュン」
「よろしくー」
「よろしくね!」
「ミラはミラなの!よろしくなの!」
この日、ミラに初めてのお友達が出来たの
・
・
それからの日々、ミラはお仕事がない日はいつもコルタ達と一緒に遊んだの
町はずれの大きな林が生えた公園、そこがミラたちの遊び場なの
人の遊びは斬新で多彩なの!コルタ達は毎日次から次へと新しい遊びを見せてくれるの
あ、しょうがないからタマも入れてあげたの
「タマなの」
「やほ!僕がタマだよー!」
……。
何故かみんな固まってたの
「え、タマって……人だったの?」
みんなおかしな顔をしてたの
何を当たり前のこと言ってるの?
みんな変なの
それからは、タマも入れて遊んだの
コルタ達は始めはなんだか遠慮してるようだったの、コルタとニシンはいつも真っ赤な顔でタマをみてたの、変なの
ニシンが顔を真っ赤にしてると、なんだかミュンも不機嫌なの
ある日いつもの様に5人で遊んでると急にタマが
「なんか面白そうなにおいがするよ!ニシシ」
って言って、変な笑顔をして町の方に走って行っちゃったの
でも、タマが変なのはいつもの事だからみんな気にしないの
しばらくして帰って来たタマはすごい笑顔で
「ふぅ、今日はいい仕事したよ!ニッシシシ」
って言ってたけど何の事だかわからないの
でも、その顔はいつも御主人様がすると、ミューが怒るからやめた方がいいと思うの
・
・
この町を出て、旅に出ることになったの
「みんなも、個人的に回りたいとこがあるなら自由にしてくれていいからね」
コルタ達と合えなくなるのはちょっと寂しいの、でもご主人様が決めた事だからしょうがないの
だからコルタ達にお別れのあいさつに行くことにしたの
「えー! ミラちゃん達居なくなっちゃうの!?」
ミュンは目に涙を溜めて泣きついてきたの
ミラはお姉さんだから優しく頭を撫でてあげたの
ご主人様がこうすると怒りん坊のミューでも静かになるの、ミラもしてもらったけどとても落ち着くの
「寂しくなるね、いつか戻ってくる?」
コルタも少し寂しそうにしてるの
「んー、わからない?」
「だからなんで疑問形?」
「そうだね、僕らのご主人は冒険者だからね! いつになるかは分からないけど、いつかまたこの町に来ることもあるかもね」
「ふーん、そうか…じゃぁまたこの町に来たら、必ずまた遊ぼうね!約束だよ!」
「うん約束なの!」
「ふえーん! ミラちゃん、行っちゃやだー!」
「タマさんも…えっとその、お元気で!俺絶対逞しくなりますから!」
「うん!ニシン君も元気でね!」
ニシンは真っ赤な顔なの、さっきまで泣いてたミュンがなんかニシンを睨んでるの
ミューみたいで、ちょっと…怖いの
「御主人に言えば、またいつでも会えるよ。だからもう泣くなよ、ミラ」
「泣いてないの!タマはお姉さんに向かって生意気なの!」
…泣いてないの
この町は、とってもとっても楽しい思い出がたくさんなの
ご主人様は人間の町は怖いところだから気を付けるんだよ!って言ってたけど、ミラはこの町がとっても好きなの
新しい町に着いたら、また、楽しい思い出ができるかな?