スキル『本』
この世界で1番人気のある職業は冒険者だ。
冒険者は庶民が成り上がれる可能性が大いにあり、希望になるとともに大きな憧れを抱かれる職業だ。
みんなも昔は好きだったでしょ?戦隊ヒーローとか可愛く変身して戦ったりするプ◯キュアとか、それと一緒でみんな子供の時から好きなのである。
そしてこの世界でなんの才も持たずして生まれた僕、別に家柄が優れてるわけでもないし戦闘が得意なわけでもない。
でも僕は過去誰も到達したことのないSランクの上のEXランクを目指す。
なぜかって?そんなのかっこいいからに決まってるでしょ!
そんなわけで憧れを抱き努力し始めたのは10歳、サ◯シと一緒だね!
しかし現実は非常だ。努力した程度で才もない者は何も得られない。スキルがないなら尚更だ。
この世界にはスキルというものが存在する。これは生まれた時から持っている先天的なものと15歳に神様からもらえる後天的なものがある。
因みにスキルは後天的に一つはもらえるがそれは先天的に能力を持つものも同じなのである。
つまり先天的にスキルを1つや2つ持ってたら15歳を超えると合計で2つや3つになる。ズルくない?
まぁそんなわけで長々と語ってきたけど今日がその日なのだ。
この後天的なスキルはこの歩んできた15年間の影響が出る。
例えば鍛えまくった人はフィジカル系のものをもらえたり、料理をしまくっている人は料理系のスキルを得たりなど今までの経験が大きく影響するのだ。
これを知って僕はとにかく知識をつけまくった。つまり本を読みまくったわけである。他にも素振りをしまくったらとにかく戦闘系のスキルが出るように願った。前日にだって本を読んで知識をつけたし今日の朝だってそうだ。大丈夫に決まってる。
「次の者が方はこちらに」
呼ばれてしまった、ついに僕の来たのだ。
「はい」
楽しみすぎて少し声が上擦ってしまった。
案内されてきたのは女神の神像の前だ。この神様は知恵の神様らしい。本を広げてるしいかにもって感じだ。
「では神像の前で祈りを捧げてください」
僕は手を合わせて祈りを捧げた。よくある感じのみんなが想像するやつだ。
「女神イメ・オ・セオス・ティス・ソフィアスよ、かの者に加護を与えたまえ」
神官が声を上げた途端目の前の神像が光り輝き出し、数秒の時間が経ち収まっていった。
「無事終わりました」
「ありがとうございました。スキルの詳細について教えてくれませんか?」
「わかりました。少々お待ちください。」
やばいドキドキが止まらない。受験の合格発表見る瞬間みたいな感じだよ。やばいよ。どうしよ。緊張する。
「鑑定が終わりました」
「どんなスキルですか!?」
「なんと申し上げたらよろしいのでしょうか....私も確認したことがないスキルでして」
「え?」
「スキルの名前は『本』なのですが、鑑定結果の詳細説明に『このスキルはただ自分の想像した本を出すだけのスキルです。でもスキルレベルを上げていけばいいことがあるかもしれませんよ。....フフフ』と書いてありました。」
え、まじで?そんなことある?普通はもっと魔法ドドドとか戦闘バババみたいなスキルかと思うじゃん。
なのに何『本』ってしかも本出すだけだし。こんなのハズレスキル以外に他ならな....いや待てよ。僕は知っている本の最大の武器を、そして本が最強であることを。そうなのだ。本は角で叩くとめっちゃ重くてめっちゃ痛いのだ。このことから僕は思った。
『本の角でぶっ叩けばいいじゃん』
さらにスキルレベルを上げらばいいことあるっぽいし。なんか元気出てきたかも!
「スキルレベルってのがあるんですね」
「い、いえ普通は存在しません」
(何これ?わたし今まで神官してきてこんなこと一回もないんですけど!?しかもなんでスキルの詳細文が喋り口調なの?ホントなにこれ....)
存在しないんだ....まぁでも特別感あっていいよね!
「ありがとうございました!」
「え?あ……その……頑張ってください。」
ということでそのままここを出ることにした。
このスキルを得て1番に思ったのは『早く試してみたい』ということだ。なので森に来ました。
まだ浅いところなので弱い魔物しか出ません。早速行きま──やめてください!
とても嫌がっているような声が聞こえた。すぐに駆けつけるぜ!ヒーローはこういう時に颯爽と駆けつける者だからね!
うわー。
この光景を見たとき1番最初に思ったのはこの言葉だ。そこにいたのはチャラそうな男の集団と腰まで届く美しい銀髪に、澄んだ蒼い瞳。すらりとした長身に豊かな胸元が目を引く、誰もが見惚れるほどの美少女だった。
誰もがこれの状況を見て思うのは一つだろう。
ナンパやん!だっていかにも手を出しそうなチャラ男だよ?ていうかもう手出してるわ、しっかり美少女に手出してました。
「悪いようにはしねぇよ。ちょっと俺たちと来てもらうだけだ。」
「そんな怖い顔するなって。少しくらい付き合えよ。」
「ですから、何度もお断りしているじゃありませんか」
今も相手が嫌がってるのお構いなしでナンパしてるし。早速突撃して救うぜ!
「こんにちは〜」
「は?」
「え?」
間違えたぜ!ここは普通に『俺が助けるから下がってな!』とか言ったほうがよかったわ。何普通に挨拶してんの僕。
「お前俺らになんか用あんのか!?」
「今取り込み中なんだよ!ガキは下がってろ!」
「い、いやその子嫌がってるじゃないですか」
「あぁ!?文句があるならぶっ飛ばすぞ!」
怖ぇ!怖ぇよ!なんだよこいつら喧嘩っ早すぎでしょ!
「俺らは全員戦闘スキル持ちでのエリートだぜ!?その中でも俺は最近Dランクになったエリート!歯向かったらタダじゃおかねぇぞ!」
やばい普通に強いじゃんこのチャラチンピラ達。
でも今日スキルをもらった僕は無敵な気がするのだ。なんでもできる高揚感で全員ぶっ飛ばせそう。
「黙り込みやがって、邪魔すんならぶっ飛ばしてやるよ」
「流石っすアニキ」
「まぁでも?先手は譲ってやるよ。かかってこいよガキ」
やってやるぞ
「スキル『本』発動」
「ガハハハ!おい聞いたか今の?スキル『本』ってなんだよ」
このスキルはある程度自分が想像したような本を作れる。だからできるだけ殴った時に威力が出るよう固くそして持ちやすいように軽くを意識する。僕の持つ全魔力を込め作り出す最高の本!
「できた!」
「ガハハハ!なんだよほんとに本を作るだけかよ!そんなので何ができるってんだよ!楽しい読み聞かせでもして──ガンッ」
鈍い音を立てて男が倒れた
「アニキッ!」
え、待って?この本強すぎるでしょ。てか死んでないよねこの人。デビュー戦で殺すとかそんなことしたくないんだけど。
自身は気付いていないが、多大な努力の末、魔力や筋力は並大抵じゃなくなり、ましてやこの本の威力は普通に殴っただけでもDランクなど遥かに凌駕する。つまりぶっ倒れるだけで済んでいるほうがおかしいのだ。
「おい、お前らアニキを連れて逃げるぞ!っておいせっかく大金叩いて買った命の首飾りがぁ」
「お、覚えてろよ〜」
行っちゃった。やばいよ殺してたらどうしよ?
「あの〜」
僕まだ15だよ?この歳で殺人デビューとかお先真っ暗じゃん
「あの〜」
まぁでもしょうがないよねあっちが──
「聞いてますか!?」
「え?」
そうだった僕元々この子助けるために割り込んだったんだ。
「はい、聞こえてます」
「先程はありがとうございました」
「それよりも大丈夫?ここは冒険者じゃない人には危険だよ?」
「私も一応冒険者です!まだスキルはもらってませんけど」
冒険者登録自体は12歳からできる。それよりもこんな綺麗な子も冒険者とかするんだ。意外だな。
「なら僕の方が先輩だね。まぁ今日貰ったばっかなんだけど」
「そうなんですね、私は1週間後なのですが不安で....」
「大丈夫だよ。僕のスキルは『本』だけど今もどうにかなったし」
「ありがとうございます少し....勇気が出ました」
「それならよかったよ。じゃあ僕はもう行くね」
「少し待ってください!....お名前を教えていただけませんか?」
「僕の名前はラトレヴォ・タ・ヴィヴリア。リアって呼ばれてるよ」
「リア様ですね」
「様じゃなくていいよ」
「ならリア君、私の名前はアギアです。絶対に覚えてくださいね。」
「うん。わかった〜、じゃあまたどこかで」
僕はもうさっきのことをやってから思った。
それが試したくて試したくてしょうがない。
今なら今まで勝てなかったものに勝てるかもしれない。そう。
『Dランクの魔物に!』
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「必ず会いにいきますから、待っていてくださいねリア君.....」
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最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回が初めての執筆です。大体4000文字を目標にして頑張りましたが約3400文字で止まってしまいました。感想やアドバイスなどをくれるとありがたいです。
ちなみに命の首飾りはお察しだと思いますが即死の攻撃を一度だけ回避できる(ただし気絶する)ものです。
次回もぜひよろしくお願いします!




