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五分で読める AI短編小説集

勝負

作者: アイキカイ
掲載日:2026/02/25

 朝、僕はいつものようにカフェに入って、店内の一番奥の席に座った。

 今日も一日、仕事が忙しくなること間違いなしだ。

 マグカップに手を伸ばし、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。

 「おお、今日は早いじゃないか、ジョン!」

 突然、隣の席から声がかかる。

 思わずコーヒーを吹きそうになった。

 「うわっ! 何だよ、急に!」

 振り返ると、そこには見覚えのある顔があった。

 「久しぶりだな! ダン!」

 ダンは、僕の高校時代からの親友だ。

 今でも連絡を取り合って、時々会うんだけど、最近はちょっと疎遠になっていた。

 「なんでここに?」

 「なんでって、コーヒー飲みに決まってるだろ!」

 ダンはニヤニヤしながら言った。

 こんな言い方をするけど、実は彼、超絶真面目な性格なんだよね。

 だから、どこかでドジを踏んでたりするのが本当に面白い。

 「ちなみに、今日はね、俺、マジで決めたんだ」

 「決めたって?」

 「俺、今からお前に、勝つ!」

 「何に勝つんだよ?」

 ダンは真剣な顔をして、いきなりコーヒーをぐいっと飲み干した。

 「コーヒー! お前、今日絶対俺に負けるから!」

 「いや、コーヒーって何?」

 「お前、俺に負けるんだよ! 今日は俺が最強だ! 」

 ダンがまるで格闘技の試合でも始めるかのような勢いで言った。

 僕は驚きながらも、思わず笑ってしまった。

 「お前、ほんとにどうしたんだよ。そんなことで勝ちたいのか?」

 「もちろんだよ! 俺はコーヒー界の王者になるんだ!」

 と、ダンがカップを手に取りながら言った。

 「じゃあ、俺が負けないように、負けたらどうするんだ?」

 「負けたら、俺の言うことなんでも聞く!」

 「お前、なんでそんなことに命賭けてんだよ!」

 「いいから見てろ!」

 ダンはおもむろに立ち上がり、僕のカップを持ち上げて、一気に飲み干した。

 そして得意げに言った。

 「ほら! これで俺の勝ちだ!」

 「何言ってるんだよ。だって俺、まだ飲んでないし」

 「えっ?」

 僕が飲む前に、ダンは自分のカップを僕の前に置いて、ニヤニヤと勝利宣言をした。

 「お前、見た目で負けると思っただろう? でも俺、勝ったんだ!」

 そのとき、店員が入ってきて、僕たちのテーブルを見て言った。

 「申し訳ございません。ご注文のコーヒーができました!」

 「えっ?」

 「えっ?」

 そこには、僕が頼んだはずの巨大なカプチーノが並んでいた。

 ダンは目を丸くした。

 「お前、最初からコーヒー頼んでたのか?」

 「当たり前だろ!」

 僕はニヤリと笑って、ダンに向かって言った。

 「でも、負けたのは君だよ」

 「え?」

 「だって、最初から俺の飲み物に勝ってたのは、このカプチーノなんだから!」

 ダンの顔が真っ赤になった。

 「な、なんだって?」

 「だから、君の勝利宣言は最初から意味ないんだよ!」

 「うぅ……」

 ダンは少し凹んだように、でもその顔はどこか憎めない。

 僕たちはその後も笑いながらコーヒーを楽しんだ。

 結局、勝負なんてどこにもなかった。ただ、僕らが久しぶりに会って、くだらないことで盛り上がっただけだった。

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