例えではなく本当にゲテモノ彼女! ~彼女が欲しいと願ったら、マジでヤバいのが君の部屋に来た。女神が贈り込んだ妖しい彼女の大きなキスを君が受け止めるよ~
恐怖心を乗り越えろ!
君は彼女が欲しいと願ったよね。だから、“彼女”は君の部屋に来たんだよ。
部屋の入り口に立っている彼女を見て、君はとても驚いた。
彼女は、男子高校生の君よりも背は低いよ。
彼女は、下着姿の半裸だよ。
彼女は、お肌の色が人工的な白で、人間よりも硬いよ。
彼女には頭部がないよ。
だって彼女は、ヘッドレスマネキン人形だもの。
お店で洋服を飾るための、あれね。
マネキン人形は頭もある全身像だけど、ヘッドレスマネキンはその名の通り、首よりも上にあるはずの頭部がないの。
だけど、彼女には目があるのよね。
よく見て。
彼女は君に向けた大きなお目々を、とっても輝かしているよ。
黒い瞳は、美少女に見える、とってもかわいいお目々だよ。
そのお目々は、おなかの辺りにあるよ。
お目々の外側斜め下は、頬のように赤く染まっているよ。
彼女のおなかは、あんまり太ってはいないけれど、痩せているとも言えないぐらいの横幅はあるよ。
おへその上には、彼女の唇があるよ。
唇は濃い桃色で、大きいよ。
彼女には鼻と耳と眉毛と髪の毛はないけれど、君との意思疎通は出来るよ。だから安心してね。
「こんにちは。私は、あなたの“彼女”、ヘッドレスマネキン人形です」
かわいい声が、おなかにある唇から出たよ。
「ぎゃあああああああああッ!」
君は叫び声を出して、腰を抜かしちゃったみたい。その場で尻餅をついたよ。
「彼女がお部屋にまで来たからって、驚かないで下さい。あなたを癒せるよう、全力でねじ伏せてあげますね」
彼女は細めの両手と両足を器用に扱えるんだ。
君の首は座り込んだ彼女の太ももに挟まれたけど、彼女に大胆なことをされて、きっと気持ちが高揚しているだろうね。
それに、君がちょっとでもそちらを向けば、彼女の素敵な下着を見られるんだよ。
彼女の白いショーツは、薄い青と白の繊細な花柄刺繍が正面上部を彩っているよ。その頂点には白いリボンがついていて、かわいいの。
でも、君は彼女の下着よりも、唇のほうが気になるみたい。
「私は彼女ですから、あなたと口づけをするのに、何もためらいはありません。ブチュ~っ!」
彼女は君の後頭部を押しながら、唇を尖らせて、君にキスをしたよ。君のよりも、彼女の唇のほうが、すごく大きいよね。
君は彼女の肉厚な感触を得られたけど、彼女は唾液を出さない体質なので、君のお口の周りは汚れたりしないよ。
彼女の大胆な愛情表現に、君は大満足をするんだ。
君がびっくりして固まっている間に、彼女は積極的に膝枕をしてくれたよ。
「私は彼女ですから、お次はお耳掃除をしてあげますね。ですが、おなかに目があると、あなたのお耳の中を見られません。そのため、目の位置を変えます。少し、お待ち下さい」
彼女は右目をおなかから剥がしたよ。それはシールのようになっていて、彼女はブラジャーのパッドの下辺りにくっつけたよ。
彼女のブラジャーはショーツとお揃いで、同じような花柄模様が入っているんだ。かわいいよね。今は大きな美少女の右目がくっついていて、かわいらしさも二倍だね。
続けて彼女は、左目のほうもブラに貼りつけたよ。彼女のお胸は硬いけれど、それなりに大きくは作られているの。
彼女のおなかには、唇しか残っていないよ。お目々が近くになくても、美少女らしい声を出すことが出来るんだよ。
それと、ブラの上に移動しても、お目々は瞬きしたり、細めたりも出来るんだ。すごいよね。
「両目の移動が終わりました。お次は、耳かき棒とティッシュをご用意いたします」
彼女はブラジャーの内側から取り出したよ。どうやって入れていたのかは、内緒だよ。
「それでは、さっそく始めさせて頂きます。痛かったら、すぐに知らせて下さいね」
君は強張った顔をしていたけど、彼女は君のために精いっぱい、耳かきをしようとしてくれるんだ。彼女を信頼して、幸せになろう。
「どうでしょうか? 気持ちよいですか? あなたがそうなってくれると、彼女の私まで、気持ちよくなってしまいます。やさしく、やさしく、お耳のお掃除を、続けさせて頂きますので、愛情をたっぷりと、感じて下さいね」
彼女の澄んだ声が、ダイレクトに聞こえてくるよ。だって、彼女の唇が君のすぐそばにあるんだもの。
君は耳かきをやってもらえて、すぐ近くでかわいい声を聴いていられて、とても充実した人生を送れているよね。
彼女の君へのご奉仕は、何分も続いたよ。その間、君はすごく心地良く過ごせたんだ。
「……終わりました」
彼女の声を受けて、君は体を起こしたよ。
「ご満足、頂けましたでしょうか? 私は彼女として、あなたが夢中になるような女の子に思われていますか?」
最初はちょっとだけ怖がっていた君も、耳かきには満足していたみたい。
だけど、君は困った顔を彼女に向けているんだ。
「耳掃除はよかったし、声はかわいいんだけどさ、やっぱり頭がないのはな……。ほら……彼女がいるって、みんなに自慢出来ないじゃないか」
君は言葉を選んで、彼女に伝えたよ。
「理解しました」
彼女は小道具をお胸に戻し、ブラの上の両目を剥がして、おなかに戻したよ。
君はお目々の粘着力を気にしているのかな。何度でも貼り直せるから、安心して大丈夫だよ。
彼女は立ち上がり、全身がドス黒い霧で覆い隠されたよ。暗黒属性を感じさせる、粋な演出だね。
数秒後には、彼女は半袖のセーラー服姿になったんだ。白を基調に、紺色の襟やスカーフといったアクセントが入っているね。
「……人間の姿にも、なれるのか」
君は感心するように言ったよ。
「はい。人間に擬態出来ないと、この世界で工作活動がやれないじゃないですか」
工作活動と聞いて、君は引っかかりを覚えたよ。
「これで皆さんにご自慢出来ますでしょうか?」
聞かれた君は、彼女をじっくりと見たんだ。
容姿は、完全に女子高生。
今の彼女には、首よりも上に頭部があるよ。背丈は、君と同じぐらいかな。
彼女には髪の毛もあって、黒のショートだよ。
彼女には顔もあるよ。大きな瞳が似合う美少女の顔で、唇は小さいよ。
彼女のお肌は、人間の君と変わらない色になっているよ。
彼女の紺色のスカートは、短めだよ。
彼女は両手をスカートの前で重ねた格好で、おとなしそうに立っているよ。
「この姿を維持するのには、それなりに力を要するのですが、私はあなたの彼女ですから、ここまでやってあげることを、決してためらいません」
彼女はもう、制服を着た、素敵な女の子にしか見えないよね。
君はまたも、大満足をしているようだったよ。
「あと、髪の色や髪型も変更可能です」
彼女のショートの髪が金髪になったよ。
彼女の金髪がロングになったよ。
彼女の長い髪の色がまた黒になったよ。
「三つ編みにも出来ますよ」
彼女の黒髪が急に後ろで一つにまとめられたよ。
「……なんで、最初から人の姿になって来なかった?」
君は疑問を問うよ。
「元の姿の後にこの擬態をお見せしたほうが、評価は爆上がりすると思ったもので」
君としては、最初からそうして欲しかったみたいだね。
「あなたは私のことを、本当に彼女として愛してくれますか?」
かわいい声で、かわいい顔で、彼女は君に迫るよ。
「人間の姿になれるんなら……」
「嬉しいですっ! ありがとうございます!」
彼女は人間のように喜んだ声を出したよ。
「無事に両想いになれて、ほっとしました。はぁ~はっはっはッ! これでお前も女神様の下僕となったのだッ! これからもあなたに愛される彼女として頑張りますので、よろしくお願いしますね」
君は唐突に彼女が、
『はぁ~はっはっはッ! これでお前も女神様の下僕となったのだッ!』
と乱暴な声を挟んだので、大変困惑したよ。
「あっ、すみません。いきなり叫んだので、驚かれてしまいましたよね。私は女神様に生み出された配下で、彼氏さんと両想いになれた際、女神様にそう叫ぶよう、ご命令を受けておりました」
彼女は頭部を深く下げて君に謝罪したよ。
「お詫びに、二度めの口づけをしてあげます」
君は彼女の唇を見て、気持ちが高まるよ。
でも彼女の顔は、表情に乏しいよ。
彼女は唇を君に近づけようとせず、まずはセーラー服をたくし上げたよ。
おなかにあった大きい唇を外して、頭部の小さな唇の上に重ねたよ。
「えっ?」
君は目を疑ったみたいだ。
そう言えば、彼女の頭部や顔が動いていたところを、君は一度も見ていなかったよね。
そもそも、声はずっとおなかから出ていたよね。
「はい、行きますよ。んーっ、んーっ、んーっ、ん~っ!」
唇は頭部に移動したので、今はそこから声が出ているんだ。
おなかのお目々で上を見ながら君の唇を狙う様子は、とても健気で感動したよね。
アンバランスな唇を伸ばして、ようやく彼女は君にキスをしたよ。
余韻を楽しむ君の前で、彼女が頭部を離し、唇を取り外すよ。
唇をおなかに戻したら、頭部は黒い霧に包まれて消えちゃった。彼女はまた、切断されたような首だけに戻ったね。
半袖のセーラー服も、黒くなってから消えたよ。お肌はまだ肌色だけど、彼女の着けているブラは最初に君が見たのと違っていて、白一色で飾り気がないものだったよ。擬態中だと別のブラも楽しめるなんて、お得だよね。
「擬態中は、ショーツも無地になります」
彼女は残ったミニスカートをたくし上げて、白いショーツを君に見せたよ。
両手のスカートを摘まむ形はそのままで、やがてミニスカートも黒い霧に包まれて消えていったよ。
最後に全身がまた黒くなって、お肌も白に戻ったんだ。
下着も最初の揃いと同じに戻ったね。ブラもショーツも、擬態中の時のほうがお肌を隠す面積が広くて、子供っぽかったね。
白と薄い青のかわいい下着が再び丸見えになって、君も興奮しているみたい。
「愛しています。私の大切な彼氏さん」
彼女は頬を染めたまま、笑顔を見せたよ。
君の彼女は人間じゃなくてヘッドレスマネキン人形だけど、彼女が欲しいってお願いごとを叶えてあげたんだから、彼女を大切にしてあげてよね。
(終わり)
語り主は謎の女神様です。人間に擬態する配下達を使って、この世界で何かを企んでいる……という設定があったのですが、その辺はほとんど踏み込みませんでした。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。